河南(he2 nan2/ハナン)省に駐馬店(驻马)(zhu4 ma3 dian4/ジュマディェン)という市があります。

省都である鄭州()(zheng4 zhou1/ジョンジョウ)から、南に下がると許昌()(xu3 chang1/シュチャン)です。

その下が漯河(luo4 he2/ルオハ)、そしてその下が駐馬店になります。

更に下へ行くと、信陽(信阳)(xin4 yang2/シンヤン)という位置関係です。

馬と言えば、今の車です。
よって、駐馬店とは、要するに駐車場ということで、こんなこと言ったら失礼なのですが、都市の名前としてどうなの?という気がしない訳ではありません。

昔、河南省を中心とした地域を「豫州」(yu4 zhou1/ユジョウ)と言いました。

劉備()(liu2 bei4/リウベイ)は、豫州の最高官である「豫州牧」(yu4 zhou1 mu4/ユジョウム)という役職であったため、劉豫州(刘豫州)(liu2 yu4 zhou1/リウユジョウ)と呼ばれました。

昔は、駐馬店の東側に位置する、汝南(ru3 nan2/ルナン)の方が有名で「豫州之腹地,天下之最中」(yu4 zhou1 zhi1 fu4 di4,tian1 xia4 zhi1 zui4 zhong1/ユジョウジフディ,ティエンシアジズイジョン)と言われ、別名「天中」(tian1 zhong1/ティェンジョン)と言いました。

まあ、栄える場所が移動するのはよくあることです。

調べてみると、この駐馬店という名前が使われるようになったのは、1949年の「解放」(jie3 fang4/ジエファン)の後のようです。

センスがない理由がわかりました。

もっとも、名前が駐車場だけあって、交通の便がいいのは間違いありません。

北へ行けば鄭州、南へ行けば武漢(武汉)(wu3 han4/ウハン)です。
よって、北と南を結ぶ交通の要所として栄えたようです。

駐馬店にある唯一の区を、駅城(驿城)(yi4 cheng2/イチョン)区と言います。
宿場があったことの現れです。

日本では「駅」という字を普通に使いますが、中国語で「駅(驿)(yi4/)はほとんど使われません。
列車などの駅は「(zhan4/ジャン)と言います。

どうして駐馬店と言うのかについては、いろいろ説があるようですが、一番普通なのは、ここが宿場町「駅(驿站)(yi4 zhan4/イジャン)で、多くの人がここで馬を換えたからというものです。

また、この地では、茎から繊維をとって織物に使うカラムシという植物がとれました。
真麻(まお)とか、ちょまとかとも言うようです。

中国語では「苎麻(zhu4 ma2/ジュマ)と言い、それが村の名前となって、その後、明の時代に「駐馬店舗(驻马店铺)(zhu4 ma3 dian4 pu4/ジュマディェンプ)と名付けられたのだそうです。

更に、本当か?と思いますが、曹操(cao2 cao1/ツァオツァオ)が赤壁(chi4 bi4/チビ)の戦いに臨んだ際、ここに屯田し、軍馬を養っていたからという説もあります。

あまりよろしくない言葉ですが、中国を理解する上では、知っておかなければならないものがあります。

河南省は、私は洛陽(洛阳)(luo4 yang2/ルオヤン)で留学したこともあり、個人的にはとても好きなのですが、中国人はそう思っていません。

基本的に、多くの人が河南人を嫌っています。
騙す人間が多いという理由です。

そしてよくこう言われます。

十个河南九个骗,总部设在驻马店(shi2 ge he2 nan2 jiu3 ge pian4,zong3 bu4 she4 zai4 zhu4 ma3 dian4/シガハナンジウガピェン,ゾンブシャザイジュマディェン)

河南人が10人いれば、9人は詐欺師で、本部「総部(总部)(zong3 bu4/ゾンブ)は駐馬店にある、という意味です。

真偽の程はともかく、それだけ多くの人が、河南人には悪い奴が多いと考えています。

もっとも、こんなバージョンもあります。

十亿人民九亿骗,河南人民是教练,总部设在驻马店

人民が10億いれば、9億は詐欺師、河南人はその監督で、本部は駐馬店にある。

詐欺師というか、人を騙す人ということですが、それにしても、9割ですか。

ちょっと、何とも言えません。


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