デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

邂逅

2018-04-18 12:24:47 | 人生の棚卸し
      

 30年余前、その方は当時まだ40代後半の内科医、患者としてではなく仕事上の出遭いでした。優しい眼差しと穏やかな話しぶりが印象的でした。仕事を離れてもお付き合いいただき、一昨年亡くなられるまで人生におけるたくさんのご指導をいただきました。

 或ることで私に「お祝いをしたい」「ついてはあなたの好きな言葉を教えて下さい」。そう問われるまま「出遭い!でしょうか・・・」と。暫くして大きな荷物が届きました。開けると、或る書家による「邂逅」と書かれた色紙が立派な額におさめられていました。

 一昨年、亡くなられる一週間ほど前、奥様からお電話をいただきました。「主人はいま検査入院しています。主人に代ります。暫くお待ち下さい」。代られて、弱々しいお声で「あなたに出遭えて良かった。良い思い出ばかり、ありがとうございました・・・」と。

 永久のお別れのようで、「なにを仰るんですか! きっと良くなられます」 と語りかけながら涙があふれました。奥様からは「主人から言われていますので」と 入院先を教えていただけませんでしたが、一週間程して「亡くなりました」とのお報せをいただきました。


    
                              Painted by QP

 数日前、妻は友人と水無瀬神宮にお詣りしました。『軒荒れて誰か水無瀬の宿の月すみこみしままの色や寂しき』と後鳥羽天皇が詠まれた水無瀬、その名と逆に名水百選「離宮の水」で知られます。何気に歩いていて同じ方向に歩かれる方から声をかけられた由。

 ご高齢ながら装いも話し方もとても魅力的な方で、妻にしては珍しくつい!話しこんだそうです。余程!心がかよったのでしょう、別れ際にお互いの連絡先を交換、妻手作りで「今回の出来は素晴らしく良い」と悦に入っていた八朔のジャムを送ったそうです。

       ※ 「八朔のジャム」ではなかったようですが・・・そのままにしておきます(>_<)

 そのお礼のご返事がありました。大方1時間近く話していたようですが、終わると私に「びっくり! こんなことってあるんですね」と昂奮気味に話し始めました。その方のお兄様は医師で「一昨年、がんで亡くなりました。医院は一人息子が後を継ぎました」。

 その方は双子の姉妹の一人で、医師であるお兄様と一緒によく絵を描かれた由。もしや!と思い「何という医院ですか」と訊くと、「〇〇市の〇〇医院です」。余りの偶然に妻もその方もびっくりしたようです。はい、私とお付き合いのあった前記の方でした。


 出遭い。邂逅。ご縁。不思議な巡り合わせに、ややオーバながら運命の糸を感じました。
 前々回のブログでは白鳥英美子さん、今回はジュディ・コリンズさんの「アメージング・グレイス」。





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19 コメント

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出逢い 邂逅 (お母ちゃんの徒然)
2018-04-18 13:32:46
デ某さん午後の名曲の時間訪問です
アメージング・グレイス いろんな方が歌っておられますね

ワタクシの追悼の曲はアメージング・グレイスのこの曲を流してほしいものです

本田美奈子さんをふと想いました
美奈子さんも白血病で召されました
細身の体でアメージング・グレイス を美しく歌っておられましたね

デ某さんの今日のブログは崇高で真面目でほんまもんでした
ワタクシの内なる優しさを虜にしました
出逢いとは 辿って行けば繋がっているんですよね
それがどのような繋がりであろうと
普段 1時間も話し込む事はない奥様が 何かの糸に引き手繰られるように デ某さんの忘れられない人を結びつけるとは・・・・・しんみり

ワタクシ戯言のブログをセコセコ書いているお婆 笑わそうおもて恥の上塗り しやぁ~ないな~真面目が続かないのよね
ではジュディ・コリンズさんの「アメージング・グレイス」を聴きながら

失礼します
まさに邂逅! (ムベ)
2018-04-18 13:47:17
時に巡り合わせには、備えられたような深い味わいがありますね。
美しい賛美のひとときをありがとうございます。

驚くばかりの (聖歌229) 

驚くばかりの 恵みなりき
この身の汚れを 知れるわれに

恵みは我が身の 恐れを消し
任する心を 起こさせたり

危険をもわなをも 避け得たるは
恵みの御わざと 言うほかなし

御国に着く朝 いよよ高く
恵みの御わざを たたえまつらん
邂逅 (遠音)
2018-04-18 17:33:20
ご夫婦での不思議な巡り会い。。
滅多にあることでは無いと・・
引き合う何かがあるんでしょうね。
言葉では及びませんが・・何かが・・

書にたしなみが無いのですけれど
とても深く重く私のこころに届きました。
ありがとうございます。素晴らしい書ですね。
今回はこの書に重ねる思いが増えたことでしょう。
奥様お元気そうですね。 函館も もう少しで
五稜郭のお花見できますね。
RE/ お母ちゃんの徒然さん「出逢い、邂逅」 (デ某)
2018-04-18 20:29:17

お母ちゃんの徒然さん
愉しいコメントありがとうございました

> 午後の名曲の時間訪問です
そう仰られると 次!はどんな曲にしようか・・・とプレッシャーを感じます

> アメージング・グレイス いろんな方が歌っておられますね
> ワタクシの追悼の曲は アメージング・グレイスのこの曲を流してほしいものです
この歌は 黒人霊歌であり またイングランド民謡でもあり
それぞれに頷ける曲想ではあります。
魂を揺さぶることにおいて 共鳴し共有できる歌ですから、
ご自身の追悼曲としてきっと叶うと思います。
ただし ず~~っとずっと先!のことです(笑)

> 本田美奈子さんをふと想いました・・・白血病で召されました
> 細身の体で アメージング・グレイス を美しく歌っておられましたね

いつでしたか 彼女の厳しい闘病のドキュメントを視ました。
また作詞家 岩谷時子さんとの往復書簡にも触れ・・・胸がいっぱいになりました。

> 今日のブログは崇高で真面目でほんまもんでした
> ワタクシの内なる優しさを虜にしました
内なる!だけではなく 外にも!あふれるお母ちゃんの徒然さんの優しさに届き
単純なデ某 心より嬉しく存じます。

> 出逢いとは 辿って行けば繋がっているんですよね どのような繋がりであろうと 
稀ながら・・・多くの方が経験される繋がり!
でも 今この世に生きていること・・・
その偶然の連鎖に思い至ると 何もかもが奇蹟!に思われます。

> 普段1時間も話し込む事はない奥様が 何かの糸に引き手繰られるように 
> デ某さんの忘れられない人を結びつけるとは・・・
電話を受けた妻の驚きと興奮・・・半端なかったです
今回 ブログには別のことを書くつもりでしたが、急遽・・・。

> ワタクシ戯言のブログをセコセコ書いているお婆 
> 笑わそうおもて恥の上塗り しやぁ~ないな~
いぇいぇ いつも愉しく面白く興味津々拝読しています
そのサービス精神にいつも感服しています。

> ではジュディ・コリンズさんの「アメージング・グレイス」を聴きながら失礼します
ジュディの曲想はアイルランド民謡に近いですね
一方、プリスリーがこの曲を歌うとゴスペルに近くなります。
ではでは ジュディ・徒然さん ご機嫌よう

岩谷時子さん作詞によるザ・ピーナッツ「ウナ・セラ・ディ東京」を!
https://www.youtube.com/watch?v=PQ5vUV8y8Rc
Re : ムベさん「まさに邂逅!」 (デ某)
2018-04-18 20:46:30

ムベさん
優しみのコメントありがとうございました

> 時に巡り合わせには、備えられたような深い味わいがありますね。
はい、まさに「あらかじめ備えられた」ように不思議で深い味わいが・・・

> 驚くばかりの(聖歌229)・・・・・・
はい。讃美歌(聖歌)としては229番「驚くばかりの」ですね
心あふれるばかりに恵み深き・・・調べです。 

> 『驚くばかりの 恵みなりき この身の汚れを 知れるわれに・・・』
歌詞を記してくださりありがとうございました
歌詞をみながら聴くとまた一段と深い恩寵が感じられます。
がんサバイバーは殆ど生涯つづく術後検診のたびに緊張と不安に襲われますが、
「恐れを消し任する心を」の詞を心に抱きたいと存じます。

ムベさんにたくさんの幸いがありますように
ご縁 (ふじのりんご)
2018-04-18 21:06:21
・赤い糸・は、デ某さんと麗しき奥様の繋がり

こんな素敵な、出会い 縁 は何て言うんでしょうか??

とても感動的なストーリーですね
現実離れしてますが、出会ったお医者様の思いが
多分、引き寄せてくれた・糸・だったんでしょうか

素敵なデ某さんへの最後のお別れを告げられたように感じました
Re:遠音さん「邂逅」 (デ某)
2018-04-18 21:12:21

遠音さん
コメントありがとうございました

> ご夫婦での不思議な巡り会い。。滅多にあることでは無いと・・
不思議なことは結構!身の周りにあるものですが、格別に!

> 引き合う何かがあるんでしょうね。言葉では及びませんが・・何かが・・
妻の話を聞き 和室に架けている書「邂逅」に改めて向き合いました
わざわざ書家に依頼された色紙です。
「出遭い」でも「一期一会」でもなく「邂逅」と指定して依頼されたと伺いました。
再びの邂逅、新たな邂逅に導かれました。

> 書にたしなみが無いのですけれど とても深く重く私のこころに届きました。
> 今回はこの書に重ねる思いが増えたことでしょう。

書も 芸術となると逆に遠くに離れ去りますけど
それぞれの思い!と重なると グッと身近になります。
この書に私が感じた思いが遠音さんにも届いたようで 嬉しいです

> 奥様お元気そうですね。 
> 函館も もう少しで五稜郭のお花見できますね。

来月連休明けに私の郷里に帰りますが、
次に妻が函館に行くのは5月~6月頃でしょうか。
北海道の一番!良い季節と伺っていますけど、私はまだその時期。の北海道を存じません。
妻の実家は五稜郭から程近い日吉町にありますが、
五稜郭さえいつも外から!ばかりです(笑)
いつか北海道一周するどぉ~!とは思っています(笑)
ではではいつものように したっけねぇ~

「」どこまでも行こう」をゴスペル調で!
https://www.youtube.com/watch?v=6ZwOtTbviyQ
Re:ふじのりんごさん「ご縁」 (デ某)
2018-04-18 21:33:51

ふじのりんごさん
コメントありがとうございました

> ・赤い糸・は、デ某さんと麗しき奥様の繋がり
赤い糸ですか・・・。その糸にはかなりきつく縛られていますが・・・

> こんな素敵な、出会い 縁 は何て言うんでしょうか?
不思議なことは意外に多いものですが、妻には殊の外!ハッピーサプライズのようでした

> 出会ったお医者様の思いが多分、引き寄せてくれた・糸・だったんでしょうか
ストーリーを紡ぐのは寧ろこれから!かもしれません
その最初の機会に導いた糸には 間違いなく先生の手が関わっているように思います。

> デ某さんへの最後のお別れを告げられたように感じました

私にとってかけがえのない方であったと同時に
私自身が先生にとってかけがえのない存在であったとも 秘かに自負しています。
それぞれの持ち味を生かしあえただけに・・・逝かれたことが残念でなりません。

ギターの好きなりんごさんに村治佳織さん「アルハンブラの想い出」を。
https://www.youtube.com/watch?v=7llUA1_QHL0
めぐり逢い (風のフェリシア)
2018-04-19 23:56:12
不思議なことが起こるものですね!
その医師とデ某さん、双子の姉妹とデ某さんの奥さまの4人は、
互いにシンパシーを感じ合ったということでしょうか。
とても素敵なお話です。

書も素晴らしいですね。
Re:風のフェリシアさん「めぐり逢い」 (デ某)
2018-04-20 00:29:48

風のフェリシアさん
コメントありがとうございました
なんだか ふっと フェリシアさんの風を感じて ブログを開いたら コメントがありました。

> 不思議なことが起こるものですね!
自分が生まれたことも不思議中の不思議!ですから 
これくらいは 不思議の中に入らないかもしれません(笑)

> その医師とデ某さん、双子の姉妹とデ某さんの奥さまの4人は、
> 互いにシンパシーを感じ合ったということでしょうか。
シンパシーを感じたというより 寧ろ「そうなる」ことが予め定められていたよう・・・

> 書も素晴らしいですね。
書は、その「邂逅」という言葉にとても魅かれました
まさにそのように思っていましたから。
しかし 書そのものについては 筆の運びが余りに流麗すぎ、
頂いたときは それ程!胸に迫るものではありませんでした。
しかし妻の話をきき 改めて「邂逅」の書に向き合った時 はらはらと涙あふれて参りました。

風のフェリシアさんの「風」を感じ・・・「風をあつめて」を聴きながらリコメしています。
ハッピーエンドの歌ですが 今夜は太田裕美さんでお聴きください。
https://www.youtube.com/watch?v=K-19gZE-8Ec

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