人財と組織の育成を支援する「合同会社5W1H」のニューズレター

「納得できるように、物事を主体的に変えていく力」を持った人・組織こそが、「意義深い人生を送る能力」を持った人(から成る組織)であり、「贅沢さとは異なる豊かさを享受し、QOL(人生の質)向上を実現する能力」を持った人・組織である

アイデンティティ・アップデート ~『心の運動不足』を解消し、『心の筋力』を高めていきましょう~(第190号)

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こんにちは、合同会社5W1Hの高野潤一郎です。

(地方によっては時期が異なりますが)「お盆」には、身内や近しい親戚が顔を合わせたり、懐かしい友人に出会ったりする方が多いこともあってか、日常の忙しさから離れた状態で自分(および家族や、経営する会社など)の将来について考える人も増える時期です。

そうした人々と話すと…『納得するセカンド・キャリアの基礎』や、『ラディカル・キャリア・チェンジ』徹底サポート に関心を持ってくださる方々とは別に、次のような感覚を覚えていらっしゃる方々が多いことに氣づきます。

それなりに順調なようにも思うけれど…
本当に、このままで良いのだろうか?

別の生き方や、別の働き方を、すぐに検討するほどではないのだけれど…


  • 今まで大事だと思ってきたことが、以前ほど大事に思えなくなってきて、それに関わるのが面倒だと感じる場合も出てきた。
  • 同じ趣味を持った者どうしで集まるのはそれなりに楽しいのだけれど、そういう場では、深く掘り下げた話もしづらいし、結局、心ゆくまでは楽しめない
  • 「管理職」になったのは認識していたけれど、無意識のうちに、今も「現場スタッフ」の姿勢で仕事をしていたようで、周囲から「それではいけない」と指摘されてショックを受けた。…「周囲から期待されていること」と「自分の果たしている役割」にズレがある
  • 現状に甘んじて、嫌なことがあるたびにストレス解消して、自分をダマしダマし過ごしていていいのだろうか?

これらは…環境(周囲の価値観、業界の常識、主流の技術など)も変わるし、自分(社会的役割、身体能力、認知能力、個人の価値観など)も変わっていっているはずなのに、自分のアイデンティティ(※1)は、以前のままでいるために、ふとした時に「あれ?」と感じる場面が増えてきたという話、すなわち、「『環境認識と自己認識のズレ』や『葛藤』が生じ始めた」という話なのかもしれません。

あなたは、似たような感覚をお持ちでしょうか?

※1 アイデンティティ(identity)とは、「自分=○○の人」「この場面における自分=○○の役割を果たす人」「自分=○○が好き/得意な人」「自分=集団の中で○○というポジションの人」などといった自己認識のことです。

「環境認識と自己認識のズレ」や「葛藤」を放置しておくと、周囲から否定されているように感じたり、能力に自信が持てなくなったり、物事に関わる意欲を無くしたり…と、苦痛が大きくなっていってしまいます。

そうならないために、「環境認識と自己認識のズレ」や「葛藤」を感じ始めた段階で、『自分のアイデンティティをアップデート』(自分自身の再定義)を行えていれば、例えば、「判断軸が明確になって迷いが少なくなる」「言動に一貫性が保てる」など、「自分自身のみならず周囲に好影響を与える」といった形で、状況が好転します。

アイデンティティのアップデート』は、本来、日々の生活の中で少しずつ自然にできることなのですが、「アップデート」をしばらく怠っていたようであれば、「日常の忙しさから離れた場で、アップデートの準備に集中的に取り組む」のも効果的です。

あなたは、「環境の変化」に合わせて、『自分のアイデンティティをアップデート』してきていらっしゃいますか?

 

『ズレや葛藤』は『心の運動不足』から?

私たちは、『環境との継続的な相互作用』を通じて、さまざまな能力を発達させたり、それらを統合したりすることで、『自己刷新を続け、ユニークな存在となっていく』ものなのではないでしょうか?

このような視点に立って考えるならば、「『環境認識と自己認識のズレ』や『葛藤』が目立ってきた」というのは、「『アイデンティティの環境適応』(環境との継続的な相互作用を通して、アイデンティティを刷新し続けること)が、現状うまくいっていないというメッセージ」なのではないでしょうか?

アイデンティティの環境適応』というのは、少しカタイ表現かもしれませんので、日常生活における『心身の環境適応』といった切り口から考えてみましょう。

まず、「環境への身体の適応」について考えると…例えば、江戸時代に暮らしていた多くの人にとって「移動」といえば「徒歩」だったため、便利な交通手段が普及している現代に暮らす私たちに比べて、「健脚」の人が多くて当然かもしれません。

また、靴を汚さずに「水たまり」を越えて進もうとする場合には、「水たまりの大きさ」(環境)と「歩行者の身体の大きさや歩幅」(身体)の両方から判断して、「またぐ」のか「飛び越える」のか「迂回する」のかなどといった身体活動を選んでいます。

こう考えると、「どういうワーク/ライフ・スタイルが当たり前の環境に身を置くか」によって、運動不足で生活習慣病になってしまいやすいのか、知らず知らずのうちに適度に身体を動かして健康体を維持しやすいのかが違ってくるのかもしれませんね。

「身体の運動不足」は、「体力の衰え」などといった形で、氣づきやすいかもしれませんが…「物理的・社会的な環境への心の適応」を促すのに重要な役割を果たす「対面のコミュニケーション」はどうでしょうか?

「対面コミュニケーション」とは、「環境認識と自己認識のすり合わせ」を知らず知らずのうちに行うなど、さまざまな効果を含んだ「心の運動」(環境との相互作用)でもあります。 便利な通信機器の普及に伴って、「対面コミュニケーション」(心の運動)に、あまり時間やエネルギーを割かなくなったという人も多いのではないでしょうか?

現状、あなたの「対面コミュニケーション」(心の運動)は、「環境への心の適応」(※2)を行うのに充分な「量と質」でしょうか?

※2 ここでは、「環境変化に応じて、適宜、自分自身の再定義を行うこと」という意味で用いています。

 

『心の運動不足』を解消し、『心の筋力』を高めていくために…

VUCAとも表現される変化の激しいビジネス状況不安やストレスの多い社会に適応して生きていくためには、「関係者と協調しつつも、自分の考えを主張することができる」ように、『社会情動的スキル』(心の筋力)を普段から向上させることが重要です。(※3)

※3 もちろん、新しい事柄を効率よく学んだり、試行錯誤しながらも自力で答えを導けたりする知能も引き続き重要ですが、今後は、1人の人間の能力・時間といった制約を超えた働き方で価値を創出することの重要性が増していきます。 これは、『チーム・メンバーなどの他者や、異業種の他社からも貪欲に学びつつ、効果的な協創・協働ができる』という、『社会情動的スキル(心の筋力)の効果的な発揮』が今まで以上に求められるということです。

ところが現状は、「対面コミュニケーションが不足」(心の運動が不足)しているために、「社会情動的スキル」(心の筋力)が充分に育っておらず、「『環境認識と自己認識のズレ』や『葛藤』が生じやすくなっている」という方や、「ひとりで専門分野の仕事をこなすのは問題ないけれど、分野や部門を横断して協働する働き方が苦手」という方が増えています。

「心の筋力が落ちている」にもかかわらず、「環境認識と自己認識がズレたまま」あるいは「心に葛藤を抱えたまま」で、急に「たくさんのコミュニケーションを図ろう」(心の筋肉に、過剰な負荷をかけよう)としては、自分の心理負担が大きいだけでなく、相手や周囲に迷惑をかけてしまう恐れもあります。

では、どうすればよいのでしょうか?

「関係性や場を良好に保ちつつ、クリティカル・シンキングを用いる『協創対話』」などを身につけるための『対人演習の機会』を探されるのも良い(※4)かもしれませんし、自分に合った相性の『コーチ』を活用して、積極的に「図表ジョハリの窓』の『開放の窓』領域を拡張する」のが良い(※5)かもしれませんし、いろいろな方法があると思いますが…

「ジョハリの窓」を用いたアイデンティティ・アップデート

図表:「ジョハリの窓」(“Johari window” by Joseph Luft & Harry Ingham) を用いたアイデンティティ・アップデート [ 合同会社5W1H作成 ]

アイデンティティ・アップデートセミナーでは、「自分が感じる価値」や「大切にしたい信念」を洗い出し、「現在の自分が身を置いている物理的・社会的な環境の下」で、「今後は採用しない方が良さそうなもの」「引き続き採用していくのが良さそうなもの」「新たに採用した方が良さそうなもの」といった視点も踏まえて整理して、「価値観・信念体系を再構築」し、それらを「日常生活を通して心身に落とし込み」やすくするために、他の参加者との『対人演習』『複眼的&重層的な振り返り』で、「アイデンティティ・アップデートの準備に集中的に取り組む」ことを予定しています。

日常生活における「環境認識と自己認識のすり合わせ」自力で出来るようになるためのヒントを得るため、直接の利害関係がなく向上心が高い人々との「対面コミュニケーション」(心の運動)を通した実践的な学習で、「自分のアイデンティティをアップデート」(自分自身の再定義)したい!とお考えの方と会場でお目にかかれるのを楽しみにしております♪

※4 例えば、発想力・実行力向上トレーニングページをご参照ください。
※5 例えば、着眼大局・融通無碍のコーチングページをご参照ください。

さて今回は、お盆が近い時期ということで、「生き方や働き方を大きく変えようと思うほどではないのだけれど、自分は、本当にこのままで良いのだろうか?」といった感覚を覚える方に出会う機会が増えるという話から、「環境(周囲の価値観、業界の常識、主流の技術など)も変わるし、自分(社会的役割、身体能力、認知能力、個人の価値観など)も変わっていっているはずなので、適宜、アイデンティティの環境適応』をしないとマズイ!」、「『心の運動不足』を解消し、『心の筋力』を高めていきましょう!」という考え方を紹介してきました。 

あなたは、どんなことを感じたり考えたりされたでしょうか? 周囲の方々とお話になってみてくださいね。

それでは、次回のニューズレターでまたお会いしましょう♪

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