今日の記事は、「不登校をさせている間、どう過ごさせたらいいのかわからない」という保護者の方、「何をしていたらいいのかわからない」という不登校の当事者さん向けの内容かなと思います。もちろん我が一族の経験がもとになっているので、発達障害の子対象でもあります。


テーマは、進路にするのか、趣味にするのか、学習関係にするのか迷いましたが・・・進路に深く関わっていく内容なので、「進路」のテーマとして扱う事にします。


学校を休んで、有り余る時間の中で勉強ばかりしていられないし、かといって家にばかりいると退屈・・・そんな時や、夏休みをどう過ごしたらいいかわからない、という時におすすめなのは、不登校をしている子や、発達障害の子が「まあ、いいけど」と思えるような経験、家での料理や仕事の手伝いでもいいですし、イベントや講習会、体験、見学や博物館、美術館巡りをすることなどです。好きな事をさがしだしてやるのはなかなか難しく、そうそう希望にぴったりのイベントなどもないので、嫌いではないけど、やる気はそんなにでないけど、まあ、やってもいいよ程度の「可もなく不可もない」体験でも多ければ多いほど、後々の学習の中や仕事の中で「パッと」チャンネルが合って、そこから急激に伸び出すということがあるのです。経験や体験の無理強いはやめた方がいいですが、何かを見に行くだけ、とかでも十分いいことだと思います。


なんだ、そんなことか・・・と思われるかもしれませんが、今成人して仕事をしている親族の人間についてヒアリングしている大学生の子の調査結果によると、小学生時代での色んな体験が、中学や高校、大学、仕事での進路決定に大きな影響を及ぼしているそうです。大学の研究の一貫として、人の経験と仕事、その結果について調べているようなのですが、そこから面白い結果が見えてきて、今一族の中では「それはいい情報だ」と興味津々状態です。今不登校をはじめたばっかりの不登校児の新米親(不登校の親1年生)にとっては、今、特に夏休み、何をしたらいいかということがクリアになって、心強い情報となりました。



これまでの記事にも書いてきたように、我が一族は長い年月の中、不登校を経験している人数は大人数と言えます。その人間たちの社会へ出た結果と幼少期、学生時期のヒアリングをすると見えてくるのは、ある時期に自分がしたいことや、やりたいと目覚めた時、自分はこれしかできなさそうと決めた時、転校したり学部変更をしたり、転職した時に、根本的なことをつきつめていくと、子ども時代の経験がとても強力な影響力を持っていました。


例えば、ですが、スーパーサイセンスハイスクール(SSH)を卒業し、大学へ進学し、今医者の卵である親族のたどった道はこんな感じです。小学校時代はほぼまるまる不登校児でしたが、この子は不登校で時間がありあまる日々を、その日にやると設定した勉強内容が終われば、その後ずっと暇つぶしに山や田んぼにいて、魚を釣ったり沢蟹をつかまえたり、虫取りなどをしていました。農作業も手伝っていたので、「自分は大人になったら農業をするのかな」と思って、はじめは農学部を希望していました。ですがSSHで勉強している最中に、山や川、田んぼで1日中、たいくつな時間は動植物に向き合ってきた記憶が生物の学習で「学問化」していくことに不思議な楽しさを見つけました。自分が季節を通じ見てきた生き物の脱皮や、田んぼの変化、水質や土、環境や天候の状況で毎年そこにいるおたまじゃくしやカエル、その他生き物の様子(色や大きさ、数)にも変化があるということなどを生物の授業の中で根拠を見つけたり、謎が解けたりしていき、「生き物」に夢中になったそうです。そこがスタートで、今では人の体の免疫や構造にとても興味があるそうで、医学に夢中です。



他の親族の例では、あまり自然には興味がなく、日光にあたって山や川に居るタイプではなく、ただ物静かで言葉少ないタイプの子がいました。その子は反応がいつも薄く、何かをすごく喜ぶとか、楽しいと言う風なわかりやすい反応はかえさない子でした。親はどうしたかというと、「本人がこれは嫌そうだな」と思えること意外のことを、色々体験する機会を設けました。不登校がはじまった小学校時代は、手じかな所で図書館で色々な分野の本を色々調べて一緒に読書をしたり、1時間以上車で走らないとないのですが、美術館や博物館、絵画の個展や、陶磁器の見本市、フリーマーケット、科学博物館の体験コースや体験イベント、大学主催の子供向けのイベント、夏の親子キャンプ、とにかく無料だったり、「イベント」と名のつくものにどんどん参加したようです。(これは一族ではよくやる暇つぶし兼、課外学習です)


親が「一緒に行こう」と言えば「まあ、いいよ」とついてくるだけの状態で、特に楽しいわけでもなく、かといって反応的には嫌ではなかった、というまさに「可もなく不可もない」状態なのですが、その中に出会いがありました。中学の時に、いつものように「タダ券をもらったから行こう」と親からさそわれて行った絵画展で、印象派の絵に魅かれました。その日、絵画展の説明書のような分厚いカタログを初めて読んだその時から、絵を見て解読をする、評論をするということに虜になったようです。


明らかに興味は印象派に一点集中してその後は印象派の本を借りたりマネをして絵を描いたり、中学で美術部に入りたくて、学校に復帰したりしました。高校は普通の公立ですが、美術部に入りました。美術系の大学に進学するのかな、と思いきや、「ある有名な美術館がある県の大学へ行く。その美術館に通いたいから。」とごく普通の国立大学へ。学部は「読みたい美術書を取り寄せたり読んだりするには外国語力がいる」ということで外国語を専攻、海外に交換留学にも行きました。その後、アート系の海外と関わりのある会社に入り、日本と海外を行ったり来たり、また日本でも出張などであちこちを転々としていますが「小さい頃からいろんな所へ連れて行ってもらったから、移動は苦手じゃない。イベントに顔出したり、調べたり書いたり、不登校してた時にやってたような事と同じことをしているような感じ。」だそうです。


他にも、色々と興味深い履歴の親族が多々いるのですが、とりあえず良く知っている身近な2人を書いてみました。小さい頃に顔を出したイベント、経験した体験、なんでもないような日常での自然とのふれあい、「好きでも嫌いでもなかった」ごく平々凡々とした体験が、成長した時にリンクして、どんどん花が咲いていくことというのは私や親族の子ども達を見ても実感できることです。



ちなみに、私も高校までは迷走した感じですが、大学の後半と仕事では楽しさを感じ、その瞬間に思ったのは小さい頃からの経験との整合性かもしれません。ぴったりくる、というか、しっくりくる、という感じでしょうか。特に仕事は、児童期に吸収した経験のあれこれに多大な影響を受けていると思います。


何もない所、何も経験のない所からは得られることは少ないですので、どういった効果があるかわからないながらも、ちょっとは気晴らしになるかな、こういうことも経験の一つとしてやっておこうかな、という程度でもいろんな情報や体験にとりあえず参加できる状態であれば、参加してみるといいかなと思います。

後でもしかしたらひょんなきっかけで「ああ、あれか、あの時行ってやったことは、こういう事だったんだな」と勉強や仕事とつながったのなら、人は自分から興味にまい進していくことは多々あります。

せっかく不登校をしていて、平日に、人の少ない施設や会場で自分のペースでゆっくり一つの事に取り組む機会があふれているのですから、学校にこだわらず、勉強以外の体験で得られる経験を将来の成長の種として子供時代に、子供の中に蒔いていくのはおすすめです。





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