「親・年長者」がテーマの記事が続く今日この頃です。


とても大事な事なのに、うっかりと下書き記事を放置したままにしていたものを、本日アップさせてもらいます。内容は、発達障害の子どもの鋭さ・カンの良さ、そして親の二心、裏心についてです。



親なので、何もかもを子どもにべらべらと話す必要はないですし、事細かに大人の事情を子どもに伝達することが必ずしも良いこととは思いません。大人の領分、子どもの領分というものがありますし、子どもに大人の責任を負わせることがないよう、小さな大人にすることのないよう配慮する必要があります。


ですが、子どもが主役であり、悩んでいるのが子供であり、影響を大きく被るのも子供であるという場合は親子関係のためにも、二心、裏心がない状態でお互いが接することができるのが理想的です。


自閉症の子どもや発達障害の子どもを育てていると、「どうしてそんなことには敏感なの?」と思う事はあるのではないでしょうか。そして、親の思うようには動かない。なぜそうなるんでしょうか。親の思惑を、動物的に察知しているからじゃないかな、としばしば思います。


例えば、親が子供の意に反して、もしくは裏心がある言動をした場合の子どもの反応ですが、



・行きたくない所に連れていかれる時・・・すばやく察知して泣き叫び、抵抗する、とか


・自分の意に沿わないことを親が伝えようとしている時・・すばやく察知して、不機嫌や怒り、暴言やたまに暴力をぶつけることで、それを聞かなくていいように親を押し返そうと抵抗する、とか


・やりたくないことを上手く言いくるめて、やらせようとする時・・・大声を出して抵抗したり、やる気がない態度をあけっぴろげに見せて反抗する、とか


・本当は親は子どもの希望とは逆のことを望んでいるのに、理解し賛成したふりをしている時・・・本当のことを言わなくなったり、会話が減ってきたり、親を敵視するような言動、懐疑的になり試し言動をするようになる、とか


そういう、わかりやすい子どもの逆襲にあうことがほとんどではないかな、と思います。子どもはわかりやすいのです。逆にこれらの事は、子どもが逆襲してくるような事のない関係性を持とうと努めていると、自然と無くなります。



くれぐれも誤解のないようにあえて書きますが、子どもに媚びへつらうとか、おもねるとか、遠慮するとか、そういうことはしません。それは子どもが悪い方へ、例えば支配的になったり、年齢不相応な要求を当たり前とする放漫さを持ったり、子ども自身が感情のコントロール不能な状態になったりと、いいことがありません。



先の記事にも書いたように、ただ子どもにきちんと対話することが大前提です。その上で、二心、裏心がないよう接するのだ、ということが言いたいわけです。具体的には、親族の実例を出して説明してみます。


6月頃に、小学校6年生の子が登校拒否をしはじめ、このまま不登校でいくかどうかを話し合う機会を持ちました。子どもは不登校を望みました。親は、学校の状況調べをしつつ先生との話をし、子供本人との話をした後に「登校することをすすめる」という結論に至りました。そして子供は納得の上、12月の今も小学校へ休まず登校しています。


ここで親子でこじれずに、すんなりと登校に至った経緯をお話ししたいと思います。


親族の子の悩みは、クラス内での「いじめ」でした。この子が感じるいじめは、以下のような内容です。

クラス内の4人、5人のグループからいちいちこの子の立ち振る舞いの癖や、話し方の癖、会話や対応速度があ・うんの呼吸でできず、一拍も二拍も置いてからの反応になるというような部分を面白がって、1日中「変わったやつ・おかしい」と言われるので「神経を逆なでされる、うっとおしい、やめてと言っても集団で面白がってやる、しつこい」というものです。


先生の話では、全く同じでした。そして先生の見解では、そのグループは勉強が嫌いで苦手、授業妨害が激しいこと、親族の子はおっとりだけど成績は中の上、どんくさいように見えて真面目、結果を出していることもあり、正反対であるため癪に障るようだ。見た目の言動がからかわれやすい。


ということでした。そして学校側の対応がきちんとしていました。クラスメートとの1日中の共存が限界にきているので、不登校をするよりはサポート教室で自習的な学習をする方が出席ともなるし、テストも受けることができ、私立中学の受験にも支障が出ない(この親族の子は今のクラスと中学へ上がる事を避けたいため、自分に合う私立を見つけたため受験予定です)、というものでした。


親は、子どもが「もう学校へ行くのは絶対に嫌だ」と言った時に、上のような事情を調べてきました。その上で、親の提案を出しました。


・不登校をしたいのなら家庭でしっかりと学習する条件であれば了解する

・ただし、不登校をした場合、中学受験は合格が難しくなる可能性が大きい。欠席することでの影響はある。

・親の見方としては、中学受験をずっと希望していたのだから、叶えてやりたい気持ちと、今の同級生と離すことで気持ちの安心を確保してやりたい気持ち、その両方を取りたい。

・この両方をかなえられるような提案が、学校から出された。(サポート教室の説明)

・サポート教室への登校を試して、上手くいきそうなら続ければいいのではないか。

・同級生との問題が解消できれば、生活態度、勉強に問題はないからやっていけると言っている。親も同じように思うが、お前はどうか。



というのが話し合いの内容でした。不登校をしなくてもやれる道があれば、当然それをすすめるわけですし、親がそこで「不登校してもいいよ。あなたがどうしても無理って言うなら・・・」という言い方で、親の気持ちをオブラートにつつんでしまい、子どもに決定権を全部渡して子供の気持ちだけを引き出す、というのではフェアーじゃないわけです。


親としては、調べて精査したところ、こうしたらいいと考える。ダメなら、条件付き不登校でどうだ。と考えていることを全部きちんと先に述べたうえで、次に子どもに考えを聞いたのです。


お互いの考えを、二心なく、お互いが裏がない、とはっきりわかる状態で対話することは、問題を抱えやすく、また認知の歪みが強く、猜疑心が強く、自分に自信がないことで他人への警戒心が強い発達障害の子どもにはとても重要な事項なのではないかと思うのです。



結局、この親族の子は先生と親が話し合って見つけた「サポート教室へ登校することで、関係がこじれている同級生との距離を保ち勉強に集中する」という案を、「それは今一番してほしかったことだ。それでいい。やってみる。」と返事し、そのまま無事に登校を続けています。決断までは、子どもはやはり未知の人と違う方法を取る事には勇気が要りますし、2日、3日と沈黙し、親は返事に「今週中に」と期限を付けつつ待ったそうです。



幼稚園への行き渋り、予防接種の拒否など、あらゆることで、こうした親の意向や子供の意向はぶつかり合いますが、正直に「親も無理はしたくないけれど~という理由でやならければいけないから、嫌だと言うあなたの気持ちもわかるし、かなり困っている」という心情を正直に話すことも多々あります。


乳幼児期の予防接種は意見を聞けない0歳児ぐらいが多いので問題ないですが、日本脳炎、インフルエンザの予防接種などは4歳、5歳以降ともなると対話の世界に突入するので、受ける目的、受けなかったときの予測、保障できない効果、親としての考えなどをなるべくわかりやすく、一緒に考えるスタンスで話していくことが多いです。


どんな問題が起こっても、お互いが納得できる道はあるかを考えながら、なるべく子どもが


「親は僕(私)に嘘をついている」

「僕(私)の気持ちをわかっていながら、親が望むことを強いようとしている」


と思いこむ事がないように、きちんと親が何に悩み、どういう状態になる事が心配なのか、親の希望の理由はなんなのか、どう後々、あなた(子)に影響すると考えているのか、ということまできちんと理解できるように粘り強く伝えていくことは、親子両方にとってデメリットよりはメリットになると感じています。



そして結局は、こうした積み重ねが親子関係に反映されていくように思います。

親テーマの記事でした。





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