今この時期に、発達に凸凹があり、保育園・幼稚園や小学校で少しでも支援をしていただかないと日々の生活で子どもが困ってしまう、というお子さんを持つ保護者の方に必要とされるのでは、と思い、この本を紹介します。

まだ出版されて新しい本なので、それほど知られてはいないのかなと思います。ですが、特に都心に住まう親族の間では、学校の先生にとても受けの良い本だということで情報提供がありました。


本の題名は


「イラストでわかる特別支援教育サポート事典 「子どもの困った」に対応する99の実例 」です。


イラストでわかる特別支援教育サポート事...

イラストでわかる特別支援教育サポート事...
価格:3,456円(税込、送料込)


他の本との違いは、ページを開くと主にイラストで、学校の一つの場面での「子どもが困る状況」と「子どもが困らない状況」がぱっと見ただけでわかるように描かれており、そこに添えられている文章は何に子どもが困っているのか、どう具体的な言葉かけ、工夫、関わりがあれば子どもは学校生活に難しさを感じないか、を説明しています。


先生が現場で実際に困った経験を「実例」として出し、その対応、解決策を書いているわけですから、家庭で親が困ったときの対応のノウハウ集としても使えるかなと思います。


都心の親族は、学校の先生にこちらの本を見せて「子どものケースはこれですね」と示すだけで、そのページで先生がまさに経験した困ったシチュエーションと、ならばどうすれば子どもは大丈夫だったのか、という具体的な方法が書かれているので、「これだけで、こんなに反応が違ってくるんですね」と実感してもらえるようです。


以前紹介した本 のように、こちらの本も作者が現場経験者です。通級指導教室で発達障害がある子の相談と指導をされていたようなので、現場での子どもの反応がつぶさにわかるのだと思います。


内容の紹介部分を引用します:


「通常学級の教師が直面するよくある「困った」場面。じつは子ども自身もどうしたらよいのか「困って」います。」


「授業中のよくある「困った」/友だち関係のよくある「困った」/学習のよくある「困った」/生活面のよくある「困った」/学校行事のよくある「困った」/放課後・家庭のよくある「困った」-保護者との連携」


私が良いなと思ったのは、P35の


「行動・強要・同じことを求める」というテーマの部分です。手元に今本がないので記憶でだいたいで書きますが、こんな感じです。


先生が発達障害の子に発する言葉が、


どうしてそんなことをしたの?と聞く時、それは「行動について」問うているだけ。


~なのだから、~しようね、という言い方は教師は「説明」だと捉えているけれど、子どもには「強要」と感じることがある。


周囲との協調を応援すると、それは子どものその時の気持ちを「受け止める前」に、同じであるように促すだけの行為となっている、


というような内容だったと思いますが、定型の先生が発する言葉が非定型の子どもには「違う意味、違う意図の言葉として」受け取られているいい例だなと思いました。子どもがその場で困っていることを汲み上げる目的よりも、学級運営の視点から、そこに子どもを同調させようとする目的が優先して発せられる言動であるのですが、それがかえって子どもの考えや心を悪い風に刺激してしまい、さらに困らせ、結果として学級運営がうまくいかない、という発達障害の特異性が壁となって、定型の子どもたちに対する学級運営方法でやると滑ってしまうという現実を示していると思います。


子どもには色んな考え方をする子がいて、発達障害の子たちはこういうタイプでこういう傾向の受け止め方をするので、指導する側が、使う言葉や態度をこれにするといいよ、という「方法の選択肢を増やす」だけで学級運営はスムーズに行くのだ、という観点で書かれていますから、先生方としては「知らなかった知識が増える、かつそれはそれほど手間もいらない、本当にちょっとした工夫」であるだけなので、負担感も少ないからこそ、受け入れてもらえやすい本ではないかと思います。


これから、4月に入園または入学する子たちの親族の親は、こうした本を先生に示して「障害特性がある」という部分を恐れられたり、非常に難しい物として捉えられることよりむしろ、「こんな感じでやればいいってことですね」と具体的な例と対策を読むことで、指導者が恐れるような、まだ未知のことであるからこそのマイナスの先入観を持たれない入り口の対策として利用しようとしています。


私立小学校へ入学する親族の子たちの場合、学校見学の際に、こうした内容が自然となされている環境であることを確認した上で入学を決めた親もいました。意外と個性を重視する私立は、個々の学生への対処を独自によく研究して具体策を積み上げているものなのかもしれない、と感想を述べています。これはもちろん学校にもよりますので、探して上手く見つかった例であるわけですが。また、環境はベターなものであっても、今現在子ども側でも努力しています。子ども自身が対策としての知識を積み上げるように、前回紹介したようなDVD  を見てシチュエーション別の対応を、「選択肢を増やす」ように頑張っています。


4月の入園・入学の時期を控えた親は、とても不安が大きいものです。先生の移動が3月にありますし、支援をお願いする、話し合いをする、相談するという機会も赴任された先生とするのであれば、相手も忙しくバタバタした状態の中に割り込んで伝えないといけないわけですので、こちら側が用意した、文章だけで書きだしたサポートブックなどが「読まれない」という結果に終わることもしばしばです。


それよりはむしろ、自分の子どもにあてはまりそうな項目をこの本からコピーなどで抜粋して冊子にして、「うちの子の傾向とその対策です」と渡したほうが、先生が授業中に「こうしたらいいんだったな」と思い起こせるマニュアルとしてわかりやすく印象的であるので、活用していただけそうに思います。普通級でのクラスで起こりうることを想定されている感じがしたのでよりいいなと思いました。


あくまで、クラスの数十人のうちの一人として入学するのであれば、45分授業のうち、自分の子どもに目を向けてもらえるのは数分の割当しかない、というような気持ちで支援をどう、要領よく、またインパクトある形で伝えて、かつ簡単に実践できるような労力の少ないものを・・・と考えるならば、支援をお願いする側の親が頭をフル回転させて教師に提供する情報やお願いの内容も吟味することは必須になってきます。


そうした方法を取る上で、必殺の技として活用できそうだと思いましたので、参考にご紹介してみました。





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