外的なことに気を取られすぎず本質的なことを見落とすことのない生き方をしたい!! | ️️✨Yama's world✨

️️✨Yama's world✨

心豊かに幸せ感じる選択をするためにっ

私の好きなお話です\(^o^)/
ぜひ、読んでみて下さい♪


トルストイの
『二人の老人』


ある村の二人の老人がエルサレムへ
巡礼に行くことになりました。

比較的裕福なエフィームはまじめな百姓で
酒もタバコもせず人の悪口も言ったことが
なく、責任感も強いため村の長老役を
二回も務めました。


もう一人はエリセイといい
もとは旅大工をしていましたが
今はこの村に落ち着き
ミツバチを飼って生計を立てている人で
酒もタバコもする明るい性格の老人でした。


二人はずいぶん前から一緒に巡礼の旅に出る
約束をしていたのですが、エフィームは
旅費もたくさんかかるため躊躇していました。


しかしもうこれ以上伸ばしてはいけないと
エリセイが半ば強引に約束を取り付けました。

エフィームは家にあったお金を工面して
旅費を作り、エリセイは生計を立てていた
ミツバチの巣をいくつか売り
そして足りない分を家族のみんなから
少しずつかき集めて旅費を作り
そして二人は巡礼の旅に出発しました。


二人は順調に旅を続けていましたが
エフィームはいつも家のことが
気になっていました。

仕事を分担してきたけれど
息子たちはきちんとしてくれているか
などなど、いろいろなことが
気になってしまいます。


一方エリセイは家のことは
一つも気にならなかったのですが
巡礼の間やめようとわざと置いてきた
タバコが時折ほしくなるのでした。
それで道の途中で旅人に
わけてもらったりしていました。

ある村にさしかかるところで
エリセイは無性にのどが渇いてしまいました。

エフィームはタバコを吸わないせいか
足腰も丈夫でそれほど水をほしがりません。

エリセイは"村で水をもらってすぐに
追いかけるから先に歩いておいてくれ"と
言って村に入って行きました。

エリセイが一軒の農家に入って水を
もらおうとすると、その家の者たちは
みんな倒れていました。

事情を聞くと、去年作物ができず
貯めておいた食料も底をつき
馬や牛を売って食いつなぎ
近所の人にも食料を別けてもらって
いたけれども、とうとうもう誰も食料を
分けてくれず見向きもしなくなり
今は死ぬのを待つだけという有様でした。

エリセイはまず自分のパンを分けてあげ
水を汲んできてあげ
小麦や簡単な食料を買ってあげました。

どうにかその家の人々の
命はつなぎとめましたが

エリセイはここで悩み始めました。

"自分はこんなところで時間を
つぶしている場合ではなく早く
エフィームを追いかけて長年の夢だった
巡礼に行かないといけないのに。

でももし今自分がいなくなれば
彼らはまた何日もたたずにもとの
飢えた状態にもどってしまう。
何しろ彼らには畑も馬も牛も
道具さえ何もないのだから"

エリセイは彼らが
かわいそうでしかたないのです。

その晩はずっと悩み続けました。 

うとうとし出したのか
誰かが呼んでいる気がしてはっと目を
開けると、自分が身支度をしてドアを
出ようとしている姿が見えました。

しかし、その家の女の子がエリセイに
しがみついて「パンをちょうだい」と
言います。また男の子も足をつかんでいます。

窓からはおばあさんと家の主人も見ています。エリセイはそこで目を覚ましました。

エリセイは目を覚ますと心を決めました。
"明日は畑を買い戻してやろう。
それから馬も買い、子供たちに牝牛を
買ってやろう。そうしないと、海を渡って
キリストさまをさがしに行っても
自分の中のキリストさまをなくすことになる"

そう言って、その日にありったけの
お金を使ってすべてを買い戻したのです。

その夜、エリセイは家の人々には黙って
村を出て行きました。

"この金では海を渡って
旅するわけにはゆくまい。
エフィームは一人でも行きついて
わしのかわりにろうそくを
上げてくれるだろう。
わしには、どうやら、死ぬまでこの
おつとめは果たされないようだ。
まあ、ありがたいことに
神さまはお情け深いから
ゆるしてくださるだろう"と言って

来た道をまた引き返して家に向うのでした。

エリセイはエルサレムまでは
行けませんでしたが、とても心も体も軽く
疲れを知らずに家に着きました。

家ではおじいさんの
無事な帰りを皆喜びました。
しかしずいぶんと早く帰ってきたので
わけを聞きましたがエリセイは
詳しいことはあまり話しませんでした。

さてエフィームはエリセイと別れてから
ずっとペースを遅らせて歩いていたのですが
いっこうに追いつく気配がありません。

しかたなく木陰で一休みしたのですが
つい寝込んでしまい、エフィームは
目を覚ますとエリセイは先に行ってしまったかとあわてて出発しました。

進んでもエリセイは見当たりませんが
もう目的地で会うだろうからと考え
今までのように旅を続けることにしました。

海にたどり着くとそこから
船に乗るのですが
船は一週間に一便しか出ないので
港でエリセイのことを聞きました。

しかし誰も見たものはいませんでした。
途中で道連れになった旅僧はただで船に
乗る方法を教えてくれました。

しかしエフィームは船賃もちゃんと
用意してきたのだからとそれには
従いませんでした。船にはいろいろな
人種のたくさんの人がいました。

エフィームは盗難にあわないように
細心の注意を払いました。

席に座り込むとそこをかた時も離れず
ずっと自分の荷物を抱えて座っていました。

船が港につき、そこから陸路でまた
3日ほど歩きました。
そしてとうとうエフィームは
エルサレムに着きました。

エフィームは旅僧と一緒に聖地めぐりを
始めました。旅僧はあちこち案内してくれ
行く先々でいくら献金しどこでろうそくを
そえたらいいのかを教えてくれました。

二人が宿に戻ってくると急に旅僧が財布を
盗まれたと騒ぎ出しました。

しかし周りの者もエフィームも
どうすることもできず
そのままみんな自分たちの
休みの支度をしました。

エフィームは悩み始めました。

"あの旅僧はお金を
盗まれたわけではないんだ。

はじめからお金は
持っていなかったはずだ。

どこでもお金を
出したことはなかったし
わしばかりに出せと言って
自分では出さなかった。

おまけにわしから1ルーブル借りた
くらいだったからな"と思ったのでした。

あくる日、宿泊者たちは
また寺院周りに出かけました。

エフィームは一人で回りたいと
思いましたが旅僧はついてきます。

礼拝を受け寺院を回り
祈祷をしながらも

エフィームは時折自分の金がなくなって
いないかと確認するのでした。

彼の思いは二つに分かれていました。

一方では旅僧が自分をだまそうと
しているのだと考え

そしてもう一方では

もし嘘でなく本当に盗まれたのだとすれば
自分も同じ目にあわないですめばいいがと
思うのでした。

エフィームがある礼拝堂で
たくさんの巡礼者と一緒に祈りを
捧げていると一番前の主のひつぎの
あるところにエリセイに似た老人が
立っているのが見えました。

エフィームは自分の方が先に
来たはずなのにと不思議に思いましたが
それはどうみてもエリセイでした。

祈りを終えて出て行こうとするので
エフィームは彼を追いかけました。

しかし人ごみに紛れ見失ってしまいました。

その後も2回、エリセイはどこの礼拝堂でも
一番前のろうそくの真下で祈っていましたが
エフィームはその度に彼をつかまえることが
できませんでした。

一通りの巡礼を終えるとエフィームは家に
帰る準備をしてエルサレムをあとにしました。


家に帰る途中、ある村で一軒の農家から
ぜひ家によってくれと通りすがりの
エフィームを呼び止める人がいました。

エフィームは去年ここらへんでエリセイと
はぐれたことを思い出しながらその家に
一晩やっかいになりました。

すると家の人々は話し始めました。

"わたしらは巡礼の人たちに
親切にしないではいられないんです。

ある巡礼の人から
この世のなかというものを
教えてもらったんです。

わたしらは神さまのことを
忘れて暮らしていたもので
神さまのばちが当たって
みんな死ぬのを待つばかりでした。

去年の夏、みんな病気になってねてしまって
食べるものもなくなりました。

わたしらはもうちょっとで
死ぬところでしたが

神さまがおまえさんのようなおじいさんを
私らのところへおつかわしくださったのです。

その方はわたしらの様子を見て
かわいそうに思って、飲ませたり
食べさせたりして起き上がれるように
してくれた上に、土地を買い戻し荷車と
馬も買ってくれて、ぷいっと
行ってしまったのです"

"わたしらもあの方が人間だったか
天使だったかいまだにわからないのです。
わたしらをかわいがりあわれんでくれて
行ってしまったので・・・"

家の人々は交互にエリセイのことを
話しました。その晩エフィームは家の人が
こしらえてくれた寝床に入りながら
エルサレムで見かけたエリセイのことを
思い出しました。

"わしの骨折りは神さまが受け入れてくださったかどうかわからないが、エリセイのしたことは神さまに受け入れてもらえたのだ"

あくる朝、エフィームは十分な食事を
持たされその家をあとにしました。

エフィームは約1年ぶりに故郷の家に
戻ってきました。家に戻ってみると息子は
昼から酒を飲んでいて、たのんだ仕事は
全くされていませんでした。

エフィームはエリセイの家に
向っていくとエリセイの家のおばあさんに
声をかけられました。

おばあさんはエフィームも無事に
帰ってきたことを喜び、自分の旦那は
エルサレムまで行けず途中で戻ってきたけど
無事に帰ってきたことを家中の者が
喜んでいたと話しました。

エフィームはミツバチの巣箱のところにいる
エリセイに会いに行きました。


エフィームはエリセイが助けた家のことを
話そうとしましたが、エリセイは話を
はぐらかし、他の話をし始めます。
それでエフィームはエルサレムで彼を
見たことや助けられた家の人々の話は
もうしませんでした。


『二人の老人』

10年ぶりに読んだけど、10年の間に
何度も何度も思い出した物語です♪

外的なことに気を取られすぎず
本質的なことを見落とすことのない
生き方をしたい

心の無い祈りや
心の無い言葉

見えない世界を追い求める前に
自分の心を自分のことを見つめ直すことが
大事なんだろうなぁ!!