ドンウ21話~還らない心~ | INFINITE妄想小説☆彡

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初めての小説に挑戦しています。
名前やキャスティングなど全て個人的趣向での
人物としています。
ファンの皆様の御理解をお願いします。

※最近の動画は作ったものです。





もう・・・終わりにしょう。

全てを・・・。

終わりにしたって何も変わらない日常が
残るだけだから。

別にいいさ・・・

何も変わらないんだから。

変わるのはこの傷付いた心だけで、その他は
1つも・・・1つも・・・変わらないんだから。


暗い部屋の中にはいくつもの俺の抜け殻があって、
時々その扉を開いて確認してみると・・・

今まで殺してきた感情達が、折り重なるように
そこにあるだけだった・・・。

沢山の悲しみや怒り、欲求・・・沢山の
感情がそこに転がっていた。

今の俺は一体その抜け殻を見てどうするつもりなんだろうと
自分自身に問いかけていた。
それが無意味だと分かっていても、事実は違うんだって
分かっていても、皆本当は違うだろ?
って疑心になっていくのを必至で抑えながら、
最後にはその抜け殻を残して逃げていた。

今・・・俺はそこに立たされているのかもしれない・・・。

何かに試されているような、何かに追い立てられたように
そこにいるんだろうね・・・。

みんなの視線が痛いのはそのせいなんでしょ?

なんだか疲れたんだ。
俺の物語なんてどうでも良くなったんだよ・・・。

俺が終わればこの世界も終わって、過去も全て
思い出さなくても良くてさ。
だけど、その勇気がないから生きなくちゃいけない。

ノロマなカメやノロマなカタツムリが俺を苛立たせるんだ。
そんな目で見るなよ・・・
お前だって醜いだろ?・・・・・。

体に黒い空気を身にまとったら最後。

どんどん押し寄せてくるモノクロが、遂には
焼け落ちた屋根のように急に自分に落ちてくるんだ。
風で巻き上がった炎に、俺はもう自分でさえも
抑制できずに、怯えながら叫んぶんだ。
それから・・・白黒になって・・・何も心を動かさなくなる。
まるで毎日がお葬式だ。

俺から光を奪えばこんなもんさ・・・。
きっと俺だけじゃない。
光を失ったらみんなこんなふうに一気に押し寄せる
黒い炎に包まれるんだ。

俺は・・・夢を選んでしまった。

きっとその十字架を背負ってしまうのだろう。

まるで・・・自分が殺めてしまったかのように感じてまた
俺は堕ちてしまうんだろう・・・


プツッ・・・

誰かが針を刺してきた。

それは、誰にでもが起こる日常での小さな傷。

その痛みが収まったと思ったら、また違う誰かに
傷を受けるんだ。

チクチクと痛むのはそのせいだろう。

あまりにも小さな傷は他人からは見えない。

針で空けたような心の傷は、誰も気がつかないんだよ。

だからチクチクと音がするようだろう?

あのチクチクは、針で指す音だから。

風船がしぼんで見栄えも悪くなって、空にも飛ばなくなって
どうにも身動きができなくなった、ただの抜け殻。


だから俺は、


『・・・ちゃんっ・・・ドンウちゃん!!』


「?!」


「ドンウヒョン、大丈夫?心ここに在らずだった
みたいだけど・・・・」

「えっ・・・ホヤ・・・っとヒカリちゃん・・・」

「ドンウちゃん、駄目だよ。闇に囚われないで?」

「ははっなぁ~に言ってんのw俺はだいじょぉ~ぶっ!なのだっw」

「大丈夫な顔じゃなかったのっ!目が・・・
なんかっ目が違う世界に行ってたよ?」

「ヒカリちゃん・・・心配してくれてるの?ありがとう^^」

俺はそう言ってヒカリちゃんの頭を撫でると、また
一人で楽屋に戻った。

なに?

そうだよ。今日はHの最終日だから・・・ね。

頑張らなくちゃいけないんだ。
誰に向かって歌えばいいかって・・・
そりゃファンのみんなだよ。
当たり前じゃないか。
いつだって俺はそうしてきたし、これからだってファンの為だけに
歌うんだってば。

「死んだ魚の目・・・」
ヒカリはホヤにそう呟いた。

「うん・・・。」

「ドンウちゃん・・・あぁ・・でも今の私には
何もできないよ・・・」

「今の私?今の私って?」

「ん?なんでもないよ?」

「いや、絶対に今言ったよね?もしかして・・・」

「さぁ、さぁ!ホヤちゃんも準備しないとぉ~!」
そうヒカリに背中を押されて答えてもらえなかった。


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ヒカリちゃんはきっと俺の悶々と考えてしまうのを
遮ってくれたんだな・・・

俺が考えすぎておかしくならないように・・・

でも・・・ごめん。

何も思わないんだ・・・何も感じない。
ユカリンしか感じ取れない・・・。
今だってほら・・ユカリンの顔さえ思い出せば
涙が溢れてくるんだ。

でも、もう君はいない・・・

まさか身内に殺されるなんて思っても見なかっただろうね。

俺はユカリンの父親が許せなかった。
せっかく意識が戻ったというのに何故?
理解出来ないよ・・・。
俺からユカリンを奪った・・・俺から大切な人を奪った。
だけど、その考えが浮かばない。
何を思って?

もういいや・・・これで・・・終わりにしよう。

俺は・・・このステージには似合わないから。

INFINITEを・・・やめよう。


俺は・・・その前にどうしてもやらなきゃいけないことがあるんだ。


ごめんね?みんな。

俺は俺じゃなくなってしまったから・・・。
もう笑えないんだ。

チャン・ドンウって男はもうここにはいないんだ・・・。

俺はただの鬼だ。

愛する人を奪われて、ただの恨みの塊と
なってしまったから・・・。

みんな・・・さよなら・・・。





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俺は機会を待った・・・


コンサートは最後までやったけど、俺の目は
白目を向いてなんの感情も出てこない。
これが最後の仕事だと、思い入れることすら出来なかった。

ホヤには・・・申し訳ないけど。


コンサートの最後の曲を歌い終わると、俺はマイクを投げて
すぐにステージから捌けた。

もう、これで終わった。

ホヤの顔だけは潰さずに済んでよかったな・・・。

さて・・・始めようか・・・チャン・ドンウとして最後の夜だな。

俺は手初めてにナイフをポケットに仕舞い込んだ。
それから、ユカリンのお父さんに電話をかける・・・


ゆっくりと数字を押して・・・
その指はなんの迷いもなかった。
呼び出し音が惨劇をこまねいて死の旋律を
奏でているようだった。
それでも俺は何も思わずに、睨みつける目もせずに
電話を掛けていた。

Plulululu......

Plulululu.......pu.

「もしもし・・・。」



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ホヤが落ち着かなく家に到着して、靴を脱いで手も洗わずに
ソンギュのところへ真っ直ぐに来た。

「ソンギュヒョンっ・・・ソンギュヒョン、なんかおかしいんだ。」

「ん?何が?ってかあれ?ドンウは?」

「うん・・・そのドンウヒョンなんだけど、ライヴ終わってすぐに
ファンの子達に笑いかけたりもしないで、
すぐにステージからいなくなったんだ。」

「なっ・・・まぁ・・でもユカリンの事がさ・・・。」

「うん。分かるよ。でもさ、なんか変なんだよ。
急いで帰りたいって言うからさ、マネージャーが途中まで
送ったらしいんだけどね。俺は少しお疲れ様って軽い食事とかあったから
残ってたんだけどさ・・・。その・・・途中、どっかで降りたらしいんだよ。」

「えぇっ??マネージャーは?」

「なんか駅の近くだったらしいけど、その先も言わずに行っちゃったって・・・。」

「ホヤちゃん、なんか嫌な予感がするよっ。
なんだか・・・分からないけど・・・。」
ヒカリが横から心配そうな顔で言ってきた。

「ん・・・そうだな・・・でも、ヒカリちゃんは心配しないで?
俺とヒョン達でなんとか探すから。」

「・・・・・ホヤちゃん、私はまた蚊帳の外?」
ヒカリの潤んだ瞳に焦るホヤ。

「ホヤ、ヒカリちゃんを泣かすなよ。ヒカリちゃん、君も一緒に
考えてくれる?」

「ソンギュオッパ・・・ありがとう。」

「ウヒョニオッパもいるよんっw」

「あっ!ウヒョニオッパ大丈夫?」

「何が?大丈夫に決まってるだろ?w」
ウヒョンがヒカリへウィンクをした。

「あ・・・。うん、そうだねっ!」

「ソンヨリオッパもいるですよぉ~~っ」

「ぅわっ!お前どっから湧いて来たんだよっ!!」
ホヤがのけぞって驚くと、クスクスとヒカリは笑った。

「湧いたって失礼だなぁ・・・ねぇ?ヒカリちゃんw
ソンヨリオッパがいれば、もう大丈夫!!
大船に乗ったつもりでまっかせなさいっ!!」

「おいおい・・・沈没しそうだけど?その船・・・」
とホヤ。

「なっ!何言ってんだよ~ひどいなぁ・・・なぁ?ミョンスも
何か言ってやれ~?」

「クハハッ!」

「ガクッ・・・笑っただけじゃねぇか・・・まぁ、いいや。」

「フハッ!いいのかよっwww」
そう言ってウヒョンも笑った。

「よしっ、揃ったところで行くか。」
ソンギュの声で皆家を飛び出した。

玄関でさっきまで笑って冗談を言っていたソンヨルが
彼女の手を握って『来るな』と言った・・・。

「どうして?私も・・・」

「駄目だって言ってるだろ?」

「なんでよ!いいでしょ?こんな時ばっかり
真面目に言うなんてっ!変よ!!」

「ヌナ・・・俺は・・・」
首を横に振って思い直したソンヨル・・・・
今じゃない・・・今じゃないんだと言い聞かせて
眉間に皺を寄せてまた彼女を見た。

「ソンヨル・・・」
そう言って彼女はソンヨルの首に腕を回して
抱きついた。

「ソンヨラッ!!」
ウヒョンが呼ぶ声がする・・・

「ごめん・・・今は何も言えない・・・」
ソンヨルは彼女の手を片方づつ外してそっと
元に戻した。

泣き崩れた彼女をソンヨルは振り返らずに走った。

仕方がない・・・今は・・仕方がないんだ。

「もしもし?ソンジョンか?」

「うんっ!ヒョン、今川沿いを歩いてるよ!
早く来てっ!!」

「分かった、そのまま見張っとけよっ!?」

「O.K、分かった。」

街に出掛けていたソンジョンにソンギュが連絡をして、
ソンジョンは先回りしてドンウを見つけ出していた。

電話を切ったソンギュはみんなにそれを伝えた。

「ヒカリ?ヒカリは俺の傍に居てね?」

見上げたホヤがとてもかっこよかった。

「うん。ホヤちゃん。」
初めて呼び捨てにしてくれた・・・
なんだかくすぐったくて嬉しかったけど、
今はその気持ちを大切にしまっておこうと思った。
それよりもドンウオッパが心配だったから・・・。

「馬鹿な事・・・しないでくれよ・・・ドンウヤ。」

「ソンギュヒョン・・・大丈夫だって、きっと
間に合うさ。^^」

ウヒョンがソンギュの肩に手を置くと、ソンギュも
頷いて、それから遠くを見つめた。
電車に飛び乗りみんな黙ったままだった。
そしてミョンスは近づくなオーラを全身に出している。

近づけば、睨み返して追いやった。
ウヒョンも決して笑顔を出さなかった。

きっとうまくいく・・・みんながついてるから・・・

ホヤは強く心で思った。
そう言い聞かせないと、不安で仕方がなかった。

その頃、ソンヨルに抱きついていた彼女が
玄関を出て、そっと後を追っていた。

同じ電車にギリギリの所で乗り込み、違う車両で
ひっそりと様子を伺っていた。
駄目だと分かっていながら、じっとしてなどいられなかった。

何か変ね・・・

どうして、オンニがいないの?
オンニは何処へ行ったんだろう・・・
証明できたとしても信用できないかもしれない。
そんな事を彼女は考えながらホヤ達をそっと
見ていた・・・。



ガタガタと揺れる電車に身を任せながら、
それぞれの不安と心配をその電車に
置いて行きたいと思っていた。

ドンウに限って変な真似などしないと
信じたい気持ちだけを持って・・・

ふとミョンスはヒカリを見つめた。
ジ~っとジ~っと穴が空くほどに。

「何?ミョンス。ヒカリに穴空くから止めて?」

「あ、うんっ・・・ねぇ、ヒカリちゃん?」

「うん?なぁにミョンスオッパ・・・。」
ギクリとしたように目を合わさないヒカリ。

「こっち見て?」

「う・・・うん。」
暫くミョンスは目を細めたりしながら
ヒカリの顔を見て突然指を揺らしながらヒカリに
指を差した。

「あのぉ~・・・さ?ヒカリちゃん、俺と以前何処かで会った?」

「そっそりゃぁそうだろっ!だってヒカリは元々空港とかで出待ちしたり
してたんだからさっw」

「ホヒョン・・・ホヒョンには聞いてない。」

「うっ・・・」

「あ・・・あの・・気のせいじゃないかな?へへっ・・・」

「んーん・・・何か隠してるでしょ?」
と、ミョンスは首を振って答えた。

「あっ!もう駅着くよ!ミョンスオッパ!行こっ!」

「・・・・。」

ヒカリはチラリとミョンスを見てからホヤと
ソンギュの腕を組んで、タタッと足早に歩いた。

「おい、ミョンスどうしたんだよっははっ・・・」
ソンヨルはミョンスに並んで歩き出して言った。

ニコッと笑ったミョンスにソンヨルも笑った。

そこでソンジョンからの電話が鳴り出した・・・

一瞬で和やかだった空気が変わっていくようだった。
ソンギュが携帯を耳に当てて、視線が下から
上に上がる瞬間まで俺達は緊張し、心音を高ぶらせた。

どうか・・・無事でいて欲しかった。

何も・・・何も起こらずに・・・・無事で。

ソンギュヒョンの表情から目が離せないまま、
俺達はその場に立ち止まった・・・・






 


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