ウヒョン編第4話~誰も知らない二人だけの時間~ | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

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amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。


エレベーターを上がって行く間の静けさが好きだ・・・
耳鳴りがするような悩みも、この時だけは少し気が休まった。


最近の俺は何をしてるかって言うと、Man in loveのPVを見たドラマ関係者から
ソンヨルとドラマをやってみないかと声がかかった。
一瞬のコマだったが、ピアノの前でのやり取りが
なんだか凄くいい雰囲気で目に止まったと話してくれた。
もちろん、社長やマネージャーも二つ返事でその仕事を入れた。
ドラマは正直嬉しかった。ソンギュヒョンの舞台も大変そうだったから
見てるだけでも疲弊しそうだったけど、それでも俺はやりたくないなんて思わなかった。
ただ・・・ここんとこ普通じゃない精神ではあったことは確かだ。
それは今思えば俺だけじゃなくて、7人それぞれがそうだったのかもしれない・・・。

ある意味・・・自分との戦いのような?

性格も全く当たり前に違うし、年齢的なこともあるだろう。
悩むことがバラバラ・・・その悩みもいつの間にか深く・・・深く沈んでいくようだった。
だから、俺達はみんなそうやって互のことも見えなくなって
しまってたんだ。興味がないとかいうより・・・あまり見えていないような・・・・。
慣れきってしまって、ただその日の仕事をこなしていく、そんな感覚もどこかにあった。
そんな中、ドラマ収録が始まって、その間に日本・台湾・中国へとイベントに飛んで、
戻ればまた直ぐにドラマ収録とセリフ覚えに追われる日々が
続いていた・・・。



「ばぁっ!?」

「っ!!」

特に大きな声でもなく、寄り目にして舌を出した女の子が
エレベーターが到着して扉が開いた瞬間に現れた。
あまりにも急な出来事に俺は声もあまり出せずに息を呑んでしまった。

「キシシシ・・・ッ」

「おっおっおまっ・・・いやっ君、何・・・?どっから入ったの?
ここのセキュリティーは凄く厳しい筈なんだけど、君、一体どうやって!?」

「キシシッ・・・」

なんともおかしな笑い方をするその子が、
口元に手を当てて笑っている。

「てか、君さ、この間手ぇ振ってくれた子?それから巨大なカメラも
持って立ってたよね?会いに来てくれたの?
でも、ここは一般の方も住んでるところだから、
ファンの方はちょっと・・・ごめんね?」

「ンフフフッw」

「なっ・・・何っ?・・・はははっ・・。」
俺はこの異様な状況をなんとか笑って誤魔化した。
だって、ファン相手だったし・・・

「ウヒョンッ!お前、今ムカツイただろっ!あははははっ!!」

「ううんっ・・・そんなことないよ?でも、勝手に入ってきちゃ駄目だろ?」

「どうして?勝手に入ってきたって?」

「だってそうだろ?俺に会いに来たんだよね?
これはやりすぎだよ。どうやって入ったのかは分からないけど・・・。」

「・・・・・・・カシャッ!」

その風変わりな少女は手でフレームを作って俺を撮るマネをして
背を見せた。それからそのまま彼女は言う。

「私はヴァンパイア・・・・お前の心臓をもらいに来た。」

「はっ?何言ってるの?www
映画みたいな話だねっ。好きなの?ヴァンパイア。
そう言えばソンギュヒョンの舞台もそうだったね。見に行ったとか?w」

「ウヒョンもそうでしょ?」

「えっw何?俺っ?・・・あはは・・そうっ!実は俺もヴァンパイアだったんだっ!
とにかくもう日が暮れる・・・共食いになりそうだから家に帰りなよ?
またイベントかコンサートで会おうね?^^」

「うん・・・じゃぁねっ!ウヒョン、また来るよ。」

「あっ!だから、ここには来ちゃ駄目だってっ!!」

そう言って、その子は風のように消えてしまった。

「あれっ?もういない・・・なんだったんだろ。」

「お?帰ったの?お帰り。俺も実は今さっき帰ってきたとこだよ。
微妙な差だったね。」

ソンヨルが玄関から迎えてくれてドアを開けてくれた。

「おぉ・・・まぁな。何それ?」

「ん?あぁ・・これっ?wwこれ、マジックの本w」

「何、わざわざ取り寄せたの??」

「うんっw最近見事にハマちゃって結構色々できるようになったよ。
でもすぐには見せないけどねっ」

「じゃぁ何のためにやってんだよ。」

「うるさいっいつか見せたい人のためにだよ。
これは俺の特技にすんだから。」

「へぇ~・・・」

「へぇ~ってもっと俺に興味持てよなぁ~っ!」

「男になんて興味なんかないだろっwwくはっ」

そう言っていつもの笑顔を見せるウヒョンだが、
心ここにあらずな表情も半分伺えた。


「ねぇ・・・今さ、玄関の外でファンの子に会ったんだけど・・・」

「えっ!?どうやって??」

「だろっ?どうやって入ったんだろうと思ってさ。」

「でも、なんでその子がファンだって分かったの?」

「この間、大きなカメラを持って俺を写したんだよ。
それに、ても振ってたから・・・。」

「う~ん・・・でもそれだけじゃ完全にウヒョニヒョンのファンとは
確定できないんじゃない?もしかして、俺のファンかもしれないしっwww」

「おいっソンヨラッなんでお前のファンだよ。俺のに決まってるだろ?
俺のファンがどれくらいいるか知ってる?」

「はいはいはいはい・・・無限にいますよねぇ~っ!」
そう言ってソンヨルは面倒くさいといった顔で
ウヒョンを置き去りにリビングへ向かった。


「お~いなんだよぉ~・・・」

「いいから手ぇ洗って来いよぉ~?」

「ったく・・・・。」

ウヒョンは参ったな・・・といった顔でこめかみ近くをポリポリとかいた。

コン・・・コンコン・・・



コツン・・・コン・・・

「誰?」

誰かがドアをノックする音が聞こえるので、急いで
モニターで確認するが、誰も写ってはいない・・・

「なんだよ・・・気持ち悪いな・・・。」

「ヒョンッ?どうしたの?」

「あ、ソンジョンか・・・。」

「ソンジョンか・・・です。じゃっ!」

「あ~~ごめんごめんっ!聞いて聞いてっ?w」

「何・・・。」

勘に触るようなそんな言われ方をしたソンジョンは、ご機嫌斜めに答える。

「なんかさ・・・ドアを誰かがノックするんだけど、
モニターには写ってないんだよねぇ・・・」

「!!・・・そっそうなの?じゃぁ、僕が確認しておくから、ヒョンもう行っていいよ。」

「は?うん・・・そう?」

「うん^^見てくればいいでしょ?多分何もないと思うけど。」

「俺ここで待ってるから見て来てよ。」

「えっ?いいって!ヒョンは疲れてるんだから
リビングでくつろいでてよっw」

「うん・・・でもなんで?」

「なんでって別に理由なんかないだろ?
いいからあっちで休んでよっ。」

「ぉぅ・・・分かった。」

そう言ってウヒョンは首をかしげながらリビングへ向かった。


カシャン・・・

どうやらソンジョンは外へ出たようだ。

俺は言われるままにリビングのソファに身を任せた。
ソンギュヒョンが口元にお菓子をつけたまま眠りこけている・・・

その足元にウヒョンが腰掛けて、刺激した。

「う゛~~ん・・・。」

「プハッ・・・めっちゃ寝てる・・・。なんだよその口は・・・。」
そう言ってウヒョンはテッシュで汚れた口を拭いてあげた。

それから立ち上がって、楽な部屋着に着替えようと立ち上がるウヒョン。

「うっ・・・・。」

なんだ・・・?急に気分が・・・
目眩がする・・・
あぁ~・・・気持ち悪い・・・誰か・・・・

ドサッ

「っと・・・ぉいっ!ウヒョナっ!大丈夫か?」

「お・・・ソンギュヒョン・・・?」

「うん・・・いいから何も喋るな・・・寝てろよ。」

「ん・・・・。」

ウヒョンが目を回して倒れ込んだ瞬間に
近くにいたソンギュがうまくキャッチした。

(あぁ~・・・クラクラする・・・
こんな事今までなかったのにどうしたんだろ。いや・・・
仕事が忙しくてあまり考えたことはなかったけど、
こんなの事たまにあったかも・・・・)


それから暫くして、カオリさんがやってきた。

ピンポーン・・・

「いる?」

「わっ!カオリさん呼び鈴鳴らした意味あんのっ??」

ソンヨルがそう言っても、まるで初めて見る相手のような
冷たくて白い冷気を放つような目をしていた。

今日は静かに入ってきたな・・・
なんだかいつもと様子がおかしいのはみんな分かった。

ソンギュヒョンなんて、なんだか今にも泣きそうな
表情で手をもどかしくして俺に布団を掛けてくれた。
カオリさんはそのまま俺の前まで来てしゃがみこんだ・・・・

「カ・・・カオリさん?」

なんだか知らない人みたいだ・・・
冷めた目というか・・・
ソンギュヒョンの様子もおかしいから
あの時計をもらった日に何かあったのだろうか?

確か・・・時計をもらって車は走り出した後
暫くしてソンギュヒョンだけ車から降りたんだよな・・・
それから?
それから何があった??

まるでカオリさんが別人のように変わり果てていて、
俺はどうしていいか分からずにうまく声をかけられずにいた。

「ウヒョン・・・目を見て・・・。」

「っん?」

「私の目を見るのよ・・・。」

「うん・・・。」

見つめ合う二人をソンギュは横でじっと見た後、急に
立ち上がって外へ出て行ってしまった。
それをホヤが追いかけた・・・

「ヒョンッ!!ヒョンッ!!どこ行くんだよっ!?」

「・・・・。」

ソンギュの足は闇雲に歩き出す・・・
早足で歩いてポケットにしまったのはその心だったのか、それとも
冷えてしまった二人の手の温もりだったのか・・・

「ソンギュヒョンッ!!」

「くっ!!」

ソンギュは・・・とうとう走り出してしまった。

ぶつけようもない怒りと悲しみでおかしくなりそうだった。

銀杏並木をもう随分と来ただろうか・・・
やっとの思いでホヤはソンギュの腕を掴んだ。

「はぁはぁはぁはぁ・・・ヒョン!待ってって!一体どうしたんだよっ?」

「・・・・・ホヤか。」

「何?俺に言えないこと?」

「別に・・・これは俺の問題だからお前には関係がない。」

「まぁ・・・言いたくなければいいけどさ。」

「ホヤ・・・お前の背中って結構拾いんだな。」

「ん?あ、そう?」

「うん。ちょっとどれくらいあるか俺と比べるから
後ろ向いてよ。」

「何急に・・・いいけどw」
ホヤが後ろを向いた瞬間にソンギュは声を押し殺して
その拾い背中に額をつけて、泣き出した・・・

「っ・・・・くっ・・・ぅ・・・・。はぁ・・・」

「ヒョン・・・?」

ポタポタと落ちてはコンクリートに染み込んでいく涙。
振り返ることすらできずに大きな夕日を、ただ見ていることしかできないホヤ。

ひとしきり泣いた後、鼻をすする音が夕方のラッシュで混雑する車の排気音
と混ざり合い、ソンギュの重く閉じた口が、ようやく開こうとしていた。

「カオリさんが・・・変わった・・・急に。」

「うん・・・俺もそれは感じた。」

「それがさ、普通じゃないんだよ・・・まるで本当に人が変わったみたいに・・・」

「そんなに?そこまでなのかは俺は分からないけど・・・。」

「あれは・・・カオリだけどカオリじゃない・・・
実は、あの日・・・俺にプレゼントをくれた日・・・カオリの病気だった彼氏が
亡くなったそうだ・・・。」

「カオリさんの?彼氏・・・いたんだ・・・。」

「うん・・・。」

「でも、それが理由でなのか・・・」

「いや・・・なんかおかしいよ。あれだけ変わってもおかしくないっちゃ
おかしくはないんだろうけど・・・それにしても俺との今までも
まるで覚えていないかのような、もしくは本当に人格が変わってしまったような。」

「う~ん・・・他に何か変わったことはあった?」

「・・・・ない・・・けど。」

「まぁ、あまり突っ込まないけどさ。ソンギュヒョン・・・・」

「ホヤ・・・わりぃ・・・でも・・・でも俺さぁ~・・・」

ソンギュヒョンの瞳一杯に貯めた涙を、俺は初めて見たんだ・・・
この日から、俺達はこのままじゃいけないって
思うようになった。俺然り・・・

「俺さ、言葉っていいなぁ~って単純に思うんだよねぇ~・・・」

「?」

「言葉ってさ、伝えるためのものだろ?伝えるためには相手がいる・・・
その相手の耳に届く音量で、心が伝わる文字を組み合わせて
ようやく到達するよね・・・」

「・・・・グスッ・・・」
ソンギュはまだ鼻をすすったまま聞いている。

「だからさ、耳あって口あって、考える脳があって、その全てが
そろって始めて気持ちって伝わるんだろうなぁ~って思うんだよ。
・・・・ソンギュヒョンは、それができるだろ?それだけでもいいじゃないか・・・。」

遠くを見る・・・
夕焼け色で二人の顔は真っ赤になって
川に乱反射する光で少しだけ目がくらんだ。

すると今度はソンギュが口を開く・・・

「なぁ・・・俺はそうは思わないよ。
例え何も言えなくたって、耳が聞こえなくたって、
うまく言葉が伝わらなくたって、必ず思いは伝わるって俺は思うよ・・・」

「っ!?なっ・・・。」

ホヤの驚いた表情は固まったまま、オレンジ色になったまま・・・

「ははっ・・・らしくない?こんな事言うのって。でもさ、俺はそう信じてるよ。
これから・・・そう信じてみようと思う・・。カオリさんはさ・・・きっと
今はどうしようもなく傷ついてるだけだって思うから、俺達が支えてやんなきゃなっ!
だって俺達男だろっ?ハハッ・・・」

「ヒョン・・・そう・・・だよな?目が見えなくたって感じることはできるし
耳が聞こえなくても、きっとその優しさは伝わるよな。例え・・・
話せなくたって・・・俺もカオリさんの事心配だし、そういう事情なら
俺も陰ながら支えて行くよっ!」

「んっ・・・・だなっ!!」

「ヒョン・・・なんか・・・ありがとっはは・・・俺がヒョンの事心配で
追いかけたってのに、俺が励まされた感じになっちゃったなっw」

「はははっなぁ~に言ってんだよっ!てかさ・・・
俺が泣いたの絶対言うなよっ?お前釜山ナムジャなんだから
約束は守るよな?!」

「うんっw でも、まだ約束はしてないけどね・・・。」

「ぅえっ!?今になってそれ言うっ!?わぁ~・・・もう信じらんないっ」

「あはははははっ!嘘だよっ嘘っ!約束するよ。」

「ん・・・よし。
じゃぁ~・・そろそろ戻るかっ!」

「うん。ウヒョニヒョンのことも気になるしね。
そう言えば・・・どうしちゃったんだろうな・・・。」

「まっ!わっかんないけど、大丈夫だろっ!カオリが付いてるしっ!」

「うわっ!ヒョンッ!いないことをいいことに呼び捨てしたっ!!」

「!!しぃっ~~~~っ!!しぃっ~~~~!!絶対言うなよっ?
ぜぇえええええええええったいっ!!だからなっ!?なっ!なっ!!?」

「わっ・・・わっ・・かったよ・・・・怖いよヒョン・・・必死だな・・・。」

「あ・・・・そうかっ?あははははははっ!!はははははっ!!!」

「いや、笑いすぎだって・・・そういうのなんていうか知ってる?」

「何っ?www」

「泣いたカラスが笑うって・・・」

「おいっ・・・・」

「はい・・・。」

「ぷっ!」

「プッ!」

「あはははははははっ!!!」
「はははっはははははははっ!!」

俺達は笑った・・・・
何も知らずに。

ウヒョンとカオリさんの二人だけの秘密のような時間が、
この日から毎日のように起こるようになった。
カオリの変化とウヒョンの異変は、同時に起こる・・・
どうして?
俺達には到底想像もできない、真実はいつ分かるのだろうか。
それは、俺達7人がお互いを理解した時・・・・
どこへ進めばいいのか全員がまた同じ気持ちで進む時。
それから・・・・全てのことが思い出に変わるその時まで、俺達は何一つ
分かることは出来なかったんだ・・・
これが俺達が新たに課せられた試練。

慣れてしまった芸能界という海の中で沈みもせず浮かびながら
迷っている・・・まるで俺達は漂流者のようだ。



俺達は知らなかった・・・
暫く気がつかなかったんだ。
ウヒョンの異変に・・・・まさか、あんなことになるなんて・・・

時間が迫る・・・
どうか連れて行かないでくれ。
この時間にウヒョンは必要なんだから。





「カオリさん・・・俺は誰にも・・・絶対に・・・絶対に知られたくないっ!
だから頼む・・・俺がおかしいと思ったら直ぐに・・・・」


頷いたカオリの目には今までとは違う光を放っていた・・・
ただ、それは誰にも分からない事でもあった。











             
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