Le Jardin Ensoleile ~ウヒョン~⑨ | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。

 

 

 

私の風船は幾つあるんだろう・・・・

 

私の風船は・・・・この手に幾つ掴んでいるのかな。

今何色で、どれくらい膨らんでいるのだろう___?

 

風船は・・・・

 

私が当たり前に持っていた物。

誰もが持っているもので、人によって個数もcolorも違くて。

 

恋する風船。

愛する風船。

愛される風船。

大切な記憶の風船。

信頼という名の風船・・・・とか。

 

細かく言ったらキリがないくらいあって、

どんどん増えていくもんだって思ってた。

最後には抱えきれなくなって、宙に浮かぶような幸せな自分がそこに

いるって、ずっと・・・ずっと信じてたのに。

 

それは・・・・

 

手に持っていた筈の風船が、突然の風に飛ばされて行ってしまうように、

私の両親は空の彼方へと消えて行ってしまった。

 

 

散々泣いて暮らした。

散々泣いてどこにも行かないと言い続けて、結局家を引っ越した。

 

今の・・・・オーナーは私の両親の親友だった。

 

親戚もなく、私は天涯孤独になって塞ぎ込んでいるのを懸命に

連れ出そうとしてくれた。

けど、無理はさせなかった・・・・

 

------私の部屋は2つある。------

 

オーナーは私に部屋を与えてくれた。

私の部屋にソックリの部屋に作り替えてくれて、自分でも見間違うほどの・・・・

だからといって、両親が残してくれた家はどこにもやらないでずっと

管理費とか家に掛かる全てを支払い続け、いつでも来られるようしてくれた。

 

私はそれがどれだけ大変な事か最初は分からなかったけど、

大きくなるにつれて分かるようになってきた。

家には持ってるだけで税金が掛かるとか、管理費があるとか・・・

世間一般では当たり前の事も知らなかった。

 

奥さんが時々窓を開けて空気を入れ替えてくれたり、掃除してくれてたりとか

全然知らなかったの・・・・

 

新しい部屋になっても、私の部屋とソックリの部屋で過ごしても

私の心は沈んだままだった。

 

オーナーがこれだけ自分の子でもない私へ愛情を分け与えながら

自分の店を持つ事にも気を抜かずに努力していたことも知らずに。

それからオーナーは最初からアッパのような振る舞いはしなかった。

最初から、私にとってオーナーハオーナーであり、他の何者でもなかった。

 

ただ、分かっていたのは私のアッパの親友とだけ。

つまり、他人。

 

だからいつか離れていく。

そんな風にしか見れずに、どんどん声を出すことも難しくなっていった。

オーナーとその奥さん、ミリさんの愛を受けていながら・・・・

 

私はその甘い蜂蜜瓶の中に入ったまま、自ら蜂蜜に絡まり溶けて

なくなっていこうとしてた。

ドロドロになっていった身体は、もう少しで蜂蜜になりそうだったのに。

 

ある日、瓶の向こう側から男の子が現れて、瓶にびったりとある本をくっつけて

広げて立っていた。

 

私は興味もないように、1度は開けた目を閉じて時が経つのをひたすら待った。

でも、その男の子は瓶を叩く。

何度も何度も叩いているけど、瓶は固くて手で叩いてもそんなに

中には響いては来ない・・・

そんな姿を私を虚ろに見てるだけ。

 

男の子のては真っ赤に腫れ上がっても、叩くことをやめなかった。

毎日毎日来るの。

次第に私はタメ息が出た・・・・・

考えることも浮かばなかった私に、いつの間にかタメ息が出たの。

 

『男の子はそろそろハンマーで瓶を割るかしら?』

 

そんな風に浮かんだ日もあった。

 

それでも私は蜂蜜に溶けている。

 

ある日男の子はその本を適当な場所に本棚に差込み、

私の目の前に椅子を運んできた。

座るところは丸くて小さい。

だけど、足をかける部分がある背の高い椅子。

 

そうね・・・まるで喫茶店のカウンター席みたいな感じかしら?

 

そこに腰掛けた男の子は一度だけ目を閉じて、ゆっくりと息を吸い込んだ。

私はその時にはもうその男の子へと視線を移していることに

自分で気づいてはいない・・・・

 

でも、見てた。

 

男の子はそのまま目を閉じていて、蜂蜜さえも溶け出すのを止めて

静かになった部屋にその声だけを響かせていった。

それはまるでオルゴールが優しく始まったような声。

そして蜂蜜のような甘い声で私を瓶ごと包んだ・・・・・。

 

 

 

 

 

私はまた涙する・・・・

 

あぁ・・・この子は私を慰めてくれているのかな?

 

そんな風に思えた。

 

時折目を開いて、私を見つめ早く出ておいでなんて言わないよ・・・・

でも、僕の手に触れてみてよ?

そんな風に言っているかのように、瓶に手のひらを押し当てて

そしてその手を今度は自分の胸に当ててた。

 

すると、誰かが入ってきて男の子は帰らなければならないと行った。

 

そりゃそうよね・・・

 

あなたの家はここじゃないもの。

私は単にそう思って、見送った。

 

でも、何かを彼は言って悲しそうに去っていった・・・・

 

それが最後だった。

それが・・・最後に来た日。

 

それから私は自らの手で瓶を割って外へ出た。

オーナーもミリさんも笑顔で迎えてくれて、私の手に1つのアロマを乗せた。

まだアロマの事を何も知らなかった私は、これは何だろうとオーナーの顔を

見上げると、オーナーは微笑んでこう言った。

 

『○○、これはね?ローズマリーって言うんだよ。」

 

私は何も言わずに、オーナーの顔を見てからミリさんを見た。

そしたらミリさんはニッコリと微笑んで頷いた。

 

恐る恐るそのアロマを鼻に近づけてみる・・・・

 

すると、そこから流れてきた魔法が私の体の中に入り込んで

私の溶け出して流されていったモノを元の位置に直して、優しく包んでくれた。

体がフワリと浮かんでいく・・・・

 

この時から私はアロマに夢中になり、オーナーに頼んでアロマの勉強を始めた。

もちろん・・・学校に通いながら。

オーナーは1つ1つ丁寧に教えてくれた・・・・

時々は海外へ買い付けに行って、お土産に買ってきてくれるアロマは

いつも特別なものだった。

 

包み紙も、箱も、勿論中身も最高のアロマで毎回香りの違うもの。

オイルであったり、キャンドルであったり・・・

時にはそれに似合いそうな服まで。

 

 

ローズマリー・・・・・

 

ウヒョンが間違えて私の名にしてしまったあのローズマリー。

 

そして・・・

 

ウヒョンは・・・もしかして?

 

今、頭の中を駆け巡るこの想いはなんだろう?

ウヒョンに初めて会った日から、こんなに短期間で私の中に入ってきたウヒョン。

 

ずっと疑問だった・・・・・

 

こんな事ありえないって。

 

誰かが私の心に・・・私に好きな人ができるなんてって。

 

一緒に肩を並べて、私は家に帰る。

ウヒョンと一緒に・・・・・

ウヒョンは真っ直ぐ前だけを見て歩いてるのに、私は何故か

何度も何度もその横顔を見上げてしまうの。

 

両親からの手紙・・・・

 

まるで事故が起こると分かってたかのように残された1通の手紙。

 

私が大きくなったらって、予め残しておいたみたい・・・・

 

ウヒョン:「マリー?」

 

マリー:「えっ・・・?」

 

ウヒョン:「大丈夫?」

 

マリー:「うん。大丈・・・・夫。」

 

私はそう言いながらウヒョンをまた見上げた。

 

するとウヒョンは、真っ直ぐ前を見たまま私をの手を握った。

 

もうすぐ私の住んでいた家に着く・・・・

何か言わなくちゃ・・・・。

でも、ウヒョンはこの手紙の事と、きっと私に隠してた秘密を打ち明ける

事で頭がいっぱいかもしれない。

だから、このまま手を繋いで黙っててもいいんだ・・・よねっ?

 

そんな変な不安が行ったり来たりする。

 

マリー:「あのっ・・・ウヒョン?」

 

ウヒョン:「・・・・・・。」

 

マリー:「あっあのっ・・・ウヒョン・・・私ね、記憶の片隅にあった事が

     今になって少しずつ蘇ってきてるの・・・・。」

 

ウヒョン:「そっかw でも・・・・でもまだその先は言わないで。

      俺もマリーに家についてから話したいことがあるんだ。」

 

マリー:「ねぇ、ウヒョン・・・・。」

 

ウヒョン:「ねぇ、マリー?w マリーの中に今住んでいる俺は

      どんな風に覚えてるのかな・・・・・?」

 

そう言って私を見たウヒョンの前髪が、風に優しくそよいで

私の胸を熱く焦がした。

 

マリー:「・・・・・・。」

 

何も言えなかった。

とっても深い想いを感じたせいかな?

これが私だけが感じたことじゃなければいいな・・・・

 

そう思って、もう一度ウヒョンの横顔が見たくて見上げたら

ウヒョンも直ぐに私を見て小さなエクボを作って見せた。

 

両親が残した悲しい記憶が蘇りながらも、私はこの時までは

少しも辛くはなかった・・・・

きっと私の過去にウヒョンがいなくとも、私は今ウヒョンとこうして

手を繋いで歩くことの方が、よっぽど幸せに感じていたから。

 

マリー:「ここよ・・・。」

 

ウヒョン:「うん。行こう・・・。」

 

いつもお守りがわりに持ち歩いている両親の残したKey・・・・

一瞬だけそのドアを見つめてから、バッグをあさり取り出した。

 

普通なら誰も住んでいない家はなんとなくカビ臭いのに、この家は普通の空家とは違う。

ドアを開けると、今にも両親が奥から出てきて、ウヒョンに挨拶をしそうな香りだ。

 

ちゃんと玄関マットだって敷いてある。

 

置きっぱなしの靴に、飾られた絵画には大きな花瓶に広がる花たち。

 

ウヒョン:「綺麗にしてあるな・・・・。」

 

マリー:「うん・・・・オーナーとその奥さんのミリさんが、時々きてくれて

     世話してくれてるから・・・・。」

 

ウヒョン:「そっか・・・マリーも時々くるの?あ、上がっていい?」

 

マリー:「あっごめんっどうぞ、上がって?」

 

靴を脱ぐ時に繋いだ手がじゃまになった・・・・

でも、ウヒョンは私を見下ろしてニコニコしてる。

てはまだ繋いでいた・・・・

 

でも、家に入るから・・・そう思って私からそっと手を離すと、ウヒョンはようやく靴を脱いで

家に上がり後ろを振り返って靴を揃えた。

 

ウヒョン:「マリー・・・マリーの部屋に行こう。」

 

マリー:「・・・うん。」

 

ウヒョン:「これ・・・・鍵も入ってたんだ。

      きっとマリーの部屋のどこかにある部屋だろうね。」

 

マリー:「鍵?私には覚えがないわ・・・・どこの鍵だろう。」

 

頭をひねっても、記憶を引っ掻き回しても何もそれについては

思い出せない。

仕方なくそのまま部屋に向かい直ぐに入ると、天窓から入る陽の光が

あちこちから差し込んで、私たちを暖かく向かい入れてくれるように見えた。

 

ウヒョン:「あっ!・・・・・・。」

 

ウヒョンが手紙をもう一度開くと、さっきまでは見当たらなかった

手紙がヒラリと床に舞い降りた。

 

マリー:「何っ?これって・・・もう1枚あったって事?」

 

ウヒョン:「うん・・・そうみたい、くっついてたのかな?

      俺が読んでもいい?」

 

マリー:「うん・・・お願い。」

 

ウヒョンは少し黙って、その手紙を広げて読むことに集中した。

 

ウヒョンの横顔は綺麗だ・・・・

もしかしたら女の私よりも。

不安な気持ちが、更に不安を呼んでしまう・・・。

今、両親のことでそんな事考えてる場合じゃないのに。

 

でもそれは、知りたいけど知りたくないような切なさが交差して

そうなのかもしれないとマリーは思った。

両親は私に何を残したのかな・・・・

そんな不安と期待。

 

そして、それが過去へと繋がるだなんて私は思いもしなかった。

 

ただ、あの子がウヒョンだったらなって・・・・

そんな考え馬鹿げてるのに私はそう願ってしまう。

 

ウヒョンは本に囲まれたマリーの部屋をくまなく見渡した。

マリーも何か手掛かりはないかと、辺りを見て歩いた。

重なる本・・・・

横に可動する本棚。

 

たくさんの本がマリーの部屋を・・・・マリーの過去の心を覆い尽くしている。

そんな部屋の中で一点を見つめて本棚に近づくウヒョン。

 

 

 

ウヒョン:「ぁ・・・・あった・・・。」