Le Jardin Ensoleile ~ウヒョン~⑬ | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。

 

長い長い月日が経った・・・。

何度も同じ月を見ていた。

 

ようやく会えたんだ・・・ようやく・・・

 

君の悲しみが僕の中に溶けては消えて掴めなかった。

あの蜂蜜瓶はもう消えたかい?

僕の中にはあの蜂蜜瓶があったのかな?

 

ふと思い出す・・・・

 

月と道端の花と、蜂蜜瓶。

 

少しだけ笑ったあの日。

少しだけ僕だけを見たあの日を・・・・

 

 

 

 

 

オーナー:「お前ら突然怖いんだけど・・・そんなに面白かったのか?

       それよりお腹すいてないかい?

       ピザ持ってきたんだ。食べないか?」

 

俺たちはまた顔を見合わせる。

 

マリー:「何、急にwっていうか、さっき・・・やけに落ち着いてるようにも

     見えたけど、なんとなく焦ってませんでした?」

     

 

ウヒョン:「あっ、俺もそれ思ったwそう思ったからこそ、

      やっぱりマリーと兄弟なのかっ!!って焦ったんだけど・・・・

      それともそんな顔したのってワザとだったんですか?w」

 

オーナー:「いっいやぁ・・・まぁ、この部屋の色んなの見たら

       早とちりするるかもとか思ったら・・・とか。

       それからね?あっ、まぁ取り敢えずピザ・・・・・。」

 

そう言ってオーナーはピザの箱を床に置いて、あぐらをかいた。

 

俺たちは輪になって、声を揃えてピザに挨拶をし、食べ始めた。

変な沈黙が何かを言いたげなオーナーの顔色を変えないように

俺もマリーもどうでもいいことばかりピザに向かって話しかける・・・・

 

二人して・・・もしかしたらオーナーもピザばかりと会話しようとしたり

目を合わせてるんだ。

一難去ってまた一難・・・・ってとこか・・・・

 

そんな予感が当たらぬように、ヤケに今日のピザが美味しいと

褒め称えるようだ。

その不安は俺が一番感じていて、でもそんな事は何を聞いたって

動じないって俺は思ってるとこだ。

マリーがこれ以上苦しまないないなら、ただそれだけでいいから。

 

 

ウヒョン:「あの・・・さ。」

 

ちょっと俺がこういっただけで、空気が切れたように二人が一斉に

こちらを見て目を固めた。

 

『何?何を言うの?』

 

マリーがそんな目をしてるように見える。

 

俺は、マリーに”ははっ・・・”と笑って、そんな顔をするなって

腕に手をそっと掛けるんだ。

 

オーナー:「うん・・・まぁ、焦んないでこれ食べちゃおうよ。ねっ?」

 

ウヒョン:「そうですねw・・・・でも、俺はもうお腹いっぱいですよ。

オーナー・・・一体いくつ食べるんですか?w」

 

オーナー:「それは俺のお腹に聞いてくれw何しろ朝から何も食べてないんだから。」

 

マリー:「朝から・・・・何してたんですか?しかも日本にずっといたとか・・・。」

 

オーナー:「フンッ??ひょっろ、はっへ・・・」

 

マリー:「はいっ?ちょっと待ってって言いました?オーナー・・・、私に子供の頃

     言いませんでしたっけ?口に物を入れて喋るなって。

     もちろん私はやったことないですけど。」

 

オーナー:「・・・・・っっっ!!」

 

ウヒョン:「ゆっくり食べてくださいwwwふははっw」

 

マリー:「ねっ・・・。それ。」

 

オーナー:「あ゛ぁーーーっ!ふぅ~・・・・。」

 

マリー:「だっ・・・大丈夫・・・?」

 

オーナー:「はい^^大丈夫ですよ?さて・・・・じゃぁ、話そうか。」

 

そう言った途端に直ぐに凍っていきそうな空気に、雪の女王を思い浮かべる。

 

電車の音が遠くで聞こえる・・・・

風の声はとても穏やかに私たちの頬を撫でては去っていく。

するとオーナーは立ち上がって、どこかに向けて足を踏み出した。

ウヒョンは食べ終わったピザの箱を袋にしまいこんでいる最中で、

オーナーを何度かチラチラと見ては急いで片付けた。

 

その間にマリーは、ピザソースで赤くメイクしてしまった俺の唇に、ピザと一緒に入っていた

ウェットティッシュをカサカサと開け、一度は広げてまた綺麗に畳み直すと、

俺の唇に押し当てて落としてくれた・・・・。

一瞬恥ずかしくて固まったけど俺は素直にそれに身を委ねた。

 

カチャ・・・

 

また鍵の開く音。

 

それはさっき入ってきた時に見た、謎のドアだった。

ここは忍者屋敷か?と思う仕掛け。

それでも静かにオーナーの次の言葉を待ち、息を呑んだ。

 

 

オーナーは振り向く。

俺たちがどんな顔をしているのかを知りながら、穏やかに。

 

オーナー:「ここはね?・・・・。」

 

オーナーがそのドアに手をかけて、ゆっくりと開くとそこはただの壁だった。

 

マリー:「壁?・・・」

 

ウヒョン:「・・・・・・。」

 

オーナー:「見てごらん?一見壁しかないけど・・・・ほら、ここ。」

 

コンコン・・・コンコン・・・・トントンッ・・・・

 

マリー:「あっ・・・音が違う?」

 

オーナーはニッコリと笑って、その音が違う場所を両手で押すと、

そこだけ急に四角い枠が見え始め、回転した。

その大きさはとても小さく、縦横3,40cmというところだろうか・・・・

 

その中にはバインダーと、ファイルが入っていて、オーナーはそれを取り出した。

 

マリー:「これは・・・私のアッパが?」

 

オーナー:「そうだよ・・・・でも、これはマリーのじゃないんだ。」

 

マリーは首を傾げる。

俺はそんなマリーの横顔を眺めると、オーナーは俺にそのファイルやらを

手渡したんだ。

 

ウヒョン:「えっ・・・・俺・・・ですか?」

 

オーナーはゆっくりと頷いて、ウヒョンを見つめた。

 

写真・・・・?

俺の・・・出生記録みたいな・・・・。

 

オーナー:「・・・・ウヒョン君。君は今の両親とは仲がいいかい?」

 

ウヒョン:「もちろんです。大事な両親ですし、

      俺に好きなことをさせてくれて感謝してます。」

 

オーナー:「そっか・・・なら良かった。」

 

ウヒョン:「なんなんですか・・・?これ。」

 

オーナー:「もう分かってると思うけど、それは君だ。君はね・・・・

       幼い頃養子に出されてるんだよ。」

 

ウヒョン:「あぁ・・・やっぱり。」

 

マリー:「やっぱりって・・・知ってたの?」

 

ウヒョン:「ううん・・・俺と両親って本当に仲がいいけど、全然似てないんだ。

      血液型も違う・・・・。色々さ、今までもなんとなく変だなってことあったんだけど

      ある日調べた血液検査でそれを実感したんだ。でもさ・・・血液型なんて

      どうでもよくない?大きく言っちゃえば誰の子とかもwだって、俺は俺じゃん。」

 

マリー:「うん・・・・そうね。私もそう思う。私も、オーナーとミリさんの事、本当の両親の

     ように思ってるし、私は他の誰でもなく、私だもんね^^」

 

オーナー:「そう思ってくれてるなら良かったよ。」

 

ウヒョン:「でも・・・なんでこれをマリーの両親が?」

 

オーナー:「私達はとても複雑な関係にあるのかもしれないね。

       それを縁と呼ぶのかも知れない・・・・。

       君の本当の両親はね、悲しい話しだが既に亡くなってるんだ・・・。」

 

ウヒョン:「・・・・・・・・・・・。」

 

オーナー:「君の両親はどちらも元々体が弱かった・・・・奥さんは、・・・・ウヒョン君の

オモニは若いうちから病気に侵されてね・・・若いから進行は早かった。

あっという間に天国へ行ってしまったんだ。」

 

ウヒョン:「それで?アッパは・・・。」

 

オーナー:「それはそれはとても妻を愛していたらしく、肩を落とし

       日がな1日涙で終えていたそうだ・・・それからマリーの両親の友人は、何も

       私だけではない・・・・。」

 

マリー:「じゃっ・・・じゃぁ・・・。」

 

オーナー:「そう・・・マリーの両親とウヒョン君の両親も親友だった。

       僕ら3人は・・・・親友だったんだよ・・・・。」

 

するとオーナーは少しだけ目を潤ませて、笑った。

それは懐かしい旧友にあったかのような嬉しさみたいで、俺まで胸が熱くなった。

 

オーナー:「ずっと僕らは一緒だった。小学校・・・中学校・・・・高校とね。

       割と好きな女性も似ていてねっ?w

       取り合いみたいになって、良く喧嘩もしたっけなぁ~・・・」

 

マリー:「それでその時は誰が勝ったの?」

 

オーナー:「ウヒョン君のアッパだよwアッパはね、喧嘩もスポーツも駄目で

       力もないwおまけに服のセンスもないっ!www」

 

マリー:「えぇっ・・・・そうだったんだ・・・ウヒョンの服のセンスの由来はここか・・・w」

 

ウヒョン:「ちょっとwwww」

 

オーナー:「wwwでもねっ?人一倍頑張り屋さんで、優しかったんだよ。

スポーツ苦手なくせに、マリーのオンマを守るんだってテコンドー習ったりして・・・w

でも、全然級が進まなくてなぁ~・・・w結局、段も取らずに体を心配したマリーのオンマに

止められてやめたんだっけw」

 

マリー:「うわぁ・・・・何それっw・・・って、えっ???私のオンマを???」

 

ウヒョン:「衝撃なんですけど・・・w」

 

オーナー:「でも、それから暫くして、気持ちがすれ違ったっていうか・・・

別れちゃったんだよね。で、その後マリーのオンマはマリーもよく知る、私もよく知るマリーのアッパと結婚したわけだw」

 

マリー:「・・・何その分かりにくいというかややこしい言い方・・・。」

 

オーナー:「でね・・・ウヒョン君の話に戻るけど、ウヒョン君のアッパは

他の人と結婚したんだ。でもさ、・・・・その時、彼女は既に・・・ウヒョン君のオンマの体は

病に蝕まれてたんだ。何度も話して、何度も喧嘩して互いに傷ついて・・・互の両親とも

交えて最終的にはそれでも愛を誓いたいって言って、結婚したんだ。」

 

マリー:「そうだったんだ・・・・。とても愛し合ってたのね。」

     

ウヒョン:「・・・・・・。」

 

オーナー:「それと同時にウヒョン君のアッパにも念の為に受けてもらった

       健康診断で妻と同じ病が分かって・・・・。」

 

 

 

ウヒョン・・・・ウヒョナ・・・・

今どんな気持ち?

記憶にもない両親だけど・・・でもウヒョンの両親で・・・

さっきまで笑ってた自分が情けなく思うよ。

ごめんね・・・・

私、自分のことばかりで、ウヒョンの気持ちなんて考えてもなかった。

それでも一緒に笑ってくれたウヒョンに、

私は一体、なんて声をかければいいんだろう?

 

 

 

私はその時、ウヒョンの顔を見上げる。

それから直ぐに、ウヒョンの手を見下ろすと、握り締めた拳から血が滲み出てきそうな

程握り締めてるのを見た時、思わず私はその手を開いて、自分の指に絡ませた。

 

ウヒョンが私を見る・・・。

 

二度・・・軽く頷くウヒョン。

 

それはまるで”大丈夫・・・大丈夫だから・・・”って

言ってるようで、たまらず抱きしめたくなるの。

 

オーナー:「それからね・・・本当に二人は壮絶な戦いをして、天国に行くんだけど・・・

でも、その間に君が生まれた。私達はね・・・最期の願いを聞いたんだよ。

ウヒョンを頼むって。子供のいない夫婦のところへと養子に出して欲しいって。

まだ、赤ちゃんだったウヒョンを連れて福祉に相談したんだ。」

 

マリー:「そうだったのね・・・・・。」

 

ウヒョン:「俺・・・今の両親が本当の両親だと思ってます。

今、その事実を受け入れるってのはなんか違うかもしれないけど、

率直に”分かりました”っていう感想しかなくて・・・・。」

 

オーナー:「うん・・・そうだよな。それでいいと思うよ。でも、ウヒョン君を生んだ

オンマが死の直前まで、君を愛していたことは事実だから・・・。」

 

ウヒョン:「はい・・・分かってます。この写真・・・・貰ってもいいですか?」

 

オーナー:「もちろんだよ。その為に私がいるのだからね・・・・。」

 

マリー:「それで・・・オーナーと私のアッパがウヒョンを養子に・・・?」

 

オーナー:「うん・・・・辛い選択だったよ・・・出来るなら私らのどちらかが引き取りたかった。

       でも、それはしないで欲しいって、言ったんだよ。」

 

マリー:「どうして?」

 

その間にも・・・・私の指先から時々ウヒョンの感情が伝わって来てた。

力が入ったり・・・緩んだり・・・多分、無意識だとは思うけど、でもそれは

ウヒョンの中で起こってる葛藤が渦巻いてるって感じたから、私は話しながら

ウヒョンよりもさらに強く手を握り返したの。

 

オーナー:「私たち3人が親友だったからさ・・・。だから、3人の子供は他人として

また繋がって欲しいっていう願いがあったみたいなんだ。そんな話も含めて

たくさんの時間をかけて、養子になってくれた今のウヒョン君の御両親にも

全てを話して了解してもらったんだ。」

 

マリー:「そうだったんだ・・・・。」

 

オーナー:「それで・・・ここはね?いつかウヒョン君がマリーと出会い、

それを伝えるために生前作った場所だったんだ。ここはマリーの家だけど、

3人の約束の部屋でもあるから・・・・。」

 

マリー:「約束の・・・部屋・・・・。」

 

オーナー:「そう・・・約束の部屋。3人と・・・そして、今のウヒョン君のご両親も

加わっていると言ってもいいかな。4人・・・だね。そして、ウヒョン君の生みの両親と

育ての両親、それから私達で思い出話しがいつか出来たらって大事にしてた。

君たちが大人になって夢を叶える頃に・・・ね。」

 

マリー:「でも、その夢は叶わなかったのね・・・・。」

 

今度は私の手が緩んだ・・・・

ウヒョンが私の横顔を、まるで自分の事のように辛そうに眺めているのが分かる。

それから、ウヒョンが私の手をぎゅっとするのも感じられた。

 

オーナー:「・・・・・・今度は・・・今度は・・・。」

 

マリー:「オーナー・・・・ごめんなさい・・・ごめっ・・さいっ・・・・。」

 

オーナーの目に光るそれは、私と同じ色をしているようだった。

私は恥ずかしくなった。

自分だけが辛いと思い込んでいたあの日々・・・・・・・

本当に辛かったのは誰なのだろう?

ふさぎこんでいる間に、私は何を忘れてしまっていたのだろうか?

まるで我が子のように、こんなにも私を愛してくれて、

ずっと傍に置いて見守ってくれていたオーナー。

何をしていたのか・・・・私は・・・何を・・・・?

 

オーナー:「いいんだよ。マリー泣かなくていいんだ・・・私がしたくてやっていただけだから。

君が生きていてくれて本当に良かったと思ってるよ?

お前の両親が、事故で亡くなった時、本当に私は呪われているんじゃないかって

自分を責めた事もあったが、そうじゃない・・・・

私はね・・・・子供がいない。知ってるだろう?でも、このアロマの香りを嗅ぐと

子供が笑ってるように感じるんだよ。君がうちに来てくれた時、私は心底嬉しかった。

私達の親友の忘れ形見・・・・君が幸せになることだけを考えてきた。」

 

マリー:「オーナーッ!!」

 

飛び込んだオーナーの胸はとても暖かく、まるでアッパに抱きしめられているかのようだ。

こんな風に抱きついたのも、そして強く抱きしめられることなんて1度もなかったけど・・・・

もしも・・・・もしもアッパが生きていたらこんな感じなんだろうって思えたの。

 

ううん・・・きっとオーナーの中にいるアッパが私を一緒に抱きしめてくれてるのね。

 

なんだか・・・そんな風に思えたの。

 

たくさん、泣いた。

時が止まっていたあの時の分までってくらいにね。

止まらない涙が、オーナーの白いシャツを濡らしてビショビショになっていく・・・

それでも私の涙は乾くことを知らなくて。

 

そしたら・・・ウヒョンが横からオーナーごと私を抱きしめてくれて、

3人で団子みたいに丸くなって一緒に泣き喚いた。

 

オーナー・・・・オーナーも苦しかったのね・・・・

親友を二人も失って・・・・辛かったんだね?

 

私は喉まで出かかっていたのに、その喉と胸が焼けるように熱くなって

声を出すことが出来ずに苦しかった。