ミョンス ~君の足跡~act.8(kisekiとは・・・) | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

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amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。

 

 

『奇跡』って悪い方にも使えないの?

 

なんかそんな風に思えた。

 

アレができなかったのは、奇跡である程の意味があった。

 

コレが出来た代わりに、アレを失った。

 

それが悪い奇跡なの。

 

汚い・・・いつの間にか私の心が汚く染まった気がして、

やけに手を洗ってしまう。

変ね?

今までだって片思いだったじゃない。

私、どうしちゃったんだろ・・・

 

私の心を渦巻く物凄い独占欲が、

学校までの送り迎えを数回程してもらっただけで、溢れて吹き出した。

それはまるでクジラの噴水みたいで。

 

私は、これ以上ソンヨルオッパがなんとなく頬を染めている顔を

見たくなくて、いきなりトイレに立ち上がった。

 

ヒンス:「オッパ、ちょっと・・・。」

 

ソンヨル:「ん?あ、あぁ・・・」

 

リリィ:「化粧室?あっちよ。^^」

 

ヒンスはペコッと軽くお辞儀をして、逃げ込むように化粧室の看板

めがけて小走りで去った。

 

リリィ:「可愛い妹さんね^^そっか・・・ミョンスの妹さんかぁ・・・

    それで今日は・・・あ、私はミョンスの教育係

    みたいなことしてますっw同い年だよ!あのっ・・・ソンヨルさん?」

 

ソンヨル:「ぁっ・・・あぁっ!すいませんっwww教育係?!教育係ってまぁ・・・

あいつには似合う言葉だけどw仕事教えてたってことですよね?」

 

リリィ:「そうそうwあ、ソンヨルさんも同い年なら敬語じゃなくていいかな?」

 

ソンヨル:「うんっwもちろんだよ。」

 

リリィ:「じゃぁ、そうしましょっ!」

 

ソンヨル:「それで・・・。」

リリィ:「それで・・・。」

 

ソンヨル:「ぁっ・・・。」

 

リリィ:「プッw」

 

思わず同時に言ってしまい、二人は顔を見合わせて笑ってしまった。

 

リリィ:「あははっwごめんねっ?ここまで話してといて要件、全く聞いてなかったよねw」

 

ソンヨル:「それなw俺も早く言わなきゃなのに・・・リリィさんは店長なの?」

 

リリィ:「リリィでいいよw 私はただの従業員だよ。さっき、同い年って言ったでしょ?

    れっきとした学生さんですっ!

    ていうか、そんなに年上に見えるのね・・・あたしって・・・。」

 

ソンヨル:「いやいやいやっ!!違うってっ!!一応聞いただけだからっ!一応っ!!」

 

リリィ:「そうだよね?ところで・・・ミョンスに会いに来たの?今日はバイトじゃないよ。」

 

ソンヨル:「それが・・・その事で話があって来たんだ・・・。

      ミョンスさ、訳あって今入院してんだ。」

 

リリィ:「えっ!!・・・そんなっ・・・なんでっ!?」

 

ソンヨル:「・・・・ぁっ・・・えっと、妹が友達に・・・いや、あんなの友達じゃねぇな。

      不良達に絡まれてさ、俺らがたまたま通りがかったんだ。」

 

リリィ:「うん・・・・。」

 

ソンヨル:「それであいつ、棒で殴られて・・・命に別状はないんだけど、

      全然目ぇ覚まさないんだよ・・・。

      俺、・・・今さ、ミョンスの妹の送り迎えしてるんだ。

      それで今日は一緒に来たんだ。あいつここでバイトしてるでしょ?」

 

リリィ:「だからか・・・・妹さん元気ない感じだったから。」

 

ソンヨル:「うん・・・・ヒンスはまだその恐怖が残ってると思ってさ・・・・

      学校てとこが。そいつらは捕まったけど、また何かしてくるかもしれないし、

      他にも仲間がいるかもしれないって思ったから、そうしてるんだけど、

      そんで・・・・一つ頼みがあるんだけど・・・。」

 

リリィ:「何?私に出来ることなら何でも言って?

    私もミョンスのお見舞いに行きたいし、何でも話して欲しい・・・。」

 

ソンヨル:「リリィって・・・もしかして・・・・・?」

 

リリィ:「へっ?!いっいやっそういうんじゃなくて!!私達、仲良くやってたと

    思うし、同じバイト仲間じゃないの。」

 

ソンヨル:「ぁあ~なんだっ!そういうことかw」

 

リリィ:「それで・・・頼みって?」

 

ソンヨル:「あのさ・・・俺がミョンスが目覚めるまでの間、

      代わりにここでバイトしちゃダメかなっ?

      もちろんバイト代はそのままミョンスの方でいいんだ。何とか頼めないかな・・・。」

 

リリィ:「ソンヨル・・・あんたお人好しなんだね・・・。」

 

ソンヨル:「別にいいかっこしたいわけじゃないけど、少しでもあいつの為に

      何かしてやりたいんだ・・・・俺も・・・あの場にいたのにさ・・・

      何にも出来なかった・・・。」

 

一瞬の静けさが、その時の緊迫感を教えてくれる。

リリィも切なそうに眉を下げ、ソンヨルをみつめた・・・・

すると、ちょうどヒンスがソンヨルの声に応えながら歩いてきた。

 

ヒンス:「オッパ・・・・オッパがいなくても他の誰があそこにいても、

     誰にも止められなかったよ。

     ミョンスオッパは、仕方なかったの・・・誰のせいでもないよ。」

 

ソンヨル:「ヒンス・・・戻ったのか・・・。」

 

リリィ:「こんにちは、リリィです。ミョンスのバイト仲間兼、教育係なのwよろしくね!」

 

ヒンス:「・・・・・・・・あ、ども。」

 

ソンヨル:「おい。ヒンス、よろしくって言ってるだろ?ちゃんと挨拶しろよ。」

 

ヒンス:「・・・・・なによ。オッパは私の本当のオッパでもないのに、

     偉そうにしないでっ!」

 

ガタンッ!!

 

ソンヨル:「あっ!ちょっ!!ヒンスッ!!待てよっ!!」

 

リリィ:「行ってっ!!バイトの事は私から店長に話しておくから

    安心してっ!!人手もいないし、かえって助かるのっ!!」

 

ソンヨル:「わりぃっ!!頼むねっ!!」

 

リリィ:「うんっ!」

 

ソンヨル:「あっ!リリィ、そこの紙に俺のラインID書いといたからっ!w」

 

リリィ:「わっwちゃっかりしてるぅ~www分かったよ!!ありがとねっ!!」

 

ソンヨル:「おうっwじゃーなっ!」

 

ソンヨルはテーブルに設置されている紙ナプキンにペンをにじませて

書いたLINEのIDをリリィに手渡した・・・。

 

お店の奥の席にいたソンヨルは、イスと人。

テーブルとテーブルの間を右往左往に体をよじりながら避け、

外に出るまでの間にリリィとそんな風に会話をして、颯爽と出て行った。

 

 

 

 

breathing......

breathing..........

I'm still breathing.

 

 

 

 

 

オッパ・・・ソンヨルオッパ・・・私、死んでない。

生きてるの。

息をしてるの。

 

ミョンスオッパも・・・・

 

他のネジを回さないで?

私達とのネジを回しながら、他のネジまで回さないで欲しいの。

 

ソンヨル:「おいっ!!ヒンスっ!!ヒンスって!急にどうしたんだよっ!?」

 

当然私は捕まった。

それとも私が急に立ち止まったからなのか、わからない。

 

ソンヨルオッパが私に追いついたら足が急に動かなくなってしまう・・・

腕を引かれてクルリと回り、オッパの顔を見るしかない私は

胸が痛くて息をすることさえ難しくなってた。

 

ヒンス:「何よ・・・デレデレしちゃってさっ!ソンヨルオッパ、もういいよっ!

     ミョンスオッパの為に代わりにバイトなんてしなくていいっ!!」

 

ソンヨル:「はぁっ?お前何言ってんだ?リリィも言ってただろ?ミョンスがいないと

人が足りなくなんだよ。俺、家で店やってるし、即戦力になると思うんだよ。

それで、ミョンスが目覚めた時にも困らなくて済むだろ?」

 

ヒンス:「リリィって・・・もう呼び捨てする間柄?

     随分、やる気あるじゃん・・・・そこまで意気込まなくていいのに。」

 

ソンヨル:「・・・・ヒンス、もしかしてお前・・・妬いてんのか?w」

 

ヒンス:「はぁっ!?なんでそ〜なるわけぇ?んなわけないじゃんっ!!」

 

ソンヨル:「おーおー!そうかいっ!!勢いいいなっwリリィは同い年だから

      ないだけだしっ!お前もそうだろ?同級生とさ・・・。」

 

ヒンスはコクンと頷いた。

するとソンヨルは、うつむくヒンスの顔を覗き込むように顔をゆっくりと近づけていった。

ヒンスの心臓が破裂しそうになって、体温が上がっていく過程にも、今まさに

ミョンスは目を閉じたまま苦しんでいるのだろうかなんて・・・

今この瞬間、誰が思っていただろう。

 

世界の誰も気づきはしない、目を覚まさないミョンスが闇の中を

彷徨い続け、ようやく見つけた出口の先に待つものは・・・・?

 

だぁ~れも知らない。

だぁ~れも知らないんだ・・・。

 

それから、二人はゆっくりと歩き出し、ミョンスの待つ病院へと向かった。

 

歩いてる途中は、いつものヒンスに戻って一安心のソンヨルだったが、

急にポケットが騒がしく震えだした。

 

(おっとー・・・ラインか・・・?)

 

ソンヨルはこっそりとポケットから少し携帯を出して、

携帯の振動の主を確かめようと、蓋を開いた。

既読を付けずとも現れたLINEにそれがリリィだと分かると、一瞬で読んで

すぐにポケットの奥にしまい込む。

 

(リリィかっw

こんなに早くLINEがくるとはっw)

 

ヒンスがソンヨルの少し挙動不審な動きに、頭を右に傾ける。

 

ソンヨル:「んっ?どうした、ヒンス?」

 

ヒンス:「いやっ、オッパこそどうしたの?何か変だけど。」

 

ソンヨル:「おっ俺っ???俺っ?!俺は別になんも変じゃないよ。

      ただのメール見ただけwお前疑い深くなってるのな。まか、あんなことあったから

      仕方ないけどさ・・・。もう少しソンヨリオッパを信じなさいw」

 

ヒンス:「無理っ!」

 

ソンヨル:「あっ、おいっ!!廊下走んなって!!」

 

 

ドンッ!!

 

ヒンス:「いたっ!!」

 

ソンヨル:「ほらぁ~・・・だから言ったろぉ~?ほら、立て立て・・・って、

      えぇぇぇぇええええええええぇぇぇぇえええええっ!!!!」

 

ソンヨルの驚いている声にキョロリと目玉を動かし、

ヒンスはぶつかった相手を見て驚いた。

 

ヒンス:「オッパ!!目が覚めたのっ!?オッパっ!!

     良かった・・・良かったよぉ~~・・・」

 

ソンヨル:「お前っ!!目が覚めたんだなっ!!やったじゃんっ!!

      てかそんなにすぐ歩いて大丈夫なのかよ?ってか、いつ気がついたんだ?」

 

ミョンス:「っと・・・・今っ?」

 

ソンヨル:「おいおいおいおい~~~っっ・・・まだ歩くなよぉ~

      看護師さんには言ったのか?」

 

ミョンス:「いやっ?ココドコなんだろ~って探索してたんだ。」

 

ソンヨル:「探索ってお前・・・はぁ~・・まぁいいから一回部屋に戻ろうぜ。」

 

ミョンスはソンヨルに背中を押されながら、

トタントタンとスリッパの音を鳴らして歩いた。

 

横開きのスライドドアの音が部屋とろうかに響き渡った・・・・・

 

この瞬間には何もなかったのに。

そう、この瞬間まではいつもどおりの顔と顔だったのに。

 

水風船を床に投げつけて割れた音のように、それは以外にも静かに始まった。

 

キシッ・・・・

 

ミョンスは自分の寝ていたベッドに腰を下ろし、ソンヨルは近くの椅子へ。

ヒンスはミョンスの手の上に自分の左手を置いて、安堵の涙を浮かべる。

 

ヒンス:「オッパ・・・大丈夫?どっか痛いとこないの?」

 

ミョンス:「・・・・・ぇっ・・と、誰っ?・・・ですか?」

 

ヒンス:「えっ・・・オッパ・・・何言って・・・・・。」

 

ソンヨル:「お前何言ってんのっ?wお前の妹のヒンスじゃん。」

 

ミョンス:「ヒン・・・ス・・・・?ヒンス・・・・・。」

 

見る間にその瞳に埋められた湖が、ソンヨルの肩に・・・腕に流れていく。

瞬間にソンヨルがヒンスを抱きしめたのには、どんな想いだというのか・・・・

 

ソンヨル:「おまっ・・・なっ・・・何言って・・・・お前の妹だろうがっ!!

      なぁっ・・・ミョンスッ!!ミョンスヤッ!!答えろっ!!答えろよっ!!

      俺はっ!!俺はっ・・・・俺は誰だっ?誰だって言うんだよ・・・・お前こそ・・・

      お前こそ誰なんだよっ・・・・。」

 

両手で顔を覆うのも忘れたヒンス。

悲しさっていつ感じればいい?

今なのっ?!

 

 

 

 

その時、誰が持ってきたのか花瓶に咲く花の花びらが、

ヒラヒラと舞い落ちる・・・・・

 

時が止まった?

それとも受け入れられない現実に神様が与えた

何もない世界?

 

二人の鼓動に対して・・・・

俺は一寸も変わらずに、いつも通りの心拍数で。

 

転がるビー玉が光を放って。

それが俺達のいた・・・輝いていた時だとでも言うのだろうか・・・

 

風がそよいで、あの子の声もかき消されたとしても、

俺には何もできないし、何も分からない。

 

何も・・・・・・・・・・・・。