MEZAMEの後 中編 | K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

K-POP恋愛小説(INFINITE/防弾少年団/etc...

amblo.jp/vanilla7creamより
引っ越しました。

今までINFINITE ONLYでしたが
これからは他のグループにも
挑戦致します★
暖かく見てくださると嬉しいです^^

Fantasy/恋愛/日常
短編集・・・など。

 

 

”その者”が目覚めて、”その者”がまた眠ってから幾程の時が過ぎただろうか。

 

それを知る者、なんぴとたりともおらず・・・・

 

それを知る者、生者にあらじ。

 

それを知る者、人にあらじ。

 

それを知る者・・・・人の知らない人が崇めるべき者なり・・・・

 

それを知る者、世界を救ったとも言える神にありけり。

 

ただ・・・知る者とその者、光と影の如く縁ありて、1度は世界が消え果てた。

そして、知る者という光は消え、その者という影も消えた・・・・

 

その最後の瞬間・・・あるいは誰も知らぬ間に、

光は影を消すまいと心密かに自分の命の源を託してから・・・消えた。

 

しかし、託された者は何も知らず、新たな生を受けることとなる。

 

果たして・・・終わったはずの物語に続きがあると言うのか。

 

それは・・・誰にも分からない、誰も知らないもうひとつの

 

新しい物語なのかもしれない・・・・

 

 

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ん・・・・蒼い・・・?

 

空色・・・・と、白が浮かんでいるな。

 

今はどこだ?

 

 

時間は・・・・・

 

 

ふん・・・。

 

晴れだ・・・・。

 

晴れてんなぁ~・・・。

 

 

俺・・・なんでこんなとこにいんだろ?

 

さっきまで何してたんだっけ。

昨日・・・何食べたんだっけ。

 

俺は、気が付けば海の岩場に打ち上げられた人魚のように、横たわっていた。

 

岩場・・・・体が痛いな。

そりゃそうか、こんなところでうたた寝とは、俺もすこぶるアホらしい。

 

それにしても・・・・ここは・・・海か?

 

誰だろ?

泣いてる声?

 

まるでセイレーンでもいるようだw

 

口端を上げて、前髪で目を隠したままおれはクスリと笑う。

 

何がおかしいわけでもない。

 

おかしいと言うならば、俺が何故ここにいるかが問題だ。

俺は漂着者か・・・・

何も覚えてないけど、どうすればいいかも特に焦らずただ膝を片方だけ

曲げてみればセイレーンの声がしたから・・・

 

なんだかおかしかった。

 

これを気分が良いというのだろうかね。

 

セイレーンの声は、まだ俺の耳でこだましている。

 

”お願い・・・・”

 

 

ん?

 

 

なんだ?

 

 

”お願い・・・”

 

お願い?

 

そう言われてもなぁ・・・・

 

 

”お願い・・・私を起こして・・・・”

 

振り返った。

 

ふん・・・・誰もいない。

 

仕方がないから立ち上がって、海に向かって両手を下めに広げて目を閉じてこう言った。

 

 

「俺には何もできないよ・・・・?俺は神様でも何という者でもないからね。」

 

 

するとその声は続けた。

 

”いいえ・・・いいえ・・・あなたにしかできません。

どうかお願いです。私を起こしてください・・・”

 

あんた誰よ?

 

はっ?

なんだよ・・・何も答えないじゃん。

 

まぁいいや。

 

そうして俺は聞こえる声に従うように、何かをするために

動き出した。

だけどそれは俺の意思じゃないようにも思えた。

だって俺には何も分からなくて・・・

俺は俺のことが知りたいくらいだ。

 

歩き出す足が”痛い”ような感覚を覚えた。

 

背中が痒いような、痛いような気もした。

だけどここには鏡がない。

 

「・・・・・なぁ、俺が何をできるか正直分からないし、

何のことだかわからないんですけど・・・あ~・・・でも、なんか探してくるよ。」

 

 

海に向かってそうつぶやくと、俺は海岸だった砂に別れを告げて、

道路というコンクリートにようやく足を踏み入れた。

 

 

まるでなにかの境界線みたいだな。

 

そう思ったか・・・感じたか。

俺はずっと上の空だった。

 

なんか・・・やっぱり気になるな・・・・

背中が痛痒い気がする。

 

怪我でもしたか?

起きたら岩場だったしな。

鏡でも探してみるか。

 

コンビニのガラス張りのできばえの鏡じゃ見えないかな・・・

 

コンビニ・・・・コンビニは分かるんだな、俺w

 

ヒヘヘ・・・

 

何やらとにかく新鮮で、楽しい気分になるんだけど。

 

俺は子供かっ!!

 

 

えーーっと・・・それより鏡・・・鏡・・・・

 

 

『その者は鏡を探し歩いた。そこらの公園にもあるだろうに、

何故かその者はひたすら歩き続けた。・・・・無我夢中で。』

 

 

・・・・・・・・・。

 

どれくらい歩いたかな?

 

そろそろ本気で鏡を探すか。

俺、今何してるんだろう・・・

あぁ、そうか背中か。

 

たくさんの人とすれ違った。

でも誰も俺を見やしない。

そりゃそうか?

 

でも・・・なんだか気になるんだ。

誰とも目が合わないなんて・・・・・

 

 

 

そう考えていると、誰かが近寄ってくる気配みたいなのを背中に感じた。

 

誰だ?

 

俺は振り返ってあたりを見回す・・・

でもそれらしい人は近寄っては来ない。

それなのに、気配だけが近づいて来るのが分かる。

 

気持ち悪ぅ・・・

 

そう言いながらも俺の口端は笑っているようだ。

 

急に足が止まった。

また、振り返ると、きれいに磨かれたガラス張りの店。

 

写らないだろうけど・・・

俺は服を中途半端に脱いで、背中を映してみた。

 

なんだ・・・これ?

 

背中には確かに傷があった。

治りかけだからか、痛がゆい理由はハッキリした・・・・でも・・・・。

 

背中の中央付近にある傷は縦に2つ。

獣に引っかかれたような傷だった。

 

はぁ・・・・謎。

 

直ぐに服を肩では降り直して、店のガラスに映った自分の顔を見ると、

自分の顔に覚えがなかった。

こんな顔してんだ・・・俺。

 

「ねぇ・・・ここから出して。」

 

「えっ?」

 

「私をここから出してください。」

 

「君、だれ?どっから話してんの?」

 

「よく見て・・・見えるでしょ?」

 

「ん?・・・あっ?」

俺は振り返った。

だって、その人・・・店のガラスに写りこんでたから。

 

でも、実際に後ろには誰もいなくて、もう一度ガラスを覗き込んだ。

店に両手をついて張り付いている俺は、店内から見ればとても滑稽だったろう。

 

「お願い・・・・早く・・・会いたいの。」

 

「会いたいって・・・誰に?」

 

そう聞いても首を振っているだけで、何も言わない。

 

「何なんだよ・・・俺は幽霊か?俺はなんもできねぇよ?」

 

「お願い・・・あなたしかいないの・・・早く・・・会いたい・・・ミョンス・・・。」

 

「あ゛っ?ミョンス???そんなやつ知らねぇし・・・。

探すこともできねぇよ。」

 

「そうよね・・・あなたも・・・早く起きなきゃね・・・。」

 

「悪いけど・・・俺もう行くわ。」

 

おかしなことばかりだな。

今日はなんなんだ?

 

『ア゛ァーッ!ア゛ァッー!』

 

なんだよ、騒々しい・・・カラス?か・・・

 

そのカラスはやけに赤い目をしていた。

そいつは俺をジッと見てる・・・

 

俺が見えるのか?

 

誰も目を合わせないってのに。

そんな間もなく、何故かあたりは森の中だ。

走馬灯のように流れてくるこの映像はなんだ?

 

谷へ飛び込んで、海へ飛び込んで・・・・

 

今日は水が多い。

 

いや・・・それだけじゃない。

 

鏡・・・・赤い目のカラス・・・・

そして、強烈な電磁波が体に流れ込んでくるような耳鳴り。

それはまるで、ラジオのチューニングを合わせているような音だった。

 

それに混じって、変な声。

 

”ハジメマシテ・・・・ヨウコソ・・・”

 

機械仕掛けのいらっしゃいませか?

 

すると急にまつげが凍った。

 

今度は誰だよ?

 

「電波・・・機械かと思っていたら、ただの冬の精霊でした。」

 

「ストレート過ぎて意味分かんねぇ・・・なんでお前ら訳のわかんねぇ

もんばっか俺に声かけてくんだよ?お前何か知ってる?」

 

 

「あなたの目覚めを待っているのです。」

 

「はっ?えーっと・・・見ての通り俺、起きてるよ?」

 

「いいえ・・・あなたはまだ存在すらしていません。」

 

「・・・・・。」

 

呆れた。

 

俺が存在すらしてないとかムカツクんだけど。

ここにいるし。

まぁ、なんか人の目が気になって変な感じはするけどさ・・・

 

「何も覚えてないでしょう?私のことも分からないようですし・・・

ですが、あなたは私に会うまでに、不思議な声に出会っている筈です。」

 

「それがどうしたっ!」

 

そう言い放って俺は逃げ出した。

こんな気持ち悪いことは初めてだっ!!

 

知らないヤツから声掛けられてさ、存在しないだの

助けてだのなんなんっ???

キモイってば。

 

じゃぁ、何?俺が幽霊だとでも言うんか?

ははっ・・・

 

マジうけるんだけどw

 

走りまくった。

でもこれは逃げるんじゃなくって・・・

って、誰に言い訳してんだろ。

 

そうこうしている間になんだかグルグルと何かが三半規管内を

回って、脳にまで達するような音?声?が聞こえてきた。

 

気持ちがいい・・・・

凄く気持ちがいい。

このまま眠ってしまいたいような、そんな音だ。

 

太陽の暖かさを感じる『音』みたいな。

暖かさって音じゃないけど、感覚的にそんな感じなんだ。

俺は空にニーッコリと笑って、目を閉じ、その音に耳を傾けた。

 

自然と体を起こして、今度は色んなポーズで背伸びをしてから

とにかく適当に足が赴くままに歩くと、広い場所に出た。

 

水しぶきの音がする・・・・

吹き出した音。

まるで何かの映画で見た時の血しぶきみたいな音だな・・・って思った。

 

ふと気が付くと俺は少女の前に立っていた。

 

俺もその子も道端でバッタリ会ったかのように体を仰け反り

それからゆっくりと顔を合わせた。

 

「あなたなの?私を呼んだのは・・・・。」

 

俺は微動だにしなかった。

 

「あなた・・・素足で痛くない?」

 

俺は何かを掴むようにその子へ向けて手を伸ばした。

 

するとその子はもう俺に話しかけなくなった、その子も手を伸ばした。

 

指先が触れた瞬間・・・・・・・

 

真っ白な世界へと誘われ、その子も瞬間に見えなくなっていった・・・・