委託熱処理ー電気炉 | ―正宗の名刀は再現できる―

―正宗の名刀は再現できる―

自身を「スーパーメーカー」と称する鋼の研究者、古屋道正です。
世界に3人しかいないダマスカス鋼の再現者の一人です。
鉄・鋼に対するあくなき探究心を、ブログに少しずつ書き記していきます。名刀細川正宗は再現することができることを知っていただけることでしょう。

ウーツ鋼の作成方は散々書きましたが、これはとても大変なことであることは確かです。


 最近新しく買った電気炉のアルゴン置換が上手くいかないらしくできた鋼が銀色ででてこなかったので最終炭素量に不安があって困っており委託熱処理をあたってみました。



ネムスという会社のホームペイジをみて電話して聞いてみました。



1650度まであげて5時間維持してそのあと時間8度で徐冷するのですが1150度まで500度を約63時間、その後550度まで時間10度で60時間、そのあと炉冷で3時間、総計136時間の過酷な熱処理は6日かかります。



これを頼むといくらですかと聞いてみたら、しばらく計算して78万円ぐらいになりますとの答え。


それを聞いてウームと絶句してしまいました。



 高性能電気炉を占有する料金がそれだけの値段になるとのこと。


一日だけではいくらですかときくと12万円だそうです。


それならなんとか手が出ますがウーツ鋼になりません。


今までやっていたことがとてつもない熱処理だったと自画自賛したのですが今ある私の電気炉でどこまでできるのかはたと困っています。


私の初代電気炉は気密はよかったけれども発熱体の弱さが問題で放棄しました。


作ってくれた会社はもう社長さんがご高齢でなくなってしまったし。


2代目の電気炉はヒーターは完璧ですが気密性の問題がありそうでいま挫折中。


電気炉を使いこなすのも時間と金と技術が必要です。