下書き保存したまま、すっかり出すの忘れてたこの話。滝汗

(誰も読んでないと思うけど中途半端はイヤ&せっかく書いたので公開しますw)

 

 

年の離れた男の子を好きになりました。

第4回

 

 

ここは、ソウル市にある全寮制高校・ピョンテ学園。

 

毎年多くのソウル大合格者を輩出するこの名門校は、学業の妨げになるため、男女間の接触・交際を禁止している。

 

このルールを破った者は、有無を言わさず退学となり、二度と輝かしいレールの上には戻れない―

 

 

ロゼワイン「年男(トシナム)」第1話はこちらから

 

ピンクマカロン「年男(トシナム)」第2話はこちらから

 

ハート「年男(トシナム)」第3話はこちらから

 

 

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どうして、こんなことになってしまったんだろう。

 

 

 

 

キャンプファイヤーが終わった後、グクが私に言った。

 

「ねぇヌナ、2人きりになれるところに行こう?」

 

「でも・・・」

 

「大丈夫。監視員が20時にはシフト交代するんだ。

その引き継ぎ中・・・30分くらいかな?監視が手薄になる。

だから俺たちが抜け出してもバレないよ。」

 

「そうなんだ?

でもグク、前からやたら監視員に詳しいよね。どうしてそんなこと知ってるの?」

 

「んー。秘密ルートで仕入れた情報?」

 

「また秘密なんだね。」

 

「うん、ごめんね。

教えてもいいけど、ヌナを巻き込みたくないんだ。」

 

 

(巻きこみたくない・・・?)

 

 

グクは時々、意味深な言葉を発する。

やたら学園の事情に詳しかったり、何かと秘密が多いのだ。

 

 

(こういう時、ちょっとグクを遠くに感じる・・・)

 

 

 

「あ、20時になる。

監視員が動き出した。行こう!」

 

 

グクがぐいっと私の手を引いて、森の方へ走りだした。

 

「どこ行くの?」

 

「いいとこ!」

 

 

うれしそうにはしゃぐ顔は、まるで子供のよう。

こんな表情を見ていると、こちらまでつられてうれしくなる。

 

 

そして・・・大人としての判断を誤ってしまうのだ。

 

 

(前の私なら、絶対にグクについていったりしなかった。

それなのに今は止められない。)

 

 

(理性がきかないの・・・)

 

 

 

しばらく何もない山道を歩いていると、急に視界が開けた。

 

「わぁ・・・」

 

 

目の前に美しい夜景が広がっている。

 

 

「きれい・・・」

 

「どうしてもヌナと来たかったんだ。」

 

「グク、前にも来たことあるの?」

 

「うん。子供の時に。」

 

「そうなんだ・・・」

 

「何か嫌なこととかつらいことがあっても、この場所で景色見てたら悩みとかちっぽけに思えて。気が付いたらここで爆睡してたり。あはは。」

 

「寝てたの?あははは。」

 

 

「ここは、俺にとって特別な場所。

連れてきたのはヌナが初めてだよ。」

 

 

そう言って、グクが私の体を引き寄せて優しく抱きしめた。

 

(グク・・・)

 

「ありがとう、連れてきてくれて。」

 

 

 

互いの体温を確かめ合うように、宝石のような夜景の光を纏いながら抱き合っていると、急にざわざわと風が吹いた。

 

「?」

 

 

はっと気がついた時にはもう遅かった。

 

 

「おふたりさん、そこで何してるんですか~?」

 

 

「・・・」

 

グクの顔が険しくなる。

 

私たちの周りには、5~6人の男子生徒達が群がっていた。

 

 

 

「ヌナ、俺の後ろに下がって。」

 

「う、うん・・・」

 

 

「この人たち・・・」

 

「俺と同じ学年の奴ら。」

 

 

(ってことは、後輩・・・)

 

 

 

「ジョングク、おまえ課外学習抜け出して先輩とこんなところでイチャついてて良いと思ってんのかよ。」

 

「おまえらには関係ないだろ、ほっとけよ。」

 

「そういうわけにもいかねーんだよ。

今回の課外学習で、俺たちペアの子に手出して停学処分になりそうなんだよね。

おまえだけバレずに免れようったって、そうはいかねー。」

 

「ハッ。ばれるなんてだせーな。

俺みたいに頭良くないからそんなことになるんだよ。」

 

「なんだと?」

 

男たちのリーダー格らしき男が、グクの肩を小突く。

 

「おまえ、ちょっと女子にモテるからって良い気になってんじゃねーよ。

前から気に入らなかったんだよ!」

 

「おい、やっちまえ!」

 

 

男たちが一斉にグクに飛びかかってくる。

 

 

 

 

「ヌナ、逃げろ!」

 

「えっ」

 

「走れ!」

 

「でもっ・・・」

 

「来た道を戻れ!全速力で!」

 

 

 

 

ハァッハァッ・・・

 

 

 

(グク・・・)

 

 

(グク・・・)

 

 

 

どうしてこんなことになってしまったのだろう。

 

監視の目を欺けば安心だなんて、どうして思ったのだろう。

 

 

この学園に通っているすべての人間がライバルで、お互いを蹴落とそうと必死なのはわかっていたはずなのに。

 

 

恋に溺れて、そんなことも忘れかけていた。

 

 

 

(どうしよう・・・グクが)

 

 

(グクに何かあったら・・・!)

 

 

 

ドンッ

 

 

その時、何かにぶつかった。

 

 

 

「ヌナ?」

 

 

「テミン・・・」

 

 

「どうしたの、そんなに慌てて。」

 

 

「テミン、グクが大変なの。

男子生徒たちに襲われてっ・・・」

 

「えっ!?」

 

「お願い、助けて!!」

 

 

「助けたいけど俺の腕力じゃ・・・

とりあえず先生を呼んでこよう。」

 

「う・・・うん。

でも早くしないとグクがっ!」

 

「ヌナ、ちょっと落ち着いて。」

 

「落ち着いてなんていられないよ!」

 

 

私がテミンの腕を掴むと、テミンが優しい瞳から一変、鋭い眼で見下ろした。

 

 

「もしかして・・・あいつのこと、好きなの?」

 

「え・・・」

 

 

「もう、付き合ってるとか?」

 

 

「そんな話今してる場合じゃ・・・」

 

「どうなの?答えて。」

 

 

 

 

 

 

「それは・・・」

 

「言えないってことは、そういうことだよね。」

 

 

「・・・」

 

 

コクンと頷くと、テミンが前髪をくしゃくしゃと掴んだ。

 

 

「ルール破ってまで付き合うなんて、あいつのどこがいいわけ?」

 

「どこがって・・・」

 

 

「ヌナらしくない。

正気に戻りなよ。」

 

 

「私は正気だよ!

真剣にグクのこと思ってるの!

だからお願い・・・グクを助けて!!」

 

 

「いやだね。

あいつのところになんて行かせない。」

 

 

そう言って、テミンが強引に私を抱きしめた。

 

 

「何するの!放して!!」

 

 

「俺の気持ちは無視?

子供の時からずっとヌナのことが好きだったのに。」

 

 

「え・・・」

 

 

「だからあいつに渡したくない。」

 

 

「テミン!」

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ、もう終わりか?

6人がかりでこのザマかよ?」

 

 

 

「こいつ・・・強ぇ。」

「たしかテコンドーやってたって聞いた気がする。」

「おまえそれ早く言えよっ!」

 

 

 

男たちが尻尾を巻いて逃げていく。

 

 

 

「・・・行った。」

 

 

(ヌナ、大丈夫かな?)

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

テミンの腕の力が強くて解けない。

 

 

(可愛い弟みたいに思ってたのに・・・)

 

 

 

「テミン、お願い・・・」

 

「・・・」

 

 

「グクが怪我してるかもしれない。

だから助けに行かないと・・・」

 

 

「そんなの俺にとってはどうでもいいことだよ。」

 

 

「でも、私のこと本当に思ってくれてるなら・・・

私のこと好きだって言ってくれるなら、こんなひどいことできないよね?」

 

 

(ひどいこと?)

 

テミンの顔が曇る。

 

 

「好きな人が嫌がること・・・本気で好きなら出来ないでしょ?」


 

「ヌナ、泣いてるの?」

 

 

気が付いたら涙がぽろぽろこぼれていた。

 

今こうしている間にも、グクがあいつらに殴られたり蹴られたりしているかもしれない。

そう思うと、いてもたってもいられない。

 

グクがボロボロになってしまったらと思うと、怖くて怖くて震えが止まらないのだ。

 

 

「ごめん、泣かせたいわけじゃ・・・」

 

「グクが心配なの。」

 

「・・・」

 

 

「私は、グクのことが好きなの。

 

だから、テミンの気持ちには応えられない。

 

・・・ごめんなさい。」

 

 

「!」

 

 

腕の力が緩んだ瞬間、私はテミンの体をドンッと押した。

 

 

「ヌナ!!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

(先生たちを呼びにいかないと・・・)

 

 

テミンから離れて、キャンプファイヤーの場所までの道を走っていると、急に何かに足を取られてつまずいた。

 

 

「きゃあっ」

 

 

地面に体が打ち付けられるほど、勢いよく転んでしまった。

 

 

「いった・・・・」

 

 

「あら〜ごめんなさい。」

 

「?」

 

 

顔を上げると、さっきグクの周りにいた女子たちが見下ろしていた。

 

 

「!!」

 

「今・・・あなたが足かけたの?」

 

「違いますよ。普通に歩いてたら、先輩が突っ込んできたんです。」

 

「うそ・・・」

 

「ごめんなさ~い、足が長くて。」

 

「きゃはははは!」

 

 

女子たちの高笑いが響く。

 

 

「ちょっと、どいて。

今あんたたちと話してる場合じゃないの。」

 

 

「命令すんなよ、おばさん。」

 

「!?」

 

(おばっ・・・?)

 

 

「あんた年上のくせにジョングクに手出して良いと思ってるの?

ジョングクはみんなの物なんだから、ひとり占めしないでよね!」

 

 

「ひとり占めって・・・グクは『物』じゃないのよ?」

 

 

「ウザッ。

『グク』とか呼んでんじゃねーよ、キモいんですけど。」

 

 

「しかもあんた、テミン先輩とも今抱き合ってたよね?

どんだけ男に色目使ってんの?むかつく。」

 

「優等生かと思ってたら、実は淫乱でした~って?

私たちがこのことチクッたら、あんたもジョングクも退学なんだから。」

 

 

(退学・・・)

 

「やめて。私たちは、あんたたちにとやかく言われる様な関係じゃない。」

 

「嘘つき。」

「そうよ。私たちがジョングクと話してたらイライラしてたくせに。」

 

 

「何とでも言えば?

それより急いでるの。どっか行ってよ。」

 

 

「はぁっ?」

 

 

ドンッと体を押されて、地面に倒されると女子のひとりが馬乗りになって、私の頬を叩いた。

 

 

「っ・・・なにすっ・・・」

 

「目障りなの。

どっか行ってほしいのは、私たちの方。」

 

 

「ねぇ、マジック持ってない?」

「あるよ。」

 

 

「ちょっと、やめて!なにするの!」

 

 

キュッ、キュッ

 

 

「やっ・・・」

 

 

「でーきたっ」

 

 

「あっはっはっは!ひどーい。」

「きゃはは!ダッサ~!」

 

 

「鏡見てみる?」

 

 

 

鏡に映っていたのは、右の頬に大きく書かれた「淫乱女」の文字。

 

 

 

こんなところで立ち止まってる場合じゃない。

 

グクを助けに行かないといけないのに・・・

 

 

私は頬を腕で隠して、涙を堪えた。

 

 

 

(グク・・・!)

 

 

 

 

つづく。

 

 

 

 

 

 

 

※画像お借りしました。

※この話は笑いながら読んでください(笑)

※ 真剣に書いてません←

 

 

「なんかどんどん話が暴走してきてませんか?(・Θ・;)」

 

というご質問には、この話が終わってからお答えいたします。

次回で終わります。

 

(チャミの除隊とか2人の来日で、出すタイミングを失った感w)