このところ寝る前には放送大学の教科書を読んでいる。試験が近づいているからだ。

一度卒業したが、今度は専攻を『発達と心理』(だったと思う)にしているので、今回は「心理臨床」を取った。フロイトの精神分析も、ユングの心理学も ある程度は知っているので簡単だろうと思ったが、いつもながら、そんなことはない。ロジャーズという心理学者についても多少の予備知識はあったが、経歴を読んで驚いた。

まず大学は農学部に入るが、牧師になる決意をして歴史学科に移籍。大学卒業後、聖職に就くために 神学校にはいるが、近くにあったコロンビア大学で臨床心理学の講義を聴いて興味をそそられ、再び大学に戻り臨床心理学を学んだ。卒業後、児童虐待防止センターで12年働くが、その間の経験から、「傷つきや、問題につながっている経験は本人が一番よく知っている。指示することをやめ、クライアント(来談者)を完全に受容しながら話を聞けば、本人自らが解決へと向かう」と考えるようになる。

フロイトは過去に戻って人間を分析したが、ロジャーズは現在に可能性を見出し、すべての人が持つ自己実現への力を信頼する。ちょっと手助けするだけで人は自己実現へと向かうという。手助けといっても、分析や指示ではない。相手の話を相手の立場になって、批判的な態度なしに聞き、自分が理解したことをクライアントに確認するだけだ。それだけでクライアントは自分が漠然と感じていること、考えていることをはっきりさせることができ、問題解決への一歩を踏み出せる。

というのが初期の理論だが、具体的にはどんなふうだったのか猛烈に知りたくなった。たぶん次に読むのはロジャーズ関係の本だと思う。