おはようございます。

 

日曜日の朝に相応しくないタイトルかもしれませんが…。

 

主人公はこの方、キビタキさんです。とても美しい男の子なのです。キレイに撮ってあげることができていませんが…。もっとも、彼はそんなことを求めていないでしょうが…。

 

残念なことに、この後ハイタカに仕留められます。彼を地面に押しつけたハイタカはわたしの姿を確認すると彼を連れたまま、森の奥へと消えていきました。

 

鳥見をしていると、こういう「命のやりとり」に遭遇することがあります。わたしは、自然の定めなのだと淡々と見つめています。キビタキさんの立場になると胸が張り裂けそうな想いです。一方で、ハイタカさんも生きることに懸命なのだし、もしかすると巣にお腹を空かせている子供達が待っているのかもしれない。

 

 

 

 

「おまえは何がほしくておれを殺すんだ」
「ああ、おれはお前の毛皮と、きものほかにはなんにもいらない。それも町へ持って行ってひどく高く売れるというのではないしほんとうに気の毒だけれどもやっぱり仕方ない。けれどもお前に今ごろそんなことを言われるともうおれなどは何か栗かしだのみでも食っていてそれで死ぬならおれも死んでもいいような気がするよ」
「もう二年ばかり待ってくれ、おれも死ぬのはもうかまわないようなもんだけれども少しし残した仕事もあるしただ二年だけ待ってくれ。二年目にはおれもおまえの家の前でちゃんと死んでいてやるから。毛皮も胃袋もやってしまうから」
 小十郎は変な気がしてじっと考えて立ってしまいました。熊はそのひまに足うらを全体地面につけてごくゆっくりと歩き出した。小十郎はやっぱりぼんやり立っていた。熊はもう小十郎がいきなりうしろから鉄砲を射ったり決してしないことがよくわかってるというふうでうしろも見ないでゆっくりゆっくり歩いて行った。そしてその広い赤黒いせなかが木の枝の間から落ちた日光にちらっと光ったとき小十郎は、う、うとせつなそうにうなって谷をわたって帰りはじめた。それからちょうど二年目だったがある朝小十郎があんまり風が烈しくて木もかきねも倒れたろうと思って外へ出たらひのきのかきねはいつものようにかわりなくその下のところに始終見たことのある赤黒いものが横になっているのでした。ちょうど二年目だしあの熊がやって来るかと少し心配するようにしていたときでしたから小十郎はどきっとしてしまいました。そばに寄って見ましたらちゃんとあのこの前の熊が口からいっぱいに血を吐いて倒れていた。小十郎は思わず拝むようにした。

<宮沢賢治「なめとこ山の熊」より>