猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

家族の肖像

2017-06-24 09:52:26 | 日記
1974年のイタリア・フランス合作映画「家族の肖像」を観にいった。
老教授(バート・ランカスター)はローマの高級住宅街で2人の使用人と共に静かに暮
らしていた。そこへビアンカ・ブルモンティ伯爵夫人(シルヴァーナ・マンガーノ)と
その娘リエッタ(クラウディア・マルサー二)、リエッタの婚約者ステファノ(ステファ
ノ・パトリッツィ)、そしてビアンカの愛人コンラッド(ヘルムート・バーガー)がやっ
てきて、上階を貸してくれるよう頼み込む。教授は平穏な生活が壊されることを恐れ
て断るが、しつこく口説き落とし、仕方なくコンラッドを住まわせることになった。
数日後、勝手に改装を始めたコンラッドと教授との間にいさかいが起きるが、コンラ
ッドが予想もしなかった芸術の理解者であることを知って興味を覚える。コンラッド
はかつて学問好きの青年だったのだが、過激な左翼思想に傾倒して学業を中断し、今
は昔の仲間に追われていた。ビアンカの夫は実業家で、ファシズムを支持する右翼の
過激派と通じていた。

ルキノ・ヴィスコンティ監督作品。この人の映画は不思議なムードが漂う。管理人と
家政婦と3人で静かに暮らしている老教授(最後まで名前は出てこない)。そこへ突然
押しかけてきた伯爵夫人、その娘、娘の婚約者、夫人の若い愛人。教授の家は広いの
で2階を貸してくれと言う。何故無関係の人たちに部屋を貸さなければならないのか。
何故教授は毅然として断れないのか。ここからもう変である。結局貸すことになって
しまうが、住むのは夫人の愛人だけ。と言っても皆がしょっちゅう押しかけてくるの
だが。1対4という人数に負けたのか、教授の考えもよくわからない。
ビアンカ夫人の夫はファシズム支持派、若い愛人コンラッドは左派と、正反対の立場
である。そしてコンラッドはビアンカのいわばヒモのような状態であり、自分でもそ
れを苦々しく思っている。初めはコンラッドのことを良く思っていなかった教授だが、
コンラッドが芸術について教養があることがわかると、見る目が変わってくるのであ
る。
しかし上階の部屋を貸したものの、ビアンカの娘やその友人たちのすることは教授に
は理解できない。"今時の若者たち"なのだ。やがてビアンカは食事の席で離婚したこ
とを話す。コンラッドはビアンカに求婚するが、彼女は一笑に付してしまい、コンラ
ッドとステファノの間でいさかいが生じてしまう。その後起きる悲劇。コンラッドは
ああするしかなかったのだろうか。
突然の悲劇に床に就いてしまう教授。教授はコンラッドのことをどう思っていたのだ
ろう。意外にも教養のある若者だという興味なのか、あるいは家族(息子)のように思
っていたのか。それとも愛していたのか。私にはわからなかった。

昨年はルキノ・ヴィスコンティ生誕110年、没後40年らしく、それを記念してヴィス
コンティ作品がリバイバル上映されている。残念ながら「郵便配達は二度ベルを鳴ら
す」と「揺れる大地」は観られなかった。観たい映画が色々あるので、是非制覇した
いものだ。

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2 コメント

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Unknown (いごっそう612)
2017-06-24 17:30:57
名前だけは聞いたことがある映画です。
1974年となるとまだ自分生まれていませんね(笑)
昔の作品はあまり観ないのですが、昔の作品の方がよく考えられて作られている気がします。
機械があれば観てみます(^^♪
Unknown (尾崎杏子)
2017-06-25 00:43:56
コメントありがとうございます。ヴィスコンティは有名なので、タイトルは聞いたことがある、という作品が多いかもしれませんね。
「若者のすべて」がとても良かったです。
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」はジャック・ニコルソン主演版は観たことあるので、違いを比べてみたかったのですが、
お財布の事情により行けませんでした。残念です(笑)

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