木偶


愛するとはパンを与えること

愛するとは屋根を与えること

寒い日に薪をくべ

暑い日に風を送ること

愛するとはあなたを護ること


僕はあなたを護れず

あなたは僕を護れない

僕には護るべきものがあり

あなたはあなたを護るしかない


僕は燃え尽きそうな薪ばかり見ている

次の薪のことで頭が満たされ

あなたの寒さに気づかない

あなたの飢えにも


優しい言葉

肌の温もり

そのときだけは

消えそうな火

肩に落ちる雨が

僕らの視界から消える

この魔法は

愛ではないのだろう


悪魔に身を委ねても

僕はあなたを責めないだろう

あなたを愛しているのに

愛しているとはいえないから


僕はどこにもいない

完全な無だ

いや無よりもたちが悪い

優しい目をして立つ木偶

役立たずの涙を落とさないように

ただ黙って立つだけ


ごめんよ

ごめん


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僕はあなたを護りたい
なのに僕の持つパンは足りない
なんてことだろう

なぜ僕が身動き取れないのか
わかる人はいないだろう
僕はいつも誰もが信じないことをしてきた
愛を知らない人には
決して理解できない

ただ僕は
力が足りない
恥ずかしさで死にそうだ
そしてあなたが
そのうちうんざりするだろうと
あなたが僕を捨てるだろうと
恐れるばかりだ

その前に追いつかなければ
追いつかなければいけない