舌は、そのヒトの内臓や体調を表していることは前回書きました。
舌の表面には、舌苔(ぜったい)と呼ばれる堆積物が出来ます。
舌苔は、細菌や食べかす、粘膜のかすなどで構成されており、健康なヒトでも存在しています。
健常者の場合には、薄い白色の舌苔が存在しており、舌苔が全くないのは病的な状態といえます。
舌苔で診査するのは、主に色や厚み、粘稠度、剥離の有無などで、次のようなことが分かるとされています。
●舌苔の色
白苔 冷たい水分が停滞(寒湿)
黄苔 体内に熱が蓄積
灰苔・黒苔 冷え、体力低下
●舌苔の性質
薄苔 正常、表証、虚証、邪気が弱い
厚苔 裏証、実証、邪気が強い
燥苔 津液の損傷、陰液の損傷、燥邪(乾燥して水分がない)
滑苔 水湿の停滞
膩苔(じたい) 痰飲、湿濁(水分のよどみ、飲食物の摂り過ぎ)
腐苔 食積、痰濁(余分な水分が停滞、食べ物の摂り過ぎ、消化不良)
剥離苔 気陰両虚(エネルギーや栄養が不足)
薄苔から厚苔への変化は、表証(浅層)から裏証(深層)へ・軽症から重症へ・病状が増悪して邪気が進む兆候であり、 逆に、厚苔から薄苔への変化は、裏証から表証へ・重症から軽症へ・病状が好転して邪気が退く兆候と考えられています。
このように、舌苔は私たちの健康の状態を表しているのです。
舌苔は、口臭の原因ともされていますが、起床時の舌の状態を見ることで、ご自身の体調を知るバロメーターとなるでしょう。