Pseudocrater Isle
Pseudocrater Isle by Chris Zielecki, on Flickr

偽火口は本物の火口に似ていますが、違うものです。灼熱の溶岩が、沼、湖、池といった、水分含有量の多い地表を通過する際に、大規模な水蒸気爆発を引き起こした痕跡なのです。溶岩の表層を貫いて噴出する水蒸気により岩石の破片が飛び散り、本物の火口そっくりのクレーター状の地形が形成されます。偽火口はまた「根無し円錐」とも呼ばれます。地球内部へとつながるマグマの通り道がないので、「根っこが無い、円錐形の地形」というわけです。
偽火口の典型的な例は、アイスランド北部のミーヴァトン湖 (Lake Mývatn) 一帯に見ることができます。この地では約2,300年前に玄武岩質の噴火が起きました。溶岩がラクスアゥ渓谷 (Laxárdalur Valley) を下り、アザルダルル (Aðaldalur) 平野を通って北極海に流れ込みました。ミーヴァトンから約50km離れた場所です。当時その辺りには、現在のミーヴァトン湖の原型となる大きな湖がありました。高温の溶岩が湖に流れ込んだ時、水を含んだどろどろの堆積物が溶岩の下敷きとなりました。その結果起きた水蒸気爆発により、溶岩と湖底の一部とがこなごなに吹き飛ばされました。

そうした水蒸気爆発が複数の場所で何度も起きたことにより、ミーヴァトン湖の湖岸一帯は火口様の地形で占められるようになりました。湖の中にはそうしてできた島もあります。南岸のスクートゥスタジル (Skútustaðir) にある偽火口群は天然記念物として保護されており、観光名所となっています。そうした偽火口群は他にラクスアゥ渓谷とアルフタヴェール (Alftaver) 地区にもあります。

Pseudocrater & Homestead
Pseudocrater & Homestead by Chris Zielecki, on Flickr

Pseudocrater
Pseudocrater by Chris Zielecki, on Flickr

2008_15-23-16
photo: wikimedia
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photo: wikimedia
A pseudocrater at lake Mývatn in Northern Iceland
A pseudocrater at lake Mývatn in Northern Iceland by Johannes Martin, on Flickr

Pseudocrater
Pseudocrater by Slava Rodionov, on Flickr

Pseudocraters @ Lake Mývatn
Pseudocraters @ Lake Mývatn by Martin Thomay, on Flickr

Pseudocraters in Myvatn
Pseudocraters in Myvatn by Hallie, on Flickr

Pseudocrater / Pseudokrater
Pseudocrater / Pseudokrater by Patrick Müller, on Flickr


これは以前ご紹介したメキシコの「ヒコの丘」と同じ形成のされ方ですね。やはりきれいなすり鉢状になっていますが、溶岩の通り道の痕跡はありませんでした。本物の火口は、中心部に周囲とは違った様態の岩石塊が、垂直にどーんと入ってるというか、続いているのが見られるように思うのですが、どうなんでしょう。同じアイスランドのエリデイ島とか。偽火口はしょせんは堆積物ですからね。どことなくなだらかになってしまう。溶岩そのもののゴツゴツ感とはまた違うように思うのです。

via: Amusing Planet