先日お伝えしましたとおり進撃の庶民というサイトで記事をあげることになりました。この進撃の庶民では、ポルシェ万次郎さんによりマンガ「アイドル新党なでしこ!」(第1話はこちらです。)が隔週で掲載されることになっています。必見です!

さて、本日は「資産は誰のものか?」というテーマでした。ダイエーの解散のニュースが記載のきっかけですが、もう一度まとめておきたかったというのもありました。最後に新党の話を載せていますが、空元気半分、根拠があっての話半分といったところです。希望は捨てたくありませんからね。「希望は残っているよ。どんな時にもね。」です。

以下、本文です。

18日に安倍総理が会見をされ消費税の10%への引き上げについては、平成29年4月にまで延期して実施する方針が示されました。これはこれで良いのですが、問題は、景気弾力条項とよばれる条文の削除を表明したことです。今回のテーマは、景気弾力条項を削除するということがどういうことなのか、これを丁寧に説明したく思います。

『資産は誰のものか?』

基本的に、国内経済においては、誰かの貯蓄(資産)は、誰かの借金(負債)という図式が成立します。いまさら、何を言っておられるかと思われる方も多いかもしれませんが、今日はこの辺りから話を起こしていきたく思います。

日本の金融資産においては、政府が借金し、企業と国民が貯蓄をしているというバランスのとり方がされています。いわゆる財政再建議論というのは、「バランスがあまりに政府負債が大きすぎるとい点についての問題」を解決するための議論が本来の意味での財政再建議論となります。

無論、これが対外的な資産で「政府や企業、国民の合算」が赤字になっているのであれば、話はより複雑になります。例えば、食糧も燃料も自給できない状態で、企業も国民も対外的に供給できるものがなく、国内需要を満たすために、政府が企業、国民になり代わり、海外から資金調達し、国内需要に対応しているというのであれば、政府は、企業、国民を債務超過の状態に追い込んででも資金を集めて、海外に支払いをしなければならなくなります。(この場合は、日本の企業や国民が信用を十分に得ることができなくなっており、政府が資金調達をしなければ調達できないという事態になっている訳ですし、「政府」「企業」「国民」「外国(外国政府、外国企業、外国人を含む)」の4すくみで考える必要が出てきます。)

ただ、ご存じのとおり、日本の国内需要として海外から供給をうけている分を大幅に超えた供給を行える能力を保ち続けていますし、その保有分まで含めると、今後数十年ほどの間に、上記のような状態になることは考えにくいでしょう。ですから、三橋貴明氏をはじめとする言論人の一部は、国の借金は国内問題だと仰られている訳です。

その中で、自民党など、ほとんどの日本の政党は、財政再建を今度の選挙の公約に掲げようとしているのですが、この財政再建(というよりも国内資産のリバランスの実施というべきなのですが。)のためには、国民か企業かのいずれかの資産を収奪する必要があるのです。

これを直接的な形で行うのが消費税増税や相続税増税といったものになります。これはいずれも国民の富を収奪することでリバランスを行おうとする政策です。よく指摘される問題としては、このリバランスで、法人税を引き下げるという案が主流となっており、企業、特に大企業のもつ富は収奪の対象になっておらず、逆に分配の対象となっていることです。法人に対する富の収奪を進めると、法人が国外に逃げてしまい、対外的な国富を維持できなくなるというのが、その理由とされています。

逆に、いわゆる上げ潮派とよばれた人は、増税ではなく、2%程度のインフレを行うことで、金融資産を持つ人の資産の実質的な目減りをはかることで間接的にリバランスをしようという考え方でした。この考えは、国債の金利は期待インフレ率+リスクプレミアムで、期待インフレ率を下回ることはないとされていた考え方の人から否定されていましたが、現実には、期待インフレ率を必ずしも国債の金利が上回る訳ではなく、上げ潮派と呼ばれる人の主張の方が正しかったことが、ほぼ明らかになったと言えるでしょう。

さて、実は、ここまでが前振りです。随分と長い前振りでした。

今日のテーマは、実はダイエーの株主総会において、ダイエー株がイオン株に交換されることが議決され、ダイエーの屋号も数年以内に消えることが決定されました。(屋号については、今後、変更がある可能性があり、残るかどうかは分かりませんが。)

ダイエーは、90年代後半には、確かに商品開発能力が失われつつあり、「何でもあるが買いたいものは何もない」と揶揄されるような状態になっていたことは、私も同意するところです。しかし、私の住んでいた福岡では、第二の地元として地元に根を下ろして地方経済を支えてくれていたことも事実ですし、何より、ダイエーが素晴らしかったのは、利益をお客様に還元することが会社の利益になるという姿勢を保っていたことです。こういう企業が消え去るのは惜しいと私には思えます。

ここで、特に重要なのは、消費者ニアイコール国民の持つ資産は、自分の資産でもあるという考え方が含まれているということです。もちろん、消費者の信頼とか、そういうものが利益となって還ってくるというのが基本的な考え方なのですが、お客さんの儲けはダイエーの儲けとまで言い切り、政府が国民に損をさせるようなことをするなと怒っていたのは「消費者(ニアイコール国民)の持つ資産は、自分の資産でもある」という考えをもっていたからであろうと思っています。

ダイエーは、この中内氏の精神を表面上は受け継ぎながらも、それが内包する思想を理解していなかったのだと思います。利益率を高めることが良いことだという世間の流れを受け入れてしまい、結果的に、消費者や国民からそっぽを向かれてしまいました。これはダイエーが悪いというだけではなく、国民、消費者が優良な企業を守り育てることが自分の利益であり、資産であるということを認識しなかったことも大きいだろうと思います。

現在の社会において、過去よりも大きくはびこってしまったものが、個人主義だと言われます。自分の資産、自分の関係する会社の資産、政府の資産、他人の資産、自分と無関係の会社の資産、これが過去よりも、明確になりました。また、成長するという期待感がなく、今、資産を稼ぎ出し、金持ちになれないならば、永久になれないという感覚を受けている人も多くなり、社会における余裕、ゆとりがなくなってしまいました。

「俺の物は俺の物、お前の物も俺の物」で知られるジャイアニズム(詳細はくらえもん様にお願いするとして(笑))ですが、他人の物を自分の資産としてみなすところは、個人主義の否定でもあります。(無論、「お前の物は俺の物、俺の物はお前のものでもある」とならないのはジャイアニズム故のことですが。)

政府は国民から資産を奪い取り、国民は、企業に「もっと安く企業努力で消費者に利益還元しろ」と言い、企業は政府にもっと企業を優遇しろと言っているのが、今の状況です。これで何が生まれるというのでしょうか?お互いの不信を強めて、生まれてくるのは、共産主義に傾倒する国民と、利益主義に没頭する企業や経営者、そしてやる気を失い、何もできなくなる政府だけではないでしょうか?

これを招いた要因は、様々なところにあります。政治に責任の所在を求めるなら、国民に企業や政府との対立を煽った共産党や社民党もそうでしょうし、自らの資産を増やすことに没頭している企業や経営者の支援を受ける自民党(近いうちに維新も含まれるでしょう。場合によっては次世代の党も含まれるかもしれませんね。)もそうですし、無能な政策で、政治への期待を完全に潰した民主党も、その責任者と言えます。

では、どうするか?

上記の事を理解して、行動できる新党が生み出されるよう要求を続けるしかない、これが現時点での私の結論です。まことに、希望のないオチになって申し訳ないことでしたが、私は、まだ衆院選に、新党が参加してくるという希望を捨ててはおりません。


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