10/21萩生田副長官ご発言概要について解説

 

○(11月にも国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設を含む規制改革事項の決定がなされる可能性をお伝えし、)そう聞いている。

 

  まず、これはとても重要な事実です。11月にも国家戦略特区諮問会議で獣医学部新設を含む規制改革事項の決定がなされるという事実が10月21日の時点やメール送付時にどの程度の人が知りえる情報だったのかということは、この文書の正統性を示す重要なファクターでしょう。

 

○内閣府や和泉総理補佐官と話した。(和泉補佐官が)農水省とも話し、以下3点で、畜産やペットの獣医師養成とは差別化できると判断した。 

 

1.ライフサイエンスの観点で、ハイレベルな伝染病実験ができる研究施設を備えること。また、国際機関(国際獣疫事務局(OIE)?)が四国に設置することを評価している、と聞いたので、その評価していることを示すものを出してもらおうと思っている。 

 

2.既存大学を上回る教授数(72名)とカリキュラムの中身を増やすこと。また、愛媛大学の応用生物化学と連携するとのこと。 

 

3.四国は水産業が盛んであるので、魚病に特化した研究を行うとのこと。

 

  和泉補佐官が農水省と話した事実があるのかどうか、そして、この事実を文科省に伝えたのは誰なのかを突き詰めていけば、これも本紙の正統性を示すことになるでしょうが、最初の国家戦略特区諮問会議の方が証明しやすいように思います。 

 

○一方で、愛媛県は、ハイレベルな獣医師を養成されてもうれしくない、既存の獣医師も育成してほしい、と言っているので、2層構造にする。

 

  この時点で既存獣医師の需給関係の話が無視されており、石破4条件について副長官自身が破ったことが分かります。 

 

○和泉補佐官からは、農水省は了解しているのに、文科省だけが怖じ気づいている、何が問題なのか整理してよく話を聞いてほしい、と言われた。官邸は絶対やると言っている。 

 

農水省が本当に了解しているのか、これを確認したうえで、官邸は絶対やるといった人物の特定が必須でしょう。

 

○総理は「平成30年4月開学」とおしりを切っていた。工期は24ヶ月でやる。今年11月には方針を決めたいとのことだった。

 

  総理が期限を作っていないなら、だれが作ったのか、これを確認することが大事ですね。

 

○そうなると平成29年3月に設置申請をする必要がある。「ハイレベルな教授陣」とはどういう人がいるのか、普通の獣医師しか育成できませんでした、となると問題。特区でやるべきと納得されるような光るものでないと。できなかったではすまない。ただ、そこは自信ありそうだった。 

 

石破4条件で考えたら、当然ですね。

 

○何が問題なのか、書き出して欲しい。その上で、渡邊加計学園事務局長を浅野課長のところにいかせる。

 

 この後、面会しているのは確かですから、浅野課長がどのようなアポイントの受け方をしたかを喚問で聞きたいところです。 この話を局長が受けているのですが、萩生田副長官が浅野課長の名前を知っていたのか、知っていたならどのような経緯で知り合っているのかという問題もあるように思います。

 

○農水省が獣医師会押さえないとね。 

 

この文言にはさして意味はないのですが、獣医師会が働きかけたのは内閣府と農水省であって文科省ではなかったということが推察されます。

 

以上が、10/21萩生田副長官ご発言概要にあった内容です。これについて、当人が以下のとおり否定しています。

 

 1.今回の文書については、文科省の一担当者が内閣府など関係省庁や省内の様々な人から聞いた伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモであり、直属の上司である高等教育局長のチェックを受けていないなど、著しく正確性を欠いたものであるとの説明とお詫びが文部科学省から私に対してありました。このような不正確なものが作成され、加えて、意図的に外部に流されたことについて非常に理解に苦しむとともに、強い憤りを感じております。

文科省の会見で、文科相が「高等教育局長の確認を受けておらず、萩生田副長官の発言ではないことも含まれているとの報告を受けている」とし、「萩生田副長官に確認したところ、総理が具体的な開学の時期を示したなどとする発言はしていないということだった。また、高等教育局長からも、副長官から指示があったということではないとの報告を受けている」と述べたことと一致しているように見えますが、局長が不正確な記載があったと述べているわけではないことに注視する必要があります。

 

このメモは、文科省高等専門局の専門教育課のメールから送付していることが分かっています。つまり、局長から萩生田氏との会話の一緒に話を聞いたであろう専門教育課の浅野 敦行課長のチェックは受けている可能性が高いということです。また、 課からメールとして送付されたものは、公文書でない理由はありません。元々が個人のメモであっても、送付した時点で、専門教育課の庁内送付文書という公文書であり、メールを貰った課は、庁内収受文書になります。

 2.いわゆる加計学園に関連して、私は総理からいかなる指示も受けたことはありません。

 

萩生田副長官は以前から同じことを言っていますから、今回は、この真偽は問いません。

 3.開学時期については、内閣府から「『国家戦略特区(全般)についてスピード感をもって実施すべき』という内閣全体の方針を踏まえ、速やかに実施したい」、という説明を受けていましたが、具体的に総理から開学時期及び工期などについて指示があったとは聞いていませんし、私の方からも文科省に対して指示をしていません。

これは2と同じ内容で、萩生田副長官は以前から同じことを言っていますから、今回は、この真偽は問いません。

 4.官房副長官という立場上、当然のことながら、この時期に開催されていた国家戦略特区諮問会議の関連で文科省を含む各省から様々な説明を受け、その都度、気づきの点をコメントすることはありますが、私は基本的に報告を受ける立場であり、私の方から具体的な指示や調整を行うことはありません。いずれにせよ、私は、政府全体の見地から、職務に当たっており、加計学園の便宜を図るために和泉補佐官や関係省庁と具体的な調整を行うとか、指示を出すことはあり得ません。また、私は、愛媛県の関係者と会ったこともなければ、このような県の意向を聞いたこともなく文科省に伝えた事実もありません。

 

内閣府に出向していたという文科省の職員も、副長官の名前を出していますから、メモを作成した課長補佐が突拍子のないことを書いたという可能性は低いでしょう。なお、この出向者が書いた理由について、山本大臣が、「メールを出した職員が特区の担当者ではなく、課内で飛び交っている話を聞き、確認しないまま書いた」と述べていますから、内閣府の中でも副長官の関与がうわさされていたことが分かります。

 5.千葉科学大学とは年に数回、私の秘書との間で、学校行事の案内等、事務的な連絡を取り合うことはありますが、私も秘書も渡邊事務局長という方と本件や他の件でもやり取りしたことはございませんし、お名前も存じ上げておりません。従って、私から文科省へ行かせると発言した事実はありません。

 

渡邊事務局長の名前を知らなくても、加計の存じよりの方から事務局長を行かせる旨を聞いていたなら、文科省に繋げますね。面白いのは、渡邊事務局長を知らないと言いながら、他省である文科省の課長の名前をご存じだったことは否定していないことですね。

 6.いったい誰が何のために作った文章なのか? 本当に必要な内容ならば、なぜ文科省内で大臣や副大臣に伝える作業がなかったのか? まったく心当たりのない発言を、私の発言とする文書やメールが、文科省の職員により作成されている意図は分かりませんが、仮に、私の承知していないところで、私の名前が、難しい政策課題について、省内の調整を進めるために使われているとすれば、極めて遺憾です。


省内の調整に総理や、他の政治家の威光を利用したというシナリオがあるようですから、このシナリオに沿う話です。先程も述べましたが、内閣府内でも文科省内でも、この案件は副大臣マターになっていると認識されていたという事実を説明するには、材料が不足しすぎているようです。

 

そもそも、威光を利用されてしまったのであれば責任を感じるべきことで、極めて遺憾などと他人事のコメントをすることもおかしな話です。