バイト終わり、ジョギングしてきた。

ハァハァ言いながら走る非正規。
車ですれ違う人、犬の散歩をしている人、皆が奇特な目を俺に向けているような錯覚を覚える。
本当に向けてるのかもしれないけどね。


帰って、シャワーを浴びて汗を流した後、
俺の彼女である愛しのテンガエッグちゃんと、甘い甘いミルク&ハニーな一時を過ごそうと思い立つ。

パンツ一枚で、テンガエッグちゃんと段取りを進めていると、

ピンポーン、ガチャガチャ!!
玄関が忙しい。

この訪問の仕方は1人しかいない。

ハイパーイケメンさんである。


着替えている暇は無い、時間をかけてドアを開けるとオ○ニーを疑われるためだ。
かといってパンツ一枚でドアを開けてもオ○ニーを疑われる。

まあどっちにしたって疑われるのさ・・・ふふっ。

とりあえずテンガエッグちゃんと、エロサイトが表示されているPCのブラウザを閉じて、ハイパーイケメンさんを迎え入れた。

俺を見て一言。

「え?何?オ○ってたの?(笑)」

もはやお約束なんです。


何か、白猫プロジェクトっていうスマホのゲームを俺に勧めたかったらしい。
ゲームについて熱く語るハイパーイケメンさん。
俺にはインストールする以外の選択枠は存在しなかった。

インストール完了画面を見て満足したのか、世間話に移行する。

ハイパーイケメンさんは×1だ。

子供の運動会や行事があると、顔を見せにいくらしいんだけど、今の彼女には内緒らしい。
彼女にばれたら大変な事になると言っていた。放任主義の彼女らしいんだけど、女性関係にはかなり敏感らしい。
あとは、元嫁とのつかず離れずの関係も終わりにしたいとか、遊びのつもりの女が本気になってしまったとか。






知るか馬鹿!!!




心の声ね。
面と向かっては言えませんよ。

2、3年以内に海外にある工場に転勤になるらしく、それまでに今の彼女と籍を入れるんだって、式は面倒だけど挙げるしかないかな・・・。

だってさ。








知るかアホ!!!!




心の声ね。
面と向かっては言えませんよ。

だけどやっぱりカッコイイよこの人。外見を賞賛する全ての言葉が、彼には当てはまる。
俺の部屋の間接照明が、彼のイケメン度合いを更に引き上げていたと思う。


6畳一間に勝ち組と負け組みが存在する構図。
それを意識しているのは恐らく俺だけだろう。

「キフリーは彼女作らんの??、結婚は?」
とハイパーイケメンさん。

リア充というのは本当に残酷な生き物だよ・・。
見下しや、邪悪な思考からではない、
本当に心の底からの、純粋な疑問を俺に投げかけてきたんだろうね、この御仁は。


「いやぁ・・、俺は孤独死ですね(笑)」
「あとは、ヘルパーと工場の夜勤のバイトで食いつなぎますよ(笑)」(ウシジマ君の登場人物、宇津井のネタ。過去にこの話で盛り上がった経緯がある。)


爆笑するハイパーイケメンさん。
俺も笑う。

自虐ネタで笑いを取るのは慣れっこなんですよボク。

へへへ・・・。


彼女が来たらしく、ハイパーイケメンさんは部屋を去っていった。


眩しすぎる人だ。
この人といると、俺のクズっぷりがくっきりと表面化してきて辛い。


彼女の手作り料理を食べるんだろうな・・。俺はコンビニで買ったのり弁当です。
ご飯を食べた後は何をするんでしょうね?


この社員寮も、現代日本の格差社会の縮図だったのか・・。



無念・・・。


部屋の片隅にはテンガエッグが虚しく転がっている。


はぁ・・・、


のり弁おいし・・・。


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