先日行ったIKEAで、
とても女二人では、
持っていけない重さの買い物をし、
当然それは、
IKEAの宅配サービスに
頼るつもりであったのだが、
「なんとかタクシーで行けんじゃないの?」
と、
妙に気が大きくなって、
勢いでタクシーを呼ぶ。
フィレンツェには、
タクシー会社が幾つかあるが、
一つは、SMSを駆使したところで、
まず、そちらに電話をしたのであった。
マニュアル通りの応対に、
彼の名前は、
「アレッサンドロ」だと名乗った。
別に、電話対応が、
アレッサンドロであろうが、
マルコであろうが、
何でもいい...
と、思わず、思う。
この電話が、
IKEAからだと知った時、
一瞬、迷惑そうな感じのアレッサンドロは、
「手配が出来次第、SMSを送ります。」
と言って、電話を切った。
それから、待てども待てども、
SMSは届かず、
タクシーの姿は見えそうにもなかった。
15分待って、
他のタクシー会社に電話をする。
今度は、名前を名乗らない、
ガラガラ声のオバちゃんだった。
オバちゃんは、
「IKEAだったら、ファミリー用のワゴンカーをつかまえるわ!」
といい、
「あと、2分で来るから!」
と言ってくれた。
果たして、2分ほどでやって来たタクシーは、
さっきのオバちゃんが手配してくれたタクシーであった。
気のいいおっちゃんは、
ちょっとばかし重い荷物を
ニコニコ笑顔で受け入れてくれた。
「抜け道知ってっから、そっちで行くね!」
と、嬉しそうに言う。
途中、
それまでより、
ちょっとスピードを落としたか?と思っていたら、
「あのね、ここのビステッカ、美味しいんだよ。ちょっと高めだけどね。」
と、自慢そうに言う。
それから、どこが美味しいか談義に、
タクシーの中は盛り上がった。
そうこうしているうちに、
目的地近くになると、
「ドアの前まで行くけど、道が狭いから、ここで清算するね。サービスしとくよ!」
と言ってくれた。
フィレンツェのタクシーは、
噂で聞く、ローマのタクシーに比べたら、
ずいぶんマシなようだ。
お陰様で、
IKEAの宅配サービスよりか、
随分安く、
荷物を持ち帰ることが出来たのである。
そして...
私はといえば、
タクシーに乗って話をしたその時から、
ビステッカが食べたくて、たまらない...
のである。