5月もとうに、半ばを過ぎ、
昼間は汗ばむほど、
日差しが強くなってきた。
「暑くてたまらん...」
と、近くのBARに駆け込む。
イタリアには、
犬も歩けば...
と言わんばかりに
BARが存在するが、
じゃあ、
どこでも気軽に...
という訳でもなく、
やっぱり、
入りやすいところと、
入りにくいところとある。
考えるのは嫌なので、
普段は、
気の知れたところに落ち着く。
案外、
自分は浮気性ではないらしい。
ただ、その時は、
とても暑くて、
通り掛かってはいたものの、
一度も入ったことのない、
BARに飛び込んだのであった。
ふと見ると、
なんだか、
知った顔だった。
「あれ?」
恐る恐る、
「もしや以前、〇〇で働いてはおりませんでした?」
と聞いてみた。
「ええ。」
それで思い出した。
まだ、メルカートで働いていた頃、
毎朝通る道すがら、
ひとつのBARがあったのだが、
そこで働いていた、
お姉ちゃんであった。
もう、なんだかんだで、
10年以上も、
前の話だ。
こちらに来てから、
時々、
こんなことがある。
私が特別、
知り合いが多い訳ではない。
ただ、行く先々で、
たまたま、
知った顔がいる...
という話。