律儀な人 | 私のイタリア時間

私のイタリア時間

イタリアに住みはじめて、20年もの月日が経ちました。
イタリアでの何気ない日々。流れる時間の中で起こる、ふとした出来事や思い。
このブログでは、そんな日常を1枚の写真と共に書き綴っています。




「ねぇ、ちょっと、覚えてる???」


そう言いながら、

6人ほどの人が

ご来店になった。


不意打ちな言葉に

「え、えぇ...」

少々、面食らいながら、

かろうじて、

そう答えた。


顔を見て、

じわじわと

よみがえる記憶。


え〜、知っていますとも、

覚えていますとも!


そう、

心から言えるのに

数分かかった。


彼らとは、

ワインの試飲会で出会った。


厳密に言えば、

ワインテイスティングの為の

腹ごしらえで

入ったレストランで、

偶然にも

隣り合わせになった...のであった。


よく喋るカメリエーレに

導かれながら、

なんとなしに

話し始めた私たちであった。


「日本が大好き」


幸か不幸か、

そう言ってくれるイタリア人が多いけど、

このカメリエーレもまた、

そのようなことを

その場を盛り上げるために

おしゃべりするのであった。


そうして、

「彼らは、美味しいビオのワインを作っているんだよ。」

そう、

彼らのことを紹介してくれた。


ファミリーで経営している

小さなワイナリーは、

こんなにワインショップが溢れているフィレンツェでも、

知られることは、

あまりない。


現に、

はじめて聞いたワイナリーであった。


せっかく紹介してくれたし...


と、

食後に、

早速訪れてみた、私たちであった。


そのイベントは、

キャンティクラシコ協会が主催がゆえ、

試飲できるのは、

もっぱら、

キャンティクラシコに限られてはいたが、

有機農法のブドウを使って

作られたそれは、

ほのかに甘く、

飲み心地の良いものだった。


話をするとわかるが、

彼らは、

トスカーナの人間ではない。


彼らの語る口調に

独特のなまりがあるのがわかる。


こんな時、

妙に

日本との共通点があるように

感じて、

より、

親近感の湧く私である。


そんな彼らが、

律儀にも

私の働く日本食店に

やってきてくれたのであった。


こんな出会いがあるたびに、


あぁ、イタリアって、いいなぁ...


と思わずにはいられない。


私が、

どこの馬の骨であろうとも、

「一期一会」を大切にする人たち。


彼らの造るワインには、

そんな風味が感じられた...気がした。




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⬇︎  義理がたく...ありがたく





最後までお付き合い、どうもありがとうございます。