福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

ブル8本番1週間前 コンマスの手記

2016-10-19 22:34:44 | レコード、オーディオ

Bruckner: Symphony No.8 (Haas) AKIYASU FUKUSHIMA cond. Orchester der Aichi Festspiele

「福島先生のブルックナー演奏、もともと素晴らしいとは思っていましたが、この二日間の最終練習にて、さらに次元の違う境地に達しました。

兎に角呼吸が深く雄大にして深遠。実演でこれだけ悠然たるスケールのブルックナーが鳴り響いたことは、晩年のチェリの演奏においてだけだと思います。しかも、チェリビダーケは非常に独特、唯一無二のブルックナーへのアプローチであって、僕は尊敬もしまた愛聴もしていますが、所謂通常のブルックナー様式とは異なるタイプの演奏です。

そういう意味では、ブルックナー様式に基づく最大最深のスケールとなる福島先生のブルックナー演奏に、奏者として(それもコンマスとして)参加出来るのは本当に本当に幸せなことです。たとえば第三楽章125小節目においては、まさに「弾く」、「聴く」という感覚を超えてブルックナーに「浸る」という形容がしっくりくる、至高の体験を味わい、寝落ちとは全く違った意味で気が遠くなりそうになった程でした。

通常80分前後で演奏されるブル8が、今日の通し練では93分にまで到達したのですが、何より嬉しいのが「長くするために長くなった演奏」ではまったくないということです。ブル8演奏としては度外れな93分という時間が、深い意味で満たされ、福島先生のブルックナー宇宙を提示するためには、どうしてもこの長さでなければならない必然的なスケールの大きさだったことがしみじみと、そして強く伝わってくるのです。実際、帰宅後、勉強にと思ってさる大家のブル8(演奏時間は82分)を聴いてみたのですが、想いの「濃さ」と「雄弁さ」において、今日の演奏に比べあまりにも薄く淡泊だったのでガッカリしてしまいました。

僕が強い印象を受けたバーンスタインの言葉に「ウィーンフィルは、ナチス時代に長らくマーラー演奏が禁止され、マーラーの音楽は自分たちのものではないという感覚を戦後もずっと持っていた。しかし自分がウィーンフィルの演奏会で繰り返しマーラーを取り上げることによって、次第に『マーラーの音楽は、自分たちウィーンフィルという最上の盃で満たすにふさわしい美酒である』という感覚を持つに至ったのだ」というものがあります。うろ覚えなので細部は結構違っているかもしれませんが、大意はこんなものだったと思います。

バーンスタインの形容を借りるならば、福島先生は今週末の練習において「愛知祝祭管は、自分が演奏したい極大スケールのブルックナー宇宙を受け止め得る器である」という感覚に到達されたのではないかと思います。非力な我々は、福島先生の提示するブルックナー宇宙を受け止めきれるサイズであるとはまだまだ言えませんが、それでも先生がその可能性と手ごたえを感じて下さったということは確かだと思います。

先生の期待を、実際に至高のブルックナー演奏として結実させるべく、あと一週間さらに精進を重ねます!!」(愛知祝祭管コンサートマスター 高橋広)

以下、ご案内の再掲です。

間もなく、愛知祝祭管とのブルックナー8演奏会から2年が経ちます。

それを記念し、そのコンサートの全貌を録音した2枚組CDを期間限定で2,200円(通常定価3,000円・税込)にてお分け致します。
送料は定形外郵便に限り無料とさせて頂きます。

ご希望の方は、当blogのコメント欄にて、メールアドレスを添えて、お申込みください(もちろん、公開は致しません)。

締切は今月31日23時59分とさせて頂きます。

ワオンレコード小伏氏による驚愕のワンポイント録音。残念ながらYouTubeではその真価は伝わりません。より良い音質のCDにて、この演奏を受け止めて頂きたいと願います。

 

【収録曲目】
1. ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
中村 詩穂(オルガン)、愛知祝祭合唱団
2. バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV.1043
(第3楽章のカデンツァはJoseph Hellmesberger版を基にしたもの)
古井 麻美子(ヴァイオリン)Mamiko Furui
清水 里佳子(ヴァイオリン) Rikako Shimizu

 

3.ブルックナー 交響曲第8番ハ短調(ハース版)
第1楽章 Allegro moderato (アレグロ・モデラート)
第2楽章 Scherzo: Allegro moderato(スケルツォ :アレグロ・モデラート)
第3楽章 Feierlich langsam, doch nicht schleppend(荘重にゆっくりと、しかし引きずらないように)
第4楽章 Finale: Feierlich, nicht schnell (フィナーレ:荘厳に、速くなく)

 

指揮:福島章恭
愛知祝祭管弦楽団
(コンサートマスター:高橋広、団長:佐藤悦雄)

 

2014年10月26日(日) 愛知県芸術劇場コンサートホール

 

かもっくすレーベル
CD番号:OAF-1410(2枚組)

どうぞ、宜しくお願いします。

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