細菌性髄膜炎をどのように診断するか

これは細菌を証明するしかないので、腰椎穿刺しか診断法は無いのですが・・・


腰椎穿刺をプスプスプスプスさすのは抵抗が有ります


患者さんが抗凝固剤を飲まれていたり

腰椎に変形があったり

合併症を誘発しそうな条件がいくつか目の前にでてくることがあります


そもそも本来無菌状態の所に何かを刺すというのは出来る限り遠慮したいと思うのが医師たるものです



出来るならしたくない

でも

疑ったら即刻やる!!



じゃぁどうやって細菌性髄膜炎を疑うのかということですが


発熱と頭痛と意識障害がある人で刺せばいいのではないかと思えば、見逃す事があるのです


精神状態の変化は最も高い報告で95.3%

100人に5人は意識清明です


発熱も最も高い報告で97%

頭痛は87%です


頭痛や項部硬直ですが、高齢者では半数で欠如します



どうやったらひっかけられるのでしょう



Jolt accentuationが感度97%で有用だ

という話があります

Headache. 1991 Mar;31(3):167-71.
Jolt accentuation of headache: the most sensitive sign of CSF pleocytosis.
Uchihara T, Tsukagoshi H.



でも要注意です

どんな集団を相手に誰がこの試験をやったら感度97%だったのかが大事です


発熱していない人などを含んだ集団では、あまり髄膜刺激症状もはっきりしないかもしれません

だれが身体診察をするかでも陽性と陰性に差がでそうです

なのでJolt accentuationの感度がそこまで高く無いという報告もあります

Am J Emerg Med.2013 Nov;31(11):1601-4.
Absence of jolt accentuation of headache cannot accurately rule out meningitis in adults.
Tamune H, Takeya H




Jolt accentuationを妄信していると痛い目に会いそうです


病歴、身体所見を重ねて証拠を少しずつかき集める努力が大事だと思います


証拠の一つとして研修医から

「Eyeball tendernessは有用なのか?」

という疑問があがりました

両目を軽く押さえると髄膜炎の人は痛がる

というテストです


Rev Soc Bras Med Trop. 2005 Nov-Dec;38(6):526-9.
Evaluation of the ocular globe compression sign in infectious meningeal syndromes.
Costa-Matos A, Costa-Matos E, Farias AH, Oliveira CS, Tavares-Neto J.




僕は力のさじ加減がよくわからないし、どの程度痛いのかという実感が全くないので回答に窮します

誰かやっている人いますか?



こういう疑問は新しい医療を生み出すと思います

少しでも正診に近づけるようにいろいろ試してみたいと思います