こんなニュースが話題になっています
朝日新聞デジタルより
衰弱した父親を病院に連れていくなど適切な処置を取らずに死なせたとして、兵庫県警は25日、神戸市北区南五葉2丁目の会社員、五十川博之容疑者(46)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。
http://www.asahi.com/articles/ASH8T3JWMH8TPIHB00B.html
自宅で寝たきりの父親と二人で暮らしている中年男性
父親が徐々に衰弱していたけど、様子をみていたら亡くなった
というものであります
仕事をしながらの自宅介護は困難だからこの状況になってしまったら詰んでしまう
自宅での看取りの道は閉ざされた
みたいな反応が多いです
日本では本当に自宅での看取りができないのでしょうか?
なにか行政サービスを受けられない背景などがあったのでしょうか?
様々な問題が絡んでおり、救急医がどうこうコメントする事件ではないのですが、体調不良なまま医師の診察を受けないとどうなるかについては実際のところを述べることができるので述べておきます
さて、この父親はどうして死んだのでしょうか?
僕にはわかりません
たぶんニュースを読んでいるだけの人にはわかりようもありません
老衰ですか?
勝手に老衰と決めてしまった人はきちんと考えたほうが良いです
老衰かもしれませんが、老衰じゃないかもしれません
もしかしたら感染症を患っていて、投薬したら治ったかもしれません
治ったかもしれない病気で苦しみ抜いて死んだのかもしれません
ひょっとすると悪性腫瘍の末期でどうしようもなかったかもしれません
緩和治療という選択は残されていたかもしれません
ないとは思いますが、なんらかの方法で自然死を装って殺害されたのかもしれません
あって欲しくないです
でもやっぱり嚥下能力や代謝機能が自然に低下してきており、老衰だったのかもしれません
こういう時は医師の介入が不可欠なのです
今のところ、日本で目の前の人が病気か老化か外的要因による機能低下かを判断するのは医師です
生前に診察を受けて
「・・・の病気だけど、治療の甲斐も乏しく本人の希望もないから自宅でお看取りしましょうか」
とか
「特に病気も見当たらないし、老化に伴う自然な経過だとおもうので、自宅でお看取りしましょうか」
とか、きちんと診断を受けていると、亡くなった時に再度診察をして、「あぁ自然な病気もしくは老化の経過で亡くなられたのだな」という判断が医師にもできます
生前にそう言った介入がない状態で、はじめて亡くなられた状態の人を目の前にすると、医師は病死と考えるには不自然な点があったかどうかを調べることになります
もしご遺体を観察して、目の前の人が汚物まみれになっており、ガリガリに痩せこけていたら・・・
「ネグレクトがあったのではないか?」
と多くの医師が考えると思います
残念ながら、老衰を証明する証拠もネグレクトを証明する証拠も、はじめて遺体を前にした医師には用意することができないので、警察への通報を余儀なくされます
日本では死亡すると、必ず医師もしくは歯科医師の診断を受けることになります
なぜならば、そのどちらかの資格を持つ人しか死亡診断書が描けないからです
死亡診断書は病死以外の場合に書くことは許されませんから、自然な経過であるということを死亡診断する医師がわかっている場合か、明らかな証拠が残されている場合以外は、今回のような悲しい結果を生むことになります
外表上に何か問題がある場合には特にです
僕らには、亡くなった本人の希望でそうなったのか、家族に殺意や責任遺棄の意思があったのかなど知る由もありません
生前に対応しておくことが大事なのです
生前にきちんとアレコレの対応をしなかったのは、知らなかったからかもしれないし、金銭的な余裕がなかったのかもしれないし、興味がなかったのかもしれないし、それはわかりません
でも、対応していないと今回のようなことになってしまうのだというのが現実です
今回どうすればよかったか詳細もわからないし、僕にも正解がわかりません
地域包括支援センターやその他行政サービスを提供している施設に相談すれば道が開けたかもしれません
介護サービスが必要なのか、医療サービスが必要なのか、いつ病院に行くべきなのか、訪問診療はどこに頼んだらしてくれるのかのアドバイスをもらえたかもしれません
受けられるサービスを受けつつ仕事も一生懸命しているけれども、生活が回らなくなることももしかしたらあるかもしれませんが・・・それは別で考えなくてはならない問題です
行政サービスの周知は少なくとも行われないといけないことだと思います
何が問題だったのかを把握して、彼だけの問題だったのか、社会的な問題はなかったのかをきちんと振り返るべきだと考えます
単に彼に責任を取らせて終わるような社会だとしたら、たぶん日本は終わっています
この事件をマスコミがどう報じるか
医療・行政サービスの仕組みを紐解いてわかりやすく解説しつつ、同じ事件が起こらないように周知してくれたらなと思います
(人任せですみません)
朝日新聞デジタルより
衰弱した父親を病院に連れていくなど適切な処置を取らずに死なせたとして、兵庫県警は25日、神戸市北区南五葉2丁目の会社員、五十川博之容疑者(46)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。
http://www.asahi.com/articles/ASH8T3JWMH8TPIHB00B.html
自宅で寝たきりの父親と二人で暮らしている中年男性
父親が徐々に衰弱していたけど、様子をみていたら亡くなった
というものであります
仕事をしながらの自宅介護は困難だからこの状況になってしまったら詰んでしまう
自宅での看取りの道は閉ざされた
みたいな反応が多いです
日本では本当に自宅での看取りができないのでしょうか?
なにか行政サービスを受けられない背景などがあったのでしょうか?
様々な問題が絡んでおり、救急医がどうこうコメントする事件ではないのですが、体調不良なまま医師の診察を受けないとどうなるかについては実際のところを述べることができるので述べておきます
さて、この父親はどうして死んだのでしょうか?
僕にはわかりません
たぶんニュースを読んでいるだけの人にはわかりようもありません
老衰ですか?
勝手に老衰と決めてしまった人はきちんと考えたほうが良いです
老衰かもしれませんが、老衰じゃないかもしれません
もしかしたら感染症を患っていて、投薬したら治ったかもしれません
治ったかもしれない病気で苦しみ抜いて死んだのかもしれません
ひょっとすると悪性腫瘍の末期でどうしようもなかったかもしれません
緩和治療という選択は残されていたかもしれません
ないとは思いますが、なんらかの方法で自然死を装って殺害されたのかもしれません
あって欲しくないです
でもやっぱり嚥下能力や代謝機能が自然に低下してきており、老衰だったのかもしれません
こういう時は医師の介入が不可欠なのです
今のところ、日本で目の前の人が病気か老化か外的要因による機能低下かを判断するのは医師です
生前に診察を受けて
「・・・の病気だけど、治療の甲斐も乏しく本人の希望もないから自宅でお看取りしましょうか」
とか
「特に病気も見当たらないし、老化に伴う自然な経過だとおもうので、自宅でお看取りしましょうか」
とか、きちんと診断を受けていると、亡くなった時に再度診察をして、「あぁ自然な病気もしくは老化の経過で亡くなられたのだな」という判断が医師にもできます
生前にそう言った介入がない状態で、はじめて亡くなられた状態の人を目の前にすると、医師は病死と考えるには不自然な点があったかどうかを調べることになります
もしご遺体を観察して、目の前の人が汚物まみれになっており、ガリガリに痩せこけていたら・・・
「ネグレクトがあったのではないか?」
と多くの医師が考えると思います
残念ながら、老衰を証明する証拠もネグレクトを証明する証拠も、はじめて遺体を前にした医師には用意することができないので、警察への通報を余儀なくされます
日本では死亡すると、必ず医師もしくは歯科医師の診断を受けることになります
なぜならば、そのどちらかの資格を持つ人しか死亡診断書が描けないからです
死亡診断書は病死以外の場合に書くことは許されませんから、自然な経過であるということを死亡診断する医師がわかっている場合か、明らかな証拠が残されている場合以外は、今回のような悲しい結果を生むことになります
外表上に何か問題がある場合には特にです
僕らには、亡くなった本人の希望でそうなったのか、家族に殺意や責任遺棄の意思があったのかなど知る由もありません
生前に対応しておくことが大事なのです
生前にきちんとアレコレの対応をしなかったのは、知らなかったからかもしれないし、金銭的な余裕がなかったのかもしれないし、興味がなかったのかもしれないし、それはわかりません
でも、対応していないと今回のようなことになってしまうのだというのが現実です
今回どうすればよかったか詳細もわからないし、僕にも正解がわかりません
地域包括支援センターやその他行政サービスを提供している施設に相談すれば道が開けたかもしれません
介護サービスが必要なのか、医療サービスが必要なのか、いつ病院に行くべきなのか、訪問診療はどこに頼んだらしてくれるのかのアドバイスをもらえたかもしれません
受けられるサービスを受けつつ仕事も一生懸命しているけれども、生活が回らなくなることももしかしたらあるかもしれませんが・・・それは別で考えなくてはならない問題です
行政サービスの周知は少なくとも行われないといけないことだと思います
何が問題だったのかを把握して、彼だけの問題だったのか、社会的な問題はなかったのかをきちんと振り返るべきだと考えます
単に彼に責任を取らせて終わるような社会だとしたら、たぶん日本は終わっています
この事件をマスコミがどう報じるか
医療・行政サービスの仕組みを紐解いてわかりやすく解説しつつ、同じ事件が起こらないように周知してくれたらなと思います
(人任せですみません)