両備バス労働組合が、本日から「巡回バスめぐりん」が運行することに対抗して、改札ストによる運行を西大寺線並びに岡電でも実施するという。
2018.4.26 13:53 付けの産経新聞の記事によると、「 「西大寺線」で実施。ストを前に岡山市東区のバスセンターでは、組合員がバスの運賃箱に布をかぶせ、運賃を徴収しないことを知らせる張り紙をした。両備バス労組の高木秀治執行委員長は「お客様に迷惑をかけずに会社側に打撃を与えるストを選んだ。継続的な雇用の維持を引き続き要求していく」と話した。 」
と書かれています。
これについて、私的ではありますが、影響について考察してみたいと思います。
最初は、バスの新規参入に関する問題から始まった
事の発端は、 八晃運輸(岡山市) が市内循環バスに加えて、両備バスの「西大寺線」に並行する路線を開設したことに対して、反発したことが事の発端でありました。
乗り換え案内NEXTから画像引用 リンクしています。
小泉政権以降の「規制緩和」という方針の下、新規参入が増えた結果、従前の業界全体が疲弊してしまう弊害を生みました。
今回、その対抗措置として両備HDがだしたのは、大量のバス路線廃止という奇策でした。
この届け出自体、結局ははったりだろうと読んでいましたので、静観していましたが、予想通り、今度は撤回することになりました。
そして、このときに両備バス労組は、特段動かなかった、そして、ここに来て今度はストライキという奇策にでた。
ここに正直疑問があるんですね、ストライキ自体が、両備HDと両備バス労働組合の間で裏合意が有るのではないかと・・・。
すなわち、会社にダメージを与えると言いながら、別の記事などでは「大きなことをしないと国や県は動かない」と労組幹部が話したという点
実はここに非常に注目しているのです、結局県なり、国が一度許可した権限を取り消すことを求めているのではないかと言う点なのです。
しかし、この点に関しては個人的には否定的に考えています。
もちろん、利用者に向けては無料バスを走らせるということで、会社にもダメージを与えていますが、今度はそれが長引けば当然会社側としてはロックアウトとして、労働者を働かせないと言うことにせざるを得ません。
そうしないと、何時までも無賃で走らせるとなれば、会社としての存続意義を問われることになるし、逆に、八晃運輸側から不当な営業妨害であると提訴される危険性もあります。
結局、両備バス労働組合も両備HDもメンツを掛けてストライキを始めたのは良いけれど、その方向は良い方向に向かうどころかより悪い方向に向かっているように見えるのです。
行政は、誤りは認めない
もちろん、そんなことはないと言う人も多いかと思いますが、前回もお話ししたように,行政は法令に不備がない限り、また申請時点で瑕疵があったとしてもその瑕疵が修正されて法令に則って正しければ認可をしなくてはいけないわけです。
行政のとはそういったものです、行政に於ける裁量権はありますが、それは法令に照らしてと言うことであり、感情はクレームで対応するという物ではありません。
逆にそうした、感情論などで裁量を行えば行政の信頼が失われることになります。
そう考えれば、いくら両備HDが取り消しを求めると言っても行政は取り消しを認めないでしょう。
法令が変わり規制緩和ではなく、新規参入を規制するように法令が変わらない限りは・・・。
本当に今後の公共交通を考えるのであれば、規制緩和自体を見直すべきではないか
両備HDや、両備バス労組を応援する論調がSNSなどで見られますが、ストライキの継続は、労組にとっても会社にとっても良い結果は生まないです。
労働者の不利益として、労働の対価を会社からは受け取れません。
お客さんに迷惑を掛けられないとはいえ、結果的にその労働に対する対価は誰が払うのでしょうか?
組合費から積み立てられた闘争資金から補填されるしかありませんが、これは元々皆さんが積み立てたお金です。
会社にしても、勝手にバスを動かされて燃料費なども持ち出しになるわけですから、その対策としてロックアウトという手法でクルかもしれません。
そうなると、労働組合側の負けです。
本来、労働組合としては、野党に法案の提出を求めるべきでした。
現在の野党はただの野合の集まり?
本来であれば連合が支援する民進党なり、立憲民主党がこうしたことに対して積極的に関わっていくべきなのですが、相変わらず安倍政権打倒・・・これしかしない。
モリカケ問題だとか、財務省の問題とか言っているのではなく、岡山でこのような論争が起こっているが、規制緩和という行きすぎた政策を見直すべきではないのか・・・と言った問題提起をすべきではないかと思うのですが。
残念ながら、野党はどこもそうしたことに対して声を上げない。
その昔、日本社会党という政党がありました、総評が支持した政党でこの中にも社会党左派・右派がありバランスが取れていました。
現在はそうした、意味で安定した政党がないわけです。
そうした意味では、自民党と社会党が2大政党で君臨していたときは、日本はバランスを取りながら機能していましたが、現在では小党分立のうえ、政治家自体が小粒になってしまって政党の形すらなしていない。
民主党は改名改名を繰り返して、今度は希望の党と合併しようとしている、もう何を言わんやです。
おそらく、国民党はまた割れるでしょう、社会党左派と右派が合併する以上に混沌としているわけですから。
これこそ政治主導で行うべき案件
小泉政権時代、民間に出来ることは民間に、さらに、新自由主義と呼ばれる (大幅な規制緩和、市場原理主義の重 視を特徴とする経済思想)が良しとされその政策が進められました。その結果は多くの非正規雇用を作りだし、全体が疲弊してしまった訳です。
結論から言えば、新自由主義政策は時代遅れであることは明白なのです。
本来、野党が攻めるべきはこの政策であるはずなのに、ポピュリズムに乗っかってしまい、安倍政権が・・・・とだけ騒いでいる。
さらには、国会審議をボイコットしている。
本来代議士の仕事は、政策を議論することであり、サボタージュすることが仕事ではないはずです。
そのための歳費であり、特権であるわけです。しかし、結果はと言うと,意味のないサボタージュです。
安倍政権打倒・・・・というのであれば、その前にこうしてサボタージュしている議員に対して抗議することが有権者の義務でしょう。
閑話休題
さて、本来の両備に話から外れてしまいそうなので、話題を戻しますが、本来はどうすべきだったのか。
本格的な公共交通論を唱えるのであれば、その前に規制緩和自体を見直すべき
今回の新規参入は、いわば規制緩和による結果であり、行政にしてみれば法に則った手続きに対して許可した訳で、それをいくら理由を並べても覆すのは難しいでしょう。
逆に、そうした規制緩和の弊害を緩和するために、規制をかけるもしくはそうしたルール作りをしていく必要があるのではないだろうか。
そして、国会議員の最も今すべき事項は、行きすぎた規制緩和を見直すべき法案を対案として出す、そうした上で、政権交代を迫る、こうしたプロセスを行う必要があるのではないでしょうか。
現在のストライキ戦術では、結局何も有効ない解決策は得られないまま双方が疲弊する。そんな気がします。
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日本国有鉄道研究家・国鉄があった時代
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