【旧 九月二日 仏滅】寒露・蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)
 旧暦における月の名前で最も多く古歌に詠まれているのは「五月《さつき》」だそうです。数えるわけにはまいりませんが、たしかに万葉集を例にとっても、ほととぎすが鳴きはじめ、五月雨が降る季節、そして端午の節句など歌の題には事欠かない月ではあります。そして次に多いのが「九月《ながつき》」です。長月の名の由来は「夜長月」からというのが最も有力な説で、他にも「寝覚月」という別名もあります。

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Photo:花山院菩提寺(兵庫県三田市)から臨む有馬富士

秋の夜は はやなが月に 成りにけり 
ことわりなりや 寝覚めせらるる
  ~花山院 『新古今和歌集』 巻5-0490 秋歌下
 
秋の夜は早くも夜の長い月になってしまったようだ
もっともなことだ 夜中に目が覚めてしまうのも
 
 小倉百人一首の21番にも九月の夜長を詠んだ歌がありましたね。僧正遍昭の子、素性法師が詠んだ恋の歌です。
 
今来むと 言ひしばかりに 長月の
有明の月を 待ち出でつるかな
  ~素性法師 『古今和歌集』 巻14-0691 恋歌四
 
あの方が今すぐ行くよと言っていたので 私はこの長月の
長夜を待ち続けて とうとう有明の月に出あってしまいました

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