季節の便り(4/24) | こんけんどうのエッセイ

こんけんどうのエッセイ

  Coffee Break Essay ~ essence of essay ~

 今年の札幌の桜の開花は51日(少し早まった)あたり、GWの最中となる。同時に梅も咲く、らしい。梅の木は、いまだに見たことがない。

「えッ! これから? ウソだろ」

 GW中に夏日になることもある東京で、何度もそんなことを思っていた。そこで今、暮らしている。流氷がずいぶん南下(えりも岬沖)していると、昨日のニュースが報じていたい。

 会社の広い駐車場の隅で、除雪された真っ黒な雪山がまだ3メートルほどの高さで残っている。道路を隔てた先に厚別川が流れているのだが、その河川敷が雪捨て場になっている。冬の時期、大型トラックが次々と雪を運んできては、山を築いていた。その雪山の融雪を促すため、数日前からショベルカーが盛んに雪を掘り起こし、雪山を崩している。

 昨年までの2年間を室蘭で過ごした。室蘭は、太平洋に面した街である。北海道の太平洋岸は、北海道でも温暖な地域で、積雪量が極めて少ない(ほとんどゼロ)。だが、最大の難点は、夏が暑くないということだ。我がふるさと様似(さまに)や浦河あたりの夏の最高気温は、28度である。30度になることはない。それでもみな、「暑い、暑い」と汗を流し、「昨日は蒸した」と寝苦しい夜を訴える。それが、寒冷地仕様の身体なのだ。かつて、私もそうだった。

 だが、我々和人の先祖は、全員が本州からの移住者である。明治になってからやって来た者ばかり。和人にとっては、140年ほどの歴史しかない。人間の環境への順応力は凄い。

 札幌を含めた北海道の内陸の気温は、この時期から一気に上昇し、太平洋岸地域を圧倒的に凌ぐ。これから太平洋岸地域は海霧(ガス)が発生し、気温の上がらない原因を作り出す。ドライアイスに包まれた演歌歌手のステージさながらの海霧が海からモクモクと湧き出すのだ。ロンドンも真っ青である(ロンドンには行ったことはないが)。フォグランプがなければ、車の走行に支障をきたす日もある。2年前に東京から室蘭に来て、いつまでたっても暖かくならない気温に心底嫌気がさしたものだ。

 

 昨日、車のタイヤを夏タイヤに履き替えた。ワイパーも夏仕様に。近隣の山は、まだ真っ白なのだが。もうだいじょうぶだろう。