今日からグランドスラムの全仏オープンが始まります。今年の全仏オープンは、ビッグ4のうちフェデラーとマレーが出場せず、ジョコビッチも故障から復帰したもののいまだ本調子ではありません。そのため、ナダルの連覇を誰が阻むかという展開になります。
ナダルは4月からのクレーコートシーズンで好調を維持しており、出場した4大会のうち3大会で優勝しています。全仏オープンでは、初出場で優勝した2005年以降から昨年までの間で、10度の優勝を飾っており、今大会も優勝候補の最右翼となっています。
クレーコートでのストロークの打ち合いで、ナダルからポイントを取るのは非常に苦労します。少しでも甘いボールになると、スピンの効いたボールが深い所や角度のある所に打ち込まれて追い込まれてしまいます。また、ナダルに対して良いショットを打っても、ナダルからは甘いボールは中々返って来ないため、何球も良いショットを打つか相当厳しいボールを打たなければポイントが取れません。時には、決まったと思ったようなショットに対して、強烈なカウンターショットで逆襲に遭うこともあります。
ナダルの対抗馬となりそうな選手は正直見当たらないのですが、敢えて挙げるとすれば、ジョコビッチ、ズべレフ、デルポトロです。
ジョコビッチは故障から復帰後も、ランキング1位だった頃の強さにはなっていませんが、徐々に調子を戻しています。大会の序盤で敗退する可能性もありますが、勝ち上がっていけば調子が上向いていく可能性もありますので怖い存在になりそうです。但し、現在のジョコビッチではナダルに勝つのは難しいと思いますので、ジョコビッチが優勝するにはナダルが決勝までに誰かに敗退した場合だと思います。
ズべレフは、昨年マスターズ1000で優勝して今年もマドリードオープンで優勝している若手の有望株です。ランキングも3位まで上げており、今大会は第2シードとなっています。ただ、ズベレフはマスターズ1000では3回優勝していますが、グランドスラムでは昨年のウィンブルドンでの4回戦が最高成績ですので、グランドスラムでの経験が不足しています。経験不足を若さという勢いで上回れるかどうかに掛っています。
デルポトロは長年手首の故障に悩まされていましたが、実力的にはビッグ4に迫るものがあると言われており、2009年の全米オープンではフェデラーを破って優勝しています。順調に勝ち進むと、準々決勝で第3シードのチリッチ、準決勝でナダルと対戦するドローになっています。デルポトロは、ジョコビッチやズベレフよりもナダルに勝つ可能性は高いような気がします。
他には第7シードのティエムもクレーコートを得意としており、マドリード・オープンではナダルにも勝っています。但し、ナダルはモンテカルロ・マスターズから試合数が多く疲労が蓄積されていた時期でしたので、ナダルが普通の状態だと勝つのは難しいかもしれません。
錦織は第19シードでの出場で、初戦は世界ランク304位のジャンビエと対戦します。ジャンビエは地元フランスの選手で主催者推薦での出場ですので、実力的には差がありますが初戦ということと地元選手ということですので、少し難しい部分があります。先行されると相手が調子に乗ってくる可能性がありますので、常に先行してペースを掴みたいところです。
錦織は勝ち進むと、4回戦で第7シードのディーム、準々決勝で第2シードのズベレフとの対戦となります。試合を重ねて調子を上げていけば十分勝てる相手です。問題は、手首の怪我から復帰して5セットマッチを戦っていませんので、体力面に不安があります。可能な限りセットを失わずに、体力の消耗を最小限に抑えて勝ち上がって欲しいところです。
錦織以外にも、男子では杉田祐一と西岡良仁、女子は大坂なおみと奈良くるみがシングルスに出場します。大坂なおみは第21シードとなり、グランドスラムで初めてシードとなりました。クレーコートは得意なサーフェスではありませんが、2016年の3回戦進出を上回って旋風を巻き起こして欲しいです。
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