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新年明けましておめでとうございます。今年も御愛読いただければ幸甚に存じます。

 

 去年、上半期の決算でフジテレビが赤字に転落しました。視聴率に関しては、フジテレビは既に東京テレビに次ぐワースト二位でしたが、それでも黒字を保っていたのは本業ではなく副業の不動産収入などが堅調だったからだそうです。でも、ついに赤字に転落しました。さんざん韓流ドラマを垂れ流し、視聴者の怒りと反発を買ったことがここまで尾を引いたのだと思います。

 フジテレビが去年十月、大々的に宣伝していた「民衆の敵」というドラマがありました。主演女優は篠原涼子。月曜日の夜9時~というプライムタイムに放送されたわけですが、このドラマの全10回の平均視聴率がなんと! ワースト記録を更新しました。どれぐらい輝かしい数字だったかというと・・・

1023日(初回)9%  1030日 7.1%  116日  7.5%  1113日 7.6%  1120日 6.9%  1127日 6.5%  124日  5.8%  1211日 5.3%  1218日  7.0%  1225日(最終回)  4.6%  ←皆さんはこの数字をどうご覧になるでしょうか?

 テレビというのは視聴率1%で100万人の人が見ているそうです。ですから視聴率7%で700万人、視聴率8%で800万人です。私にしてみれば、こんなつまらないドラマを700万人も800万人もの人が見ているということ自体が驚きですが、それでもドラマ隆盛を誇っていた時代のフジテレビからすれば、考えられないぐらいの惨めな数字でしょう。

 結局、日本のテレビ業界はすぐれた脚本家を失ったのだろうな、と思います。安易に外国のドラマを受け入れ、日本人の脚本家や演出家を育ててこなかったツケが回ってきたのではないのでしょうか。

 フジテレビに比べればドラマの視聴率では優勢なのがテレビ朝日です。地上波ではそこそこ好調なようです。しかし私はたまたまBSテレ朝の「松本清張シリーズ」というのを見たのですが、原作を大きく変えていました。いくら作者が亡くなっているからといって、こんなに話を変えていいのか、と思いました。私が見たのは「砂の器」。脚本家は竹山洋です。

 「砂の器」はあまりにも有名ですから、詳しく説明する必要もないかも知れません。ある殺人事件が起こります。謎の多い事件で、その謎を追っていく刑事の物語です。被害者は以前、鳥取県で巡査をしていたことがあって、無類の好人物で、人の恨みを買うような人物ではないことが分かります。被害者は定年退職後、悠々自適の暮らしをしていましたが、思い立って伊勢参りに出かけます。しかし、なぜか伊勢には行かずに東京に向かい、東京で殺されます。なぜ伊勢には行かずに東京へ向かったのか。その謎は大阪でたまたま入った映画館で見た映画にあったことが分かります。

 犯人は被害者が巡査時代、引き取って世話をしていた子供だったことが分かります。人のいい巡査は実の子供のように可愛がっていたのですがある日、その子は失踪します。実の父親を慕って失踪したわけです。父親は原作ではライ病患者で、感染をおそれた村人が父親と子供を引き離したことになっていました。しかしテレ朝のドラマでは、父親は放火犯だと疑われて村人に追放され、息子と二人で放浪の旅に出ることになっています。これだと父親と息子を無理やり引き離す理由が分からなくなります。

 ライ病は当時、不治の病として恐れられていました。成長して作曲家として成功した息子は自分の過去を消すために名前を変え、まったく別の人間になりすましていました。そんな息子のところへある日突然、自分を育ててくれた巡査が訪ねてきたのです。自分の過去を知る唯一の人物だということが殺人の理由でした。しかし、これもライ病というキーワードをなくしてしまうと、なぜ犯人が殺人まで犯さなければならなかったのか、という必然性がぼやけてしまいます。この物語のキーワードはライ病なのですから。

 新しい物語を作る技量がなくて既存の原作を使わざるを得ないのでしょうが、これほどの名作を勝手に作り替えたら松本清張が怒るのではないでしょうか。映画も原作をよく作り替えたりしていますが、基本的に原作よりもつまらなくする結果になっています。

 原作を作り替えて原作に傷をつけるのは止めるべきです。

 

 

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