さて、三連休、どう過ごそうか。
娘はコンサートがてら2泊3日の旅行だし、息子はオヤジなんぞに付き合ってはくれない。
何やかんや用事をこなした初日の夜、布団の中で考えた。
ひとり車で遠出でもするか。
嫁と行ったところ・・・倉敷とか、城崎とか・・・出石蕎麦なんかもいいかな。

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しかし。
思い出に浸るのもいいが、またまた、いつもの休日の如く、ぐずぐずグダグダの1日になってしまいそうだ。
ひとりと言えば、俺にはバイクがある。
バイクがいちばんなんだが・・・こう暑くてはなぁ。
数年前と比べると明らかに体力、気力ともに落ちてるし、この猛暑の中、ロングツーリングなんぞあり得ん・・・しかし・・・
最近、俺、色々たるんでるしなぁ。
普段の生活も、仕事も、職場での人間関係も、自己中かつ投げやりで・・・
ここらで一度、自分に喝を入れるためにも、出かけてみるか。

というわけで、ストイックというか、いささかマゾい考えで、ツーリングに行くことにした。
行き先は?
天気図との相談で、南の方。
・・・そうだ、須賀利。
前にバイク雑誌の記事で見て、行きたいと思っていたところ。
あの、どん詰まり感、今の俺にピッタリかも。

そして翌朝5時。
ちょうどいい時間に目覚めた。
昨夜の内に、一応、一通りの準備はしてあるが・・・やっぱり、着替え、持って行こう。
前回、7年前と違って、1日で回りきれるかどうか、自信・・・と言われると、少々心許ない。
どうせ明日も休みだからという気楽さもある。
疲れたら、どこかで泊まればいい。
そのときのための準備ぐらいはしておこう・・・である。

5時半、出発。
まずは給油、そして向かいのコンビニで朝飯を済ませて、阪神高速湾岸線へ。
この時間、すでに交通量はかなり多い。
遅い方の車の流れに合わせて、ゆったり走る。
頭に浮かぶのは・・・
入院したお袋のこと。
「入院」から。
逝ってしまった妻のこと。
ダメだよ。
どんどん、際限もなくハマっていってしまう。
ごめん・・・あわてて頭から振り払う。
次に浮かぶのは、週明けから忙しくなることが確定的な、仕事の段取り。
最近、昼の定例会でやたら俺に噛みついてくるK室長。
とりあえずU課長とプロマネのSを味方につけて・・・いやいや、姑息なやり口はアカンな。
ここは、キチンと説明して納得してもらわないと・・・メンドくせぇなぁ。
会社の話となると。
職場の派遣の女の子のこと。
このところ、なぜだかやけに俺に懐いてくる。
なかなかの美人なんだが・・・いやなにも、やましい、色っぽい話なんかじゃない。
安心安全人畜無害なオジサンとでも思っているのか。
メンタル弱めの子で、仕事や人間関係の不満や悩みを俺にぶつけてくるのだ。
この数日、辞めたいみたいな事を言い出していて、心配ではある。

ふと我に返ると、すでに湾岸線をすぎて、関空道、泉佐野JCTの手前まで来ている。
アカンな。
ちょっと走りに集中しよう。

いつもの紀ノ川SAで最初の休憩をとり、阪和道から紀勢自動車道へ。
どこまで延びているんだろう。
前は・・いやずいぶんと前だが、確か、田辺、白浜あたりだったか。
まだまだ先までいけそうだ。

周参見。
ここからが下道だが、もう串本は目と鼻の先だな。
何度見ても、このあたりの海岸線の風景は素晴らしい。
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そして、この日の一つ目の目的地、潮岬。
灯台での記念撮影を済ませて、本州最南端、クレ崎へ。
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ここも、もう5回目。
何度来ても気持ちいい。
実は、この日の密かな・・・は大袈裟だが、ここに一つ、目的がある。
近大マグロを食す。
このあたりに養殖の研究施設があるらしいが、食べさせてくれる店を探してもあまり見つからない。
それを、ここの展望レストランで食べることができるのだ。
で・・・しまった。
食べるのに夢中で、写真、撮るのを忘れてた・・・

次に目指すのは、橋杭岩。
まず、自然の景観が素晴らしいのは言うまでもないが、ここの施設、この何年かの間に新たにできた道の駅で、けっこう楽しい。
そして、ここに来たら必ず食べるのが、マグロの唐揚げ。
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この奇岩の列、潮が引くと、かなり沖の方まで歩いていくことができる。
以前、車で妻を連れてきたときは、子供みたいにはしゃぎながら岩場を歩き、潮だまりの小魚を眺めていたっけ。
ここで撮った写真にさっきの潮岬のを添えて、妻のLINEにアルバムを送っといてあげよう。

南紀で最大の街、新宮から熊野までの十数キロ。
このあたり、七里御浜といって、ひたすら真っ直ぐな海岸線が続く。
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途中には道の駅がいくつかあり、疲れた熱い体を休め、冷ますのにちょうどいい。
熊野から先は、内陸のR42を選ぶか、海沿いのR311を選ぶか。
景観なら断然リアス式海岸のR311だが、今回は須賀利という目的地もあり、R42で先を急ぐ。

尾鷲市街をすぎ、海山でR42を離れて半島へ。
すぐに海辺に出て、入江に沿ってリアス式海岸の半島の奥に回り込む。
実を言うとこのあたり、少しばかり土地勘がある。
30年、いや35年近くも前、大学を卒業したばかりのころ。
当時のガールフレンドがこのあたりの学校に赴任して音楽教師をやっていて、何度か訪れたことのある、懐かしい場所でもあるのだ。
今もあの頃と変わらず、すっきりと透明度の高いきれいな海。
水底を小魚が泳ぐのが見える。
トンネルを抜け、半島の反対側に出ると、こちらの海岸では、オートキャンプを楽しむカップルや家族連れがちらほら見える。
少し先には海水浴場があるようで、エンジンを切るとその喧騒が聞こえてくる。
海水浴場に向かう道をそれ、小さな峠を越えてしばらく山中を走ると、入り組んだ半島の別の入江に出る。

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須賀利。
海から山までのわずかなスペースに、岸壁、防波堤、生活道路と人家が連なる。
防波堤の圧迫感。
この先には、もう道はない。
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さて。
午後も遅い時間になってきた。
ここからだと、松阪まで2時間ほどか。
もちろん、帰れない時間ではないが、それなりに疲れもたまってきている。
どこかに泊まっていきたいという気分でもある。
鳥羽から志摩あたり、国崎や石鏡あたりの民宿でも取れればベストなんだが。
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紀伊長島の道の駅に寄って、件の「マンボウ」を頬張りながら、スマホで宿を探してみたが・・・日付を「今日」と設定した時点ですべてアウト。
どこも空いてない。
伊勢鳥羽あたりの旅館、ビジホから、志摩、浜島のホテルまで範囲を広げてみたが、ようやくヒットしたのは一泊4~5万もするような志摩の高級ホテル。
これって、この前のサミットとかの?
松阪に向かう途中の道の駅の観光案内所でも探してもらったが、やっぱりダメ。
考えてみると、三連休の中日。
夕方の4時5時になって「今から泊まれるところ」など、そもそも甘かったのかもしれない。
宿探しはあきらめて、勢和多気から伊勢自動車道乗り、家路を急ぐことにした。

途中、名阪道伊賀あたりで小雨が振り出し、雨宿りがてら飯にしようかとドライブインに入ると、駐輪場で隣り合わせだドゥカティの若者が話しかけてきた。
「なんかビミョーな雨ッスね。」
「だなぁ。濡れるのヤだけどカッパ着るのもめんどくさいってぐらいの。」
「ですよねぇ・・・」
「で、雨宿りがてらの晩飯と・・・」
「ハハハ。僕もおんなじッス。」

その後30分程度。
食事がすんだ頃には雨も止み、出発。
さっきのドゥカティはもういない。
ここから先は、嫁実家~自宅への、車で通い慣れた道。
ただし、今日はひとりでバイク。
雨上がりの濡れた路面でもある。
急ぐ必要もないし、ペースを落として、ゆっくり帰ろう。


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