西遊記1-4 | 世界文学登攀行

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世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。


P211-245(第六回)

天界の玉帝が怒り狂って、孫悟空のいる花果山に名だたる天兵たちを送りこむ。
その数10万!

確かに、悪いのは悟空。
天宮を乱したのは討伐されて当然。

天界でだけ咲く貴重な桃を勝手に食べて、桃を食べる会の蟠桃会(ばんとうえ)を乱したり、仙酒を勝手に飲んだり、貴重な金丹を食べたり。
どれもこれも、大罪ここにきわまれり。

大罪ですか、これ。
ことを天界によせて書いているけれども、実は時の権力者なんかに向けて、「お前らだけいい思いしやがって!」っていうような気持ちがこもっていて、悟空がその禁断の果実を無断で食べたことに、快哉を叫んだのではないだろうか。
しかし、時の最高権力者玉帝が取った行動は、天兵10万を悟空に差し向けるということ。
そこに立ち向かうのは悟空一人。頑張れ悟空!って思ったんじゃないかな。

西遊記は講談で語り継がれたものが、大衆の反応を見ながら、変更に変更を重ね、練られていったものらしい。
こう考えると、奇想天外な話しの奥にいる大衆の欲望のようなものが透けてみえるのかもしれない。
現代に生きる僕らでも面白いと思えるのは、そういった部分の共感があるからなのかも。