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定年退職してしまいましたが、再任用でまだまだ老後の蓄えをしなくてはなりません。それでも悔いのない人生にしたいと思います。

お正月早々、包丁を研ぎまくりました!

2017年01月02日 23時08分59秒 | Weblog

2017年1月2日

元旦に実家で会った姉から、包丁研ぎを頼まれました。
開けた包みを見ると、和包丁・洋包丁が多数。
『いつでも良いから、研いで・・・』
じゃ、いつ研ぐ?
今、この三が日しか時間無いでしょ!
ってな訳で、のんびり寝ていたいのに起き出しました。

実は、和包丁の鉄製の刺身包丁や出刃包丁は、サビだらけでした。
元日の実家で、予めサビを落として持ち帰りました。

訳あって研ぎの場所は、玄関先にしました。
先ずは道具の説明です。(左から)
1:半円形のこれはグラインダーの円盤の半割れで、砥石を平らに研ぎ均す、砥石のための砥石。(市販品は数千円します。)
2:グレーのは、粗砥石(あらといし:あらと)
3:褐色のは、中砥石(なかといし:なかと) 
4:薄茶色のは、仕上げ砥石(しあげといし:しあげと) 
5:裏すき(裏の窪み凹部分)を研ぐ手持ちの砥石
6:バケツ



研ぎではいきなり砥石で研ぎ始めるのはNGです。
先ずは、砥石を水に浸け十分吸水させた後、砥石を研ぐことから始めます。
これは、3年間通った鍛冶屋(岡秀)の師匠から何度も仕込まれました。
砥石よりも固い砥石でフラットな砥石に仕上げます。
(市販品もありますが、平らなコンクリート面でも可)



やっかいな、出刃包丁から始めました。
片刃の出刃包丁には、裏すき(裏の窪み凹部分)がありますが、窪んでいるために窪みに入る曲面の砥石を手に持って、サビを落としました。



表の平(ひら)や切り刃面から研ぎ、砥クソ(砥汁・砥石の粒子)を出します。
この砥クソが大事で、研ぐとは、砥石との直接の摩擦よりも、砥汁の砥石の粒子が重要な働きをします。
(鍛冶屋通いの最初の頃、水道水を流しながら砥クソを綺麗に流しながら研いで、師匠から叱られたなあ~)

※写真は撮影のために片手で不自然ですが、実際は両手でしっかりと支え、左指の一部は砥石に擦れて、指紋は無くなります。
※砥石の片減りを防止するため、しばらく研ぐと、砥石ごと180度回転させ、向こうと手前を入れ替えます。車のタイヤのローテーションと同じ。



出刃包丁や刺身包丁は、片刃のため、裏が平らに研げます。
※片刃は、骨ごと叩き切ったりと、力の要る使い方に耐えられるよう肉厚の鋼を使える様に考えられた形です。
また、刺身包丁にもある、窪み凹の裏すきは、切り身の離れが良く捌きを効率的に行えるようにと、断面に空間を産むために凹すいてあります。



出刃包丁の裏を研ぐと、窪み凹は研ぐ事が出来ず、峰と切っ先、刃先のV字の縁が、平らに研げる事になります。
さて、頼まれたこの出刃包丁には問題がありました。分かるかな? 



アップします。
右が峰、左が刃先側で、問題とは、切っ先に向かう約5cm程の『そり』部分に黒い線の研ぎ残しが出た事です。
これは、以前研いでいた人が、片刃なのに裏から刃先を付けようと研いだ事による、刃の回り込み現象です。
裏研ぎで平らに研いでも、丸まった刃先のため、研げないで居ます。

対策は、表から刃先のソリ部分を、黒い線の部分だけ研ぎ落とさなければなりません。



表から切り刃の約0.6mmを研ぎ落とすのは大変でしたが、なんとか片刃の切り刃が全部に付きました。



次は、中砥ぎです。
また、砥石を平らに矯正します。



研ぎの切り刃への刃付けは、実は粗砥段階で決まります。
満足な刃も付いとらんのに、中研ぎは早すぎる!もういっぺんやり直し!』と何度も叱られたのを思い出します。
ちょっと切れ味を戻す位なら中研ぎでも復活出来るのですが、刃物造りの最初の刃付けや、狂った刃、サビ刃の研ぎなら、粗砥で切れる刃先をしっかり研ぎ出しておく必要があります。
要するに、中研ぎや仕上げ砥ぎは、表面を綺麗に光らせる様な化粧という感じです。
(仕上げ研ぎで鏡面にすると、サビが来にくい効果があります。)



僕もそうでしたが、素人は研ぐ加減が分からないと思います。
ただ、綺麗に光れば切れるようになった!と勘違いしますが、研ぐには理論的な視点・触覚による判断材料がありますので、非常に明快です。

次に、エクセルでイメージ図を作りましたので、これを参考にして下さい。




ちなみに、左と真ん中の△は、刃先を見るだけでも見てとれます。
0.数ミリですが、光った刃先の線が見えます。
一番右の切れる刃先は、細すぎて頂点が見えません。

カエシは研ぎながら、指先で触ると、表側から裏側へ、または裏側から表側へ、カエッている(曲がっている)のが分かりますので、曲がっている先側から研げば、カエシが取れ、切れる刃になります。

仕上げの研ぎです。
もう化粧をしてやる気持ちで、磨き上げます。
新たにカエシを作る可能性もあるので、指先での確認はします。
薄茶色のは、仕上げ砥石でも研ぎましたが、このグレーの古く使い込まれたモノのが『食いつき』が良く、好きです。(粘板岩の自然砥石)



さしみ包丁も同じ様な手順です。



この出刃包丁だけで、1時間も掛かってしまいました。
研ぎ代、1,000円くらい貰いたいところです。



切れ味は、すっかり新品同様になりました。



レオ君が『僕の右手、切れそうだワン!危ないワン!』と言っています。



切れ味に関係ない『口金』も磨いて、綺麗な真鍮の色を出しました。
洋包丁は両刃ですが、刃を付ける方法は同じです。

9本もの研ぎを、朝から昼過ぎまでかかりました。



近頃は、包丁のない家庭も多いと聞きますが、包丁の無い家庭は何かさぼっている気がします。
包丁を使うご家庭では、メンテナンスをしましょう。
切れる刃物を使うと、素材の味も活かせると思います。

包丁の構造
 http://www.kai-group.com/products/special/hocho/learn/material/

包丁の研ぎ方
http://kinisuru.com/how-to-sharpen-kitchen-knife-12263


包丁の研ぎ方
http://temaeitamae.jp/top/t4/c/1.html

 

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