第33話
「ひあああああっ……ちょっ……はあああぁ……」
ピストンのリズムに合わせて黒っぽいブラに包まれた乳房が揺れている。
「なあ、本当は言葉攻めされるのが好きなんだろ?」
「ああああぁ……は、はい……」
北島紗織はとうとう本音を漏らした。彼女は自分がされて興奮することを、相手に施していたのだ。
「よいしょ」
鎌田勝也はおっさんらしい掛け声とともに、彼女の左側に横になった。施術ベッドは幅が狭いせまいので、危うく落ちそうになる。鎌田は彼女の左足を持ち上げ、背後から挿入した。「鴨の入り首」である。重なった2人の体はじっとりと汗をかいていた。ますます感度が上がったように、鎌田も北島も感じた。そして、鎌田はゆっくりと再び腰を動かし始めた。
「ああん……それ……いい……」
「どう良いんだ?」
「はあああぁ……当たることろが……気持ちいい……」
この体位では深くまでは挿入できないが、亀頭がGスポットを押すにはもってこいだった。
「……どんな風に……気持ちいい?」
「んんん……頭の中が……はあああん……真っ白になっちゃうぅ……」
鎌田は腕枕の要領で、北島の頭の下から右腕をまわし、豊満な乳房をもみしだいた。硬くなった乳首をコリコリと指の間で転がす。
「あああんっ!」
突然の快感に、北島は身を震わせた。さすがに若い。目の前のきめの細かい肌を、鎌田は愛でた。
「はああぁ……もう……だめぇ……」
「何がだめなんだ? 言葉は正しく使いなさい」
「……イッちゃう……」
鎌田は腰の動きを止めた。
「えっ……なんで?」
突然刺激を止められた北島は、鎌田を振りかえり切ない視線を寄こした。
「君は『イッちゃう』のではなく、俺に『イカせてもらう』んだ。きちんとお願いしなさい」
「ああぁ……イカせてぇ……」
鎌田は腰を一度振った。
「あんっ!」
北島は快感に体をのけ反らせる。しかしピストン運動は続行されない。まだ言葉が足りていないらしい。真っ白になりつつある頭の中から、北島紗織は懇願の言葉を絞り出す。
「お願いしますぅ……イカせて……ください……」
鎌田が今度は二度腰を振った。硬いペニスがGスポットを射抜く。
「あううううっ……」
やり場のない快感に、北島は腰をよじっている。まだ言葉を尽くさないといけないのだろうか。鎌田の沈黙が不気味だった。
「鎌田様ぁ……早く私を……イカせて……ください……お願いしますぅ……」
鎌田はさらに三度腰を振った。またしても腰を動かし続けてもらえない。期待を裏切られ焦らされ快感を高められ、北島の理性は崩れつつある。セラピストとしてのプライドなどは、とうに崩壊してしまったようだが。「鴨の入り首」の体位のまま、北島紗織は鎌田を振りかえった。よだれを垂らし、うるんだ切ない視線を鎌田にアピールする。すべてはエクスタシーのために。
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