【行政書士試験】一般知識 国連 人権条約 生活保護などについて | なか2656のブログ

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行政書士試験の受験生の方々にとっては直前期ということで大変な時期かと思いますが、LEC行政書士講座の黒沢レオ先生のブログにつぎのような記事が掲載されていますね。

1.国連・人権に関する条約について
・『試験委員分析・一般知識予想②新任の板根徹教授』(9月14日付)

この記事によると、試験委員の板根先生は国連が専攻とのこと。
国連関連は頻出の分野なので今一度、使っているテキストの該当部分を眺めておくのがよいのでしょうか。

国連の専門機関はたくさんあって最初はとまどいますが、略称の英語を見ると逆にぱっとニュアンスがつかめることがあります。たとえば、国連教育科学文化機関はUNBSCOでSCをみつけると科学文化であることがわかります。

また、ちょっとマニアックですが、国際司法裁判所(ICJ)国際刑事裁判所(ICC)は別物です。前者が国家間の紛争を扱うのに対して、後者は戦争犯罪などの国際的な犯罪を扱います。

なお、素人考えですが、国連関連として、一般知識分野だけでなく憲法にもまたがる問題として、人権に関係する条約が近年ホットなテーマな気がします。今年はホットすぎても、来年以降はあぶないかもと思います。

人権の問題に関しては、これまでも国連の人権委員会から日本は遅れていると勧告がずっと出されている状況であり、また、とくに平成25年10月に京都のヘイトスピート訴訟の地裁判決が出され、その高裁判決が本年の7月に出されましたが、どちらの判決も人種差別撤廃条約を正面から取り上げたことが憲法の分野で大きく注目されました。

京都のヘイトスピート訴訟に関しては、詳しくはこちらをご参照ください。
・京都朝鮮学園事件判決とヘイトスピーチ規制立法について

第二次大戦後、1948年世界人権宣言が採択されますがこれは拘束力のないものであったため、国際人権規約を作るべきだとの機運が高まります。しかし、自由権などはよいとして、社会権はどうするのかについて各国の意見がまとまらない状況が続きます。

そのような中、とりあえず人種差別だけでもなんとかということで、人種差別撤廃条約1965年に採択されます。なお、この条約の4条は批准国に国内に人種差別を禁止する表現規制などの立法を要求しているのですが、この4条を留保するとの条件を付けてアメリカ、イギリス、フランス、スイス、日本などは批准しています。この4条と国内の表現の自由との関係が問題となったため、日本の批准は1995年と約30年後となりました。

そして、1966年国際人権規約が採択されます。国際人権規約はA規約・社会権規約B規約・自由権規約のふたつで構成されます。日本の憲法の感覚だとなんだがAとBが逆で不思議な感じですね。なお、B規約にもとづく自由権侵害に関する国連人権規約委員会への個人通報制度というすごい制度があるそうなのですが、日本は司法権の独立の関係上問題があるとしてこの制度を留保しているそうです。ピアノ伴奏事件とかを連想しますが。

2.生活保護について
また、同じく黒沢レオ先生のブログにつぎのような記事があります。

・『試験委員分析・一般知識予想①日大・沼尾教授』(9月13日付)

沼尾教授はとくに社会保障や生活保護に強い先生ということで、黒沢先生も生活保護の部分を復習しておくことをすすめておられます。

生活保護に関しては少し前にお笑い芸人の不正受給が大きな社会問題となったことを受けて、近年、生活保護法が改正されました。主な概要は次のとおりです。

1.就労による自立の促進(就労自立給付金の創設)
2.不正・不適正受給対策の強化
 ○福祉事務所の調査権限の強化
 ○扶養義務者への報告徴求
3.医療扶助の適正化
 ○ジェネリック(後発)医療品使用の推進
 ○国による医療機関への直接指導を可能とすること など

詳しくは厚生労働省のサイトをご参照ください。
・厚生労働省|生活保護法改正法の概要(PDF)

また、これは出題されるとしたら来年度以降かなと思うのですが、本年7月に、大分の中国籍の永住外国人の方が争った、大分外国人生活保護訴訟の最高裁判決が出されました。行政書士は業務で外国人の方とのやりとりをすることが多い関係であるからだと思うのですが、試験で外国人関連の問題がしばしば出題されます。(たとえば永住外国人の地方参政権の問題など。)

大分外国人生活保護訴訟の最高裁判決のポイントは、①生活保護法が法律上、保護の範囲としているのは日本人に限られるとしたことと、②厚労省の通達があるので、従来通り事実上の保護を行う行政措置として、生活保護法と同等の保護を永住外国人等に行なうことを確認していることであると思われます。

大分外国人生活保護訴訟に関しては詳しくはこちらをご参照ください。
・最高裁:大分外国人生活保護訴訟(最高裁平成26年7月18日判決)について
・大分外国人生活保護訴訟(福岡高裁平成23年11月15日判決)について


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