民主党の2014年のマニフェストを読んでみた | なか2656のブログ

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ある会社の社員が、法律などをできるだけわかりやすく書いたブログです

前回のブログ記事で、11月24日に民主党が総選挙に向けたマニフェストを発表したことについての簡単な記事を書きました。今回の民主党のマニフェストをざっと読んでみました。


民主党 政権政策マニフェスト(PDF)

私としてはとくにつぎの項目が気になりました。

●人権・ヘイトスピーチ
「差別、冤罪などを無くすための「人権委員会設置法」「ヘイトスピーチ対策法」の制定。」

一見美しい書きぶりですが、「人権委員会」「ヘイトスピーチ対策法」などが一度立法化されてしまうと、問題なのは、権力者による濫用のおそれです(渋谷秀樹『憲法 第2版』380頁)。

つまり、いったんこのような規制法ができてしまうと、権力者の恣意的な判断・運用で、日本社会における表現の自由、報道の自由、団体・結社の自由などが規制され、戦前の日本のように、市民も新聞も自由に物を言えない社会となってしまいます。

ヘイトスピーチ規制立法に関しては、今年の夏に立法化の議論が国会で高まった途端の本年9月に、自民党の高市政調会長が、「ヘイトスピーチとともに国会前のデモも規制したい」と発言して話題となりました。この発言は、表現の自由に対する規制法を作ることが、いかに権力者に簡単に濫用されるかを示す良い例であると思われます。

民主主義は優れた英雄ではなく凡人が政治を行なうことを前提としている以上、法律の立法化には慎重に考えるべきです。とくに経済的なものに比べて、精神的なものが侵害されてしまうと、事後の回復は非常に困難ですので、やはりそのようなものを規制する法律は慎重に考えるべきです。何かの経済対策の立法のように、カップラーメンのように作って国会議員の手柄とするような法律と同列に考えるべきではないと思います。

また、この問題に関してはしばしば、「日本は国連や国際社会から非難されている」という声があります。この問題で日本を非難しているのは主にヨーロッパです。

ヨーロッパ諸国は、第二次大戦の反省を踏まえて、自由主義・民主主義に反することは許さないということを憲法上明記しています(戦う民主主義)。その憲法の下で、さまざまな差別を禁止する法律であるとか、ナチズムを称賛するような行為を取り締まる特別刑法などを用意しています。このようなヨーロッパ型の、国家権力による人権保障のあり方を、「国家による自由」と呼ぶことがあるそうです(辻村みよ子『比較憲法 新版』120頁)。

それに対して、日本やアメリカの憲法は、「戦う民主主義」型のスタイルをとっていません。言論の自由市場論を背景として、表現の自由、団体・結社の自由などに関しては、できるだけ保障しようというスタンスをとっています。そして、特別裁判所の禁止などを明示(憲法76条2項)するなど、「国家からの自由」の方向性を明らかにしています。(これは、戦前の日本の、翼賛体制、治安維持法、特高などへの反省があったのではないかと思われます。)

このように、日本とヨーロッパにおいては、とくに表現の自由については、憲法の基本的スタンスがまったく異なっています。言われるがままに、ヨーロッパ側の批判を日本が一方的に受け入れるのは間違っていると思います。

また、補足すると、ヘイトスピーチの問題については、日本は人種差別撤廃条約に批准し、平成8年から国内で効力が発生しています。この条約の4条は、条約加盟国に、それぞれの国の国内に人種差別禁止などの法律を作るよう義務付ける趣旨の条文です。

しかし、わが国の表現の自由などの憲法21条の趣旨にもとるとして、日本政府はこの条約4条には留保をつけたうえで批准しています。

したがって、人権に関する条約との関係からも、わが国は、民主党の主張するような、人権委員会設置法や、ヘイトスピーチ規制法を制定する義務を負っていません。

民主党が、かりにも日本の政党ならば、外国・外国人の利益よりも、まずは日本・日本人の利益を第一に考えるべきだと思います。

●新しい公共
NPO税制の維持・拡充、休眠預金や社会的投資など金融制度面での支援により、幅広い多様な主体が参加して公益を担う「新しい公共」を進めます。」

これは、民主党のマニフェストで初めてみたので、ネットなどで若干調べてみました。

すると、NPO法人が活動をするのに、寄付だけでなくもっとお金が欲しい。そこで、銀行などに預けっぱなしになっている「休眠預金」を使えるようにしようというのが、この民主党のマニフェストの「新しい公共」なのだそうです。

しかしこれはハードルが高いように思います。現在、銀行であれば、10年間休眠状態の預金は銀行のものとなります。約款による契約上の整理だと思います。それを民主党が権力をかさにずかずかと乗り込んでいって、銀行からカネを奪い取り民主党の息のかかったNPO法人に渡すのでしょうか。これでは銀行強盗かテロリストです。ちょっと正気の沙汰とは思えません。

日本は共産主義や社会主義ではなく資本主義つまり自由主義・民主主義の国です。自由主義・民主主義の3大原則は、たとえばフランス革命期に叫ばれたスローガンによれば、「Life Liberty Property」であり、すなわち、「生命、自由、財産」の3つです。わが国の憲法でも、財産権や所有権絶対の原理は当然保障されています(憲法29条)。

銀行にお金を預ける人は債権者であって、あくまでも自分のお金を債務者たる銀行に預金するという意図にすぎないのであって、自分の預金を民主党や、自分が知りもしないNPO法人にあげてもいいですよ、なんてお人よしは居ないと思います。休眠口座だから、民主党なりNPO法人なりがそれをかすめ取って良いということにはなりません。それはわが国の基本原則である所有権絶対の原則、つまり資本主義に反します

また、この民主党なりNPO法人のかすめとり行為が犯罪的であるのは、預金者である市民に対してだけでなく、銀行に対しても同様です。休眠預金を銀行は漠然と受け取っているのではなく、約款に基づいて受け取っています。つまり、顧客である市民と銀行との契約に基づくやりとりの一環です。当然のことながら、銀行は、銀行預金の契約の発生、契約の保全に至るすべての事務コストを負担しています。

ところが、民主党とNPO法人は、ハゲタカやハイエナ、あるいは乞食のように、「休眠預金は銀行に渡すべきではない」という自己中心的な理屈で、銀行から休眠預金の金銭を奪おうとしています。これは本当に市民社会の法秩序破壊する、まさに銀行強盗のような重大な犯罪行為だというほかありません。

これらのお金ななんとなく銀行にあるものではなく、預金者たる顧客と銀行との約款による契約に基づく正当なものであること、この金銭を維持・管理するのに銀行は日々、人的・事務的コストを支払っていること、などが政治屋やボランティアの活動家ふぜいには理解が難しいのでしょうか。

また、銀行が銀行口座の開設、維持・管理などに事務コストを負担しているということは、すなわち、全国の銀行をはじめとする金融機関、あるいは全国の事業会社において、日々、役職員達、すなわち、多くの労働者達が、自分の持ち場の日常の業務において、額に汗して営々と取り組んでいる、まさに日々の「仕事」そのものです。

その日本全国の庶民の労働者達の日々の「仕事」を、民主党やNPO法人が、「どうせ余り物だから、我々が持っていっちゃって適当に勝手に利用、処分しちゃっても良いですよね!」と判断する考え方の、世間知らずというか、お坊っちゃんぶりというか、「上から目線」ぶりには驚くと同時に呆れてしまいます。

もし万が一、民主党やNPO法人が、”ボランティア活動や政治活動のほうが企業などの営利事業よりも社会的な価値が高い”、とでも笑止千万ながら小賢しげに考えているのであれば、今後、すべての事業会社労働組合など、およそ労働に携わるすべての人は、民主党と、その息のかかったNPO法人への支援をやめるべきでしょう。民主党は労働者および使用者の敵です

民主党は烏合の衆シマウマ政党と揶揄されますが、この「新しい公共」のマニフェストの部分を担当している議員達は共産主義者・社会主義者か何かなのでしょうか。それも相当な過激派であるように思われます。

阪神大震災以降、日本でも急速にボランティア活動などが発展したといわれています。それ自体は大いに良いことだと思うのですが、最近は大卒の就活生達がアピールポイントにということで、全員が全員、面接で、「大学時代ボランティアしてきました!」とアピールして、企業の人事部の採用担当者がその金太郎飴ぶりに内心うんざりしているくらいだそうです。

私も、賛同できるようなボランティア活動などを見かけると、ほんのわずかばかり募金することもあります。しかし、民主党とともにこの「新しい公共」の運動を考えているNPO法人の人々は、なぜ寄付などで集めたお金だけでは満足できないのか疑問です。べつに彼らは営利企業でもなく、事業を拡大して、利益の拡大などを求める必要もないはずです。

もしNPO法人の人々の手に負えないくらい困っている人々が多いのだとしたら、それこそ行政・政治の怠慢であって、国・自治体はNPO・NGOを使い勝手の良い無料のお手伝い代わりに使うのでなく、きちんと人件費等の予算をたてて、国・自治体の有償の事業として困っている人々を、任意にもとずく慈善事業ではく、しっかりとした国の事業において助けるべきです。そのための政府・政治であり、そのための税金でないのか。

そういった話をすっとばして、安直にNPO法人にもっとお金を使えるようにしましょう、税制を優遇しましょう、休眠口座をNPOに流用できる仕組みにしましょうというのは、言ってみれば、NPOやボランティア団体や民主党の、「善意の押し売り」であり、「君の物は僕の物」「休眠預金は民主党やNPO法人の物」といった、ドラえもんの「ジャイアニズム」のようなゴリ押しです。

●TPP
「TPPについては、農林水産物の重要5品目などの除外、食の安全の確保、国民皆保険の堅持などの国益を確保するために、脱退も辞さない厳しい姿勢で臨みます。」

まあ口ではなんとでも言えますよね。前の選挙のときの自民党の公約とそっくりです。たしか以前の自民も、「日本の関税5項目は死守する。TPPはあくまでも交渉に参加するだけ。」と公約で言っていたような気がします。今では自民は、日本側の要求水準をがんがん下げて、TPP交渉妥結に向けて必死ですもんね。国民としては呆れてしまいますが、民主も同レベルですね。まあ、約束を守らないのが政治家、政党、選挙公約でありマニフェストなのですから。

いっそ、各政党は、選挙公約やマニフェストで、「○○法案」を作ります!と掲げるのではなく、「わが党は、選挙後に選挙公約やマニフェストを破ったら刑事罰を科す特別刑法を作ります!もちろん議員個人だけでなく政党も処罰される両罰規定です!」といった法案をぶちあげてみてはどうでしょうか。国民は熱烈に支持すると思いますが。

●成長戦略
「研究大学の増強、国際的な研究拠点の充実、研究者の処遇改善などの研究基盤整備を行い、再生医療、バイオ、ICTのイノベーションの推進、海洋、宇宙の開発・利用を進めます。」

これも非常に空々しいですね。
科学技術の研究・開発分野というと、民主党政権時に、「事業仕訳」という、国民の関心を引きたいという意図がみえみえの浅はかなバカげた政治ショーが行なわれました。

そのなかで、民主党の看板スターのひとりである蓮舫議員が、2009年3月に、文科省の次世代スーパーコンピュータ開発について、「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」と発言し、予算をカットしたのは思い出深いものがあります。その後、この分野で日本は中国に追い抜かれました。

「再生医療、バイオ、ICT、海洋、宇宙」などの分野が民主党のマニフェストにあげられています。もし万が一民主党が政権をとったら、また蓮舫議員がこれらの分野の発展を「2位ではだめなんですか?」と遅らせてくれるんでしょうか。かんべんしてほしいですね。

●消費税
「複数税率だけでなく、消費税の還付措置(給付付き税額控除)の導入についても検討を行い、低所得者対策、逆進性対策を確実に講じます。」

複数税率を導入って、気軽に書いていますが、それに対応しなくてはならない部署の情報システム部門の実務担当者は発狂しそうです。そうはいかないまでも、NTTデータなどのシステム開発会社は膨大な利益を得ることができるでしょうが、一般的な企業や官庁としては、かんべんしてくれ、といったところではないでしょうか。国からシステム開発の予算が民間に対して出るわけでもないですし(これはマイナンバー法も同様です)。

また、とにかく民主党は、「給付」が大好きなんですね。まあ確かに民主党から給付がでれば、国民がつぎの選挙でも民主党に投票してくれるにちがいないと、民主党は思っているのでしょうか。完全に「バラマキ」ですね。

民主党が実施した、「子ども手当」というものがありましたが、新聞などを読んでいると、たいていは、親御さんが、それを預貯金にしてしまったというのがほとんどのケースのようでした。民主党のかつてのスローガンは、「コンクリートから人へ」でしたが、人に給付金を支給しても、銀行預金になってしまって市場にまわらないのではあまり意味がありません。

やはり「コンクリート」すなわち、公共事業などに予算を投資し、周囲の市場に波及してゆく、ケインズ経済学的に社会にお金がまわってゆくやりかたのほうがまっとうに思えます。

●国民年金
「最低保障年金の創設、低年金者への給付の確保、被用者年金のさらなる適用拡大」

これだけ見ると、まるでスウェーデンのような超高福祉国家ですね。
しかしこれにあてる原資はあるのだろうか。まったくないので、もしこれを実現しようとしたら、現在の国民年金保険料の抜本的な値上げとなるのでしょうね。今でさえ高いのに、とても国民は耐えられないでしょう。年金保険料督促・強制執行のせいで国民がばたばたと自己破産するという、本末転倒な楽しくない未来が予想されます。

ただでさえ、現在の国民年金制度崩壊しつつあります。年金支給開始年齢を68歳、75歳にしようという議論があり、同時に、年金保険料の支払期間もこれまでは60歳まででよかったのに、65歳までを義務づける鬼畜のようなとんでもない話もでてきているようです。

もし民間の生命保険会社がこんなふざけた運営をしてたら、金融庁から業務改善命令、業務停止命令をばんばん受けて、あっという間に保険業の免許取消しとなっています。

こんなふざけた年金の運営が許されているのは監督官庁が存在しない政府ならではのことです。

そういった意味では、国民としては、国民年金から国民が任意脱退できる制度を創設してほしいと切実に思います。そうすれば、まったく信用できない国に国民年金保険料月約1万5千円を渡す代わりに、自分が選んだ投資信託会社なり生命保険会社なりに自分の年金を委託することができます。

国の政治家や官僚が好き勝手やって自分の国民年金がめちゃめちゃになることはやりきれませんが、自分が選んだ金融商品で資産有用が失敗したとしたら、それは自己責任なので、まだ納得がゆきます。国民年金から国民が任意脱退できる制度、どこかの政党が政策として掲げてくれないかな。熱烈に支持するのに。

●生活保護
「生活保護基準引下げの見直し」


またまたご冗談を。
民主党の頭の中がよくわかりません。
世の中には生活保護受給者と同レベルの賃金しかもらっていないワーキング・プアの方々がたくさんいます。生活保護の連中は、働いていないくせに税金を免除され、医療費、住居費、光熱費等も全額、国が負担し、交通費通信費などもすべて国が負担するという、まるで王侯貴族のような特権階級的な待遇で、まさに憲法25条の文言どおり「健康で文化的」裕福に暮らしています。

生活保護の連中はあまりに富裕層なので、働いてないにもかかわらず、昼間から酒を飲んだり、パチンコやギャンブルで遊び呆けており、さすがにみかねた兵庫県小野市が2013年3月に、「パチンコ通報条例」を制定したそうです。

これは市民が、生活保護の連中が不正受給パチンコをしているのを見かけたら、行政に通報するというものです。不正受給やギャンブルでの浪費の撲滅、最終的には生活保護制度の廃止を目指すものと思われ、すばらしい取り組みであり、全国に広がってほしいと思います。

条例ベースでなく、国が法律を作って国家ベースで強力に推進すべきだと思います。「生活保護は人間として最大の恥」といった教育を、義務教育で徹底すべきだと思います。

国の負債が1000兆円を超えるわが国は日本の社会のさまざまな分野で「痛みを伴う改革」が必要です。そのような国家の財政状況のなか、3.5兆円もの金額の生活保護はまっさきに大ナタを振って削減べき分野でしょう。怠け者の彼らは政府からお金をもらうだけで、まったく日本社会に何にも還元していないのですから。

一方、ワーキング・プアの方々は、生活保護の連中がもらっているお金と同額以下の賃金しかもらっていないにもかかわらず、さらにそこから税金、住居費、光熱費、医療費、交通費、通信費などを自腹で支払っています。

そのような意味で、今現在においても、生活保護とワーキング・プアとを比較すると、生活保護の連中のほうが圧倒的に裕福なのであって、政府は、生活保護の各費目を抜本的に削減すべきです。

具体的には、生活保護受給者が、「このまま生活保護を受けているわけにはいかない。このままでは飢え死にする。一日も早くハローワークで仕事を見つけないと」と気が狂ったように死に物狂いで就職活動をするような金額に下げるべきだと思います。(たとえばわかりやすく、怠け者への抑止力として、現在の金額の半額にするなど。)

本当に生活保護を必要となさっておられる方々は、障害者の方々だと思います。そのような方々は、生活保護とは別に、障害年金などの障害に応じた国の保障の制度が別にあります。

逆にいえば、障害者以外で生活保護を受けているのは、ただの怠け者です。

わが国は資本主義・自由主義・民主主義つまり競争主義(=弱肉強食)の国です。そのわが国の政府が額に汗して働く勤労者の血税を使って、落後者である怠け者の生活保護の受給者を保護する必要性はまったくありません。競争に敗れた者は市場から退場を命じられるのが市場主義社会です。共産主義、社会主義国とは異なります。

社会権に関する憲法25条という条文があるとしても、同時に憲法27条「労働」は国民の権利であり「義務」でもあると規定してます。また、日本のことわざである、「働かざる者食うべからず」は、労働法では「ノーワーク・ノーペイの原則」という一般原則となって通用しています。

憲法25条という条文があるからといって、それは働かない怠け者を甘やかして、勤労者の血税で食わせてやって、パチンコや酒で「健康で文化的」な生活を保障したものだとは思えません。逆にそれは憲法25条や、朝日訴訟を闘った、故朝日氏とその遺族に対する侮辱ではないでしょうか。

●教育
「・義務教育における35人以下学級を着実に推進。
大学などにおける「給付型奨学金」の創設。」

義務教育の35人はちょっと前に財務省が40人にするよう申し出を行ない、大きな議論になりました。

現在、わが国の国の負債が1000兆円を超える状況にあることから、政府は労働、医療といった「岩盤規制」といわれる分野も変えるべきとしています。そしてとくに労働法分野は着々と悪い方向に改正がなされています。そうであるなら、当然、義務教育の分野も変えるべきです。義務教育の部分だけ「聖域」として保護されることは許されないと思います。日本の負担は、日本の誰もが平等に負担すべきです。財務省の考え方が妥当だと思われます。

逆に、この民主党の35人という数字に関しては、民主党の蓮舫議員的な言い回しで、「なんで35人なんですか?40人、50人じゃ駄目なんですか?そっちのほうがずっと経済的に合理的でしょ?ちょっと前の学校はどこもそうでしたよ?」と民主党に問うてみたいですね。

大学の「給付型奨学金」についても、民主党は財源のあてはあるのでしょうかどうせマニフェストだから国民は誰も信用しないからいいでしょ?というスタンスがみえみえです。

そもそも法曹三者を育成する司法研修所ですら、平成の司法制度改革で、その研修期間の研修の費用が給付制から貸与制に切り変わりました。

天下の法曹の育成制度ですらそうなのに、大学生に対して給付型奨学金の制度を作るとして、誰が、どういった財源で作るのでしょうか。いくらマニフェストだからといっても、あまりに思いつきレベルだと、党の鼎の重量が疑われるというものではないでしょうか。読んでいるこちらが恥ずかしくなります。

●公務員関係
「公務員の団体交渉権の復活」

これは、労働組合を支持母体とする民主党らしい主張ですね。公務員のこういった動きにまゆをひそめる方からすれば、そらきた!という話だと思います。

■まとめ
このような感じで、首相率いる自民党が反動・復古的な政党である一方で、もうひとつの大きな政党である民主党も、私個人としては、とても投票しようという気持ちになれません。

とはいえ、現在の選挙制度が小選挙区制度となってしまい、二大政党制が国民に強制されてしまっているのも事実です。大量の死票を出して二大政党を生みだすのも、小選挙区制の特性です。

新聞やテレビ、PCをみて、日本や世界のありかたをみて、何とかしたい、どうにかしたいと思う。しかし、我々国民・市民には、無力感しかない。国や自治体の選挙の投票にいっても死票になってしまう。国会前などにデモに行っても、政治や世の中はまったく変わらない。

国民主権という大原則があります(憲法前文第1段、憲法1条)。国のことは神や君主ではなく国民自身が決めるという原則です。そのうえで、国会議員は国民からの選挙で選ばれ、さらに国会議員から内閣が構成され、その内閣がわが国の官庁などを行政権を総理することにより、上から下に向かって民意に基づく行政のコントロールがなされる、というのが教科書的な説明です(議員内閣制)。

国民主権にしても、議院内閣制にしても、選挙制度にしても、つまるところは、国民が主権者としてよりよく国を運営するための仕組みのはずです。しかし、国民が感じる「国民が主権者でないという感覚」は長年続いており、この無力感疎外感は途方もないものがあるような気がします。

どちらかというと、わが国は、国民主権というよりは、「総理大臣主権」、あるいは、「国会議員主権」の国なのではないでしょうか。

また、衆議院選挙前、またしても見苦しく無様に、国会議員が急に別の政党に移るという動きがありました。

たとえば、リバタリアニズムというラディカルな「小さな政府」論を志向する政党である「みんなの党」の一部の議員が、一応は中道左派(=大きな政府)を看板にしているはずの民主党に移ったのにはとても呆れました。移った方も政治家としてどうかしてますが、受け入れる方も政党としてどうかしています。どちらもプライドとかないんでしょうか。

法律学的には、政党とは、「政策を掲げ、政権を獲得して、政策を実現するもの」です。

まもるつもりもない公約・マニフェストを何となく掲げ、すぐ破る。政権を獲得すると、公約にない消費税増税を「我が悲願」とかいってゴリ押しする。311では原発事故の翌日混乱する現場に総理が行って現場を怒鳴りつけて事態を悪化させるなど、政権担当能力の無さをこれでもかと露呈する。

こんな党は法律学的な意味での「政党」とは言えません。いうなれば、選挙に当選したい国会議員のための互助会とでもいったところでしょうか。そもそも民主党には国民や労働者の生活など眼中にない。

つまり、彼ら民主党の議員達がやりたいのは、国民の生活の改善のための「政策の実現」ではなく、ただ単に自分達が政治家ごっこがしたいだけというわけです。

政治家ごっこがしたいから、そのための政治家としての資格と予算を確保したい、だから選挙期間だけは国民にむかって大声をだしたり手をふったりして全力でがんばるというわけです。(まあ、そういうマインドは、民主党を飛び出した小沢一郎氏と氏を党首とする政党もまったく同じですね。)

それこそ、少し前の民主党のスローガンに似せていえば、「国会議員の生活が第一!」というスローガンこそが民主党にはぴったりです。

こういった現在の状況の原因はいろいろとあると思うのですが、ひとつは二大政党制と、それを作り出す小選挙区制度があると思います。

少し前の本ですが、法政大学の杉田敦先生が、『デモクラシーの論じ方』という非常にわかりやすい新書で、小選挙区の選挙に書かれていたのを思い出します。

その新書のなかでは、小選挙区制は、毎日ひたすら、カレーラーメンの2つしかメニューがでてこない大学の学生食堂に例えられています。そしてその新書は読者に対して、そのような学食は飽きないか?と問いかけます。

*兵庫県小野市のパチンコ通報条例についてはこちらをご参照ください。
*blogos小野市通報条例成立へ
*ヘイトスピーチと規制立法については、こちらをご参照ください。
京都朝鮮学園事件判決とヘイトスピーチ規制立法について


憲法 第2版



比較憲法 新版 (岩波テキストブックス)



デモクラシーの論じ方―論争の政治 (ちくま新書)



知らないと恥をかく世界の大問題5どうする世界のリーダー?~新たな東西冷戦~ (角川SSC新書)




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