1986年。

 

9歳の僕は、ベストテンやトップテンにヒットスタジオ、今も続くミュージックステーション等まさに音楽番組全盛期で、食い入るように見ては当時のアイドル・歌謡曲・ニューミュージック・演歌等を中心に、レコードショップに通っていました。

瞳をキラキラさせながら、ブラウン管に映る歌手に釘付けで、今のように画質こそ敵わなくとも、演出や本番の緊張感や臨場感が半端なく、アーティストそれぞれのオーラも、それはそれは物凄かった。

SNSも無く、芸能人は遥か遠くの存在で、今のように親近感も無かったから。

 

「1986オメガトライブ」

「カルロス・トシキ&オメガトライブ」

 

当時から現在に至るまで、もっとも大好きな音楽と聞かれれば迷い無くこの2つ。

 

どれだけ出演番組が楽しみだったか、当時の歌番組は歌手が多かったからか、フルコーラスで歌う事がなかったから、テレビで新曲を聴いて、それをカセットテープに録音して聴いて、レコードが発売されたらやっとフルサイズの曲を聴いてと、何回も楽しめたのです。

それでレコードだと間奏こんな演奏なんだぁとか、エンディングこうして終わるんだとか、いちいち歌番組とのアレンジの違いに感動して。

 

カルロスさんの甘く優しい歌声はもちろん、音楽がとにかく大好きで。

おしゃれで先進的で、どこか切なくて。

開放的で夏の空気満載で、海の無い岐阜に生まれ育ってる僕にとっては、海自体にも強い憧れを持っていたので、なんかそんなうまく表現できないけれど、恋愛もろくに知らない9歳でも、オメガトライブの音楽で、カルロスさんの歌う言葉で、自分の心の深い深いところまで癒してくれた。

 

歌詞の意味もわからなくても勝手に暗記して、パームトゥリーも無い岐阜の陽射しの下、小学校のプールで、家族で出かけた夏休みの福井の海で、僕の脳内で自然に再生されると、何故だか切なくて涙があふれてきたのです。

 

 

②へ続きます。