アトリビュートの勉強:その19・熱心党のシモン | スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

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画家ゴッホではありません、画家ごっこです。

浮世絵名所の再発見をコンセプトに自分の気に入った名所を探して油絵を描いています。

そんなリタイア後の画家ごっこライフや、美術についての受け売り雑話をアップしているブログです。

 

イエスの使徒 のメンバーさんの11人目は

 

唯一神ヤハウェを非常に熱心に崇めたことから「熱心党」と称され

 

ローマ帝国の支配を武力で解放しようという過激派出身のシモンさんです。

 

 

12使徒には大先輩のペトロさんもシモンという名前でしたので、

 

この方は「熱心党のシモン」と呼ばれています。

 

 

(陰の声:ちなみに大先輩のほうは「ペトロと呼ばれたシモン」と

 

表示される場合もあるそうです(゚_゚i)

 

 

 

熱心党のシモン

(正確には熱心党ですが・・・)

 

 

 

「熱心党のシモン」

 

この元過激派のジイさんが、しっかり握りしめているのは

「鋸(のこぎり)」です。

はい、このお方のアトリビュートは「鋸」なんですよ。

と、いうことは・・・考えるだけでも怖いですね。

 

 

 

上の絵画だけではちょっと分かりにくいかと思いますので、

 

参考に彫刻作品もご覧ください ダウン

 

 

 

「熱心党のシモン」

 

ほら、左手に大きなギザギザの物体(鋸)を持っているでしょう。

しかし、なぜ、みんな自分が死んだツールをアトリビュートにする

のか西洋の常識は難しいです・・・

 

 

 

始めはローマ帝国の支配に抵抗するためにイエスを利用しようと

 

近づいた熱心党のシモンさんでしたが、

 

復活したイエスをみて、暴力ではなく人々を罪から救うために

 

メシアとしてこられたイエスの教えを伝えようと、福音伝道者(使徒)に

 

転身したのです。

 

 

 

その後、エジプトやペルシアに布教に出かけましたがそのまま帰りませんでした。

 

ペルシアで鋸(のこぎり)引きの刑で殉教したと伝えられています(>_<)

 

 

 

 

熱心党の最後とマサダの砦

 

 

 

少し、余談になりますが、熱心党のその後を調べてみました・・・

 

(陰の声:あまり短いとごっこスーラのブログらしくないからね(^◇^)

 

 

 

イエスの昇天後(西暦)66年、とうとう熱心党を中心とするユダヤ人が蜂起し、

 

一時、全ユダヤを解放しましたが、すぐに本気を出したローマ帝国軍に押しまくられ

 

エレサレムも陥落し、神殿も破壊されてしまいました。

 

 

しかし、熱心党は降伏せず、岩山にユダヤ王国のヘロデ大王の時代に築かれていた

 

マサダ(ヘブライ語で砦、要塞の意味)に立て篭りました。

 

その数、女、子供を含めて967人だったそうです。

 

 

 

 

「マサダ古蹟」(イスラエル)

 

この狭い岩山の上に2年も立て篭って、最後は全員玉砕。

原理主義者は凄いね(w_-;

 

 

最初は舐めていたローマ帝国軍も峻厳な地形と頑強な抵抗に攻めあぐみ

 

2年間も篭城したのですが、最後はローマ帝国軍得意の土木工事戦略により

 

谷を埋めて侵入通路をつくり、砦になだれ込みました。

 

 

しかし、その時には反乱軍は女性2名子供5名を残し集団自決していたのです。

 

そのあまりの見事さに、さすがのローマ軍も畏敬の念を持ったそうです。

 

そしてこの後、ユダヤの地はパレスティナと改名されユダヤ人は故郷を追われ

 

世界中に散らばっていきました。

 

 

(陰の声:このように帰る望みがない離散を”ディアスポラ”といいます。

 

ギリシア語に由来する言葉で、”撒き散らされたもの”という意味だそうです。

 

第2次世界大戦後の1948年にイスラエル国が建国されるまで、約1900年もの

 

長い長いディアスポラの始まりでした(T▽T;)

 

 

このマサダは現代ユダヤ人にとって民族の聖地なっており、現代の

 

イスラエル軍の士官学校の卒業生は任官前に山頂で「マサダは二度と陥落せず」

 

民族滅亡の悲劇を二度と繰り返さないことを誓うそうです。

 

 

 

 

ヨセフスの問題

 

 

ところで、ユダヤ教徒は宗教の規則で自殺を禁じられています。

 

日本の戊辰戦争の白虎隊はそれぞれ切腹か、または相打ちで自決しましたが、

 

では、ユダヤ熱心党はどういう方法で集団自決をしたのでしょうか?

 

 

(陰の声:ますます余談で長くなり、申しわけありません(^~^)

 

 

集団自決する人数の者が円陣をくみ、数えてX番目の者が仲間に殺して

 

もらい、最後の1人だけは自殺する。最後の1人は何番目に並んだ者か?

 

と言う問題が「ヨセフスの問題」といわれるものです。

 

 

(陰の声:よくわかんないけど、怖い問題だね(゚_゚i)

 

 

 

これは、自殺の罪を犯す者を最小限の1人に抑え、しかも確実に

 

集団自決する方法であり、実際にユダヤ反乱軍のヨセフスという司令官が

 

実施したといわれています。

 

兵士はまず、自分の妻子を殺してから一カ所に円陣を組み、仲間を殺す役を

 

くじで選びます、そして、そのX番目から順番に・・・

 

 

(陰の声:生き残った7人の女性と子供は、殺す役(父親)のいない

 

未亡人母子だつたかあるいは、この物語を後世に伝える役だったのか

 

歴史は沈黙しています・・・( ̄ー ̄;

 

 

 

<アトリビュートの勉強:その19・熱心党のシモン・了>

 

 

 

 

 

 

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