当事者が書く小説『宇宙人』第2章 2-⑥ | カレイドスコープ(自閉系・如月の頭の中)

カレイドスコープ(自閉系・如月の頭の中)

カレイドスコープとは、万華鏡のことです。
高機能広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)と診断された如月の、万華鏡のような頭の中の世界を書き連ねていきます。
ADHD合併、うつ持ち。不随意運動あり。
自宅療養しながら、アールブリュットのアーティストとして活動開始。

『宇宙人』第2章 髀肉之嘆 2-⑥

 

 母親と先生は、僕の学校での様子について、話し合っていた。

 

特に、人間関係の話をしていた。

 成績の話は、先生は、とにかく素晴らしい、としか言わなかった。

 

 先生の話したことから推測すると、僕の人間関係の下手さは、深刻らしい。

先生にそう言われた母親も、否定はしなかった。

僕だって、否定はしない。一番の苦手科目だという自覚も、ある。

 

続けて話を聞いていると、人間関係については、母親はもうあきらめているようだった。それどころか、頭が良くて、一つのことに没頭して時間を忘れる、研究者に向いているタイプだから、それで成功してくれるのなら、人間関係のことはとやかく言うつもりはありません、と先生に言った。

 

 僕は、母親に感謝すべきだろう。

 僕は、両親が、僕のことを理解してくれることに期待はしていなかった。しかし、僕が思っているよりは、母親は僕のことを理解してくれているようだった。

 

 母親は、僕のことを宇宙人だと思いながらも、理解できないと思いながらも、何とかして受け入れようとしてくれている。

 

 先生の家庭訪問があった次の日からも、僕は先生の心配をよそに、周りの子たちと関わることはなく、ずっと一人でいた。

 

周りから見れば、僕は完全に浮いている奴だっただろう。

でも、そんなことは、僕には関係がなかった。

僕は、勉強ができればそれでよかった。

 

学校は、勉強をする場であって、遊ぶ場ではないからだ。

 僕は、一人の世界で自由に過ごすことで、満足していた。