『病状がいかに危険か』という点もきちんと伝えてください@歯科 | 歯科医院専門のマーケティングとマネジメントサービスを提供する、株式会社デントランスの公式ブログ

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株式会社デントランスは、
歯科医院の入り口となるような
マーケティングとマネジメントを提供する会社です。


デントランスの黒飛です。


歯科医院のマーケティングに
携わっていますと、どうしても
心理学的側面についても関心がでてきます。

普段なんとなく判っているけど
あまり深く考えていなかったことについて

改めて気付きがありましたので
お伝えしたいと思います。


昔、ある大学教授が、
破傷風感染に関する実験を行いました


その実験とは、、、

集めた学生たちに
破傷風の危険を書いたパンフレットを
読んでもらい、破傷風の予防注射を
受けてもらうという実験でした。


ただし、2つのパンフレットを用意しました。

一つは、破傷風感染を示す
恐ろしい画像が入っているもの

もう一つは画像が入っていないものでした。


その実験結果は、明らかでした。

前者の画像が入っているパンフレットを
読ませた学生の方が、積極的に
予防注射を受ける気になりました。


つまり、


聞き手に恐怖を与える
コミュニケーション方法は
その恐怖を取り除くための
行動を
引き出す効果がある


と言うことです。
(もちろん、正しい根拠がある場合ですが)

これについてはあなたも異論はないと思います。


ですが、
これには一つ大きな例外があったのです。


たった一つの例外とは?



実は、画像の入っている方のパンフレットに
もう一つの仕掛けがあったのです。

破傷風の恐怖を訴えたパンフレットにも
2種類の物があったのです。


予防注射の具体的な受け方や効果などを
記載したものと、

単に予防注射があるとだけ記載したもの


ここで驚くべき結果が出ました。


破傷風の画像で恐怖に震えたにも関わらず
予防注射の詳細を知らされなかった学生で
予防注射を希望した人数は、


なんと


破傷風の画像なしパンフレットを見た学生で
予防注射を希望した人数とほぼ同じだったそうです。


つまり、単に予防注射がある記載だけでは
恐怖を強く訴えた効果がなくなってしまったのです。

この実験結果から、その大学教授は
こう結論付けています。

「聞き手が恐怖を与えられ、その危険が
 示されていても、明確で具体的、効果的な
 危険回避手段が伝えられていないと、

 聞き手はその情報を「遮断」したり、
 自分は大丈夫だと思い込んだり(否認)
 することで、恐怖に対処することがある」

と。


そして、その結果、、、


「人は恐怖に対して麻痺してしまい 
まったく何の行動もとらなくなる」


としています。


私たち歯科医は、患者さんに行動を促す場合
その病状がいかに危険かという点を強調する
必要がありますが、

同時に、具体的な治療方法やそれに関する
対処方法などの詳細を、患者さんが
行動に移せるようなわかりやすい方法で援助しなければ、

恐怖をあおるだけで逆効果になってしまう
可能性があるということに、
改めて注意を払う必要があるのかもしれません。


裏返して言えば、

患者さんにわかりやすく治療方法などを
お伝えすれば、患者さんの恐怖や不安を
和らげることができるという

至極当たり前のことなのだと思います。


この話は、マーケターの間で有名な
「影響力の武器 実践編」(誠信書房)
という本から引用しました。

是非、患者さんに具体的な解決策も一緒に
伝えてあげてください。



株式会社デントランス
歯科医師 黒飛一志