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ジャズる

先週末、サンフランシスコはジャズっていた。

昔、音楽好きの父に聴かせてもらった曲に フランスギャルが歌う『ジャズる心』(1969年)というシャンソンがあった。曲を聴いた当時、私は中学生くらいでもちろん仏語も分からなかった。邦訳が載っている歌詞カードを手に、「ジャズるってどういう意味?」と聞いて父を困らせた。

その父と一緒にサンフランシスコの Fillmore Jazz Festival(フィルモア・ジャズ・フェスティバル)を訪れた。毎年、独立記念日の週末にサンフランシスコで行なわれるジャズ音楽祭だ。ジャクソン街からエディー街の間、フィルモア街が車両通行止めになり、屋台やお店やステージでいっぱいになる。ほとんど一日中続くお祭りなので、朝から晩までフィルモア街をぶらぶら歩いて美味しいものを食べたり飲んだりしながら生で音楽が聴けるのだ。

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毎年違うポスターはコレクションを始めてみたくなるデザインばかり。今年のプログラムは女性ミュージシャンを中心にしたものだったため、このようなデザイン。快晴の青空にぱっと映える色彩だ。

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著名なジャズクラブ Yoshi's もフィルモア街にある。

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O'Farrell Entertainment Area でスイングを踊る人々、それを見て微笑む人々。

鯨船で大変な目に遭う前日の話なので、ファラロン島の海の恐怖をまだ知らない 母もとても元気にしている。ベトナム料理の屋台で、banh mi (バンミー、あるいはバインミー)を食べる。パクチー(コリアンダー、シラントロ)、甘酢漬けのニンジンやラディッシュ、お肉などをフレンチバゲットに挟んだシンプルで庶民的なベトナムサンドイッチのことだ。

バンミーを初めて食べたのはニューヨークに住んでいた頃だ。当時、バンミーはまだ流行っていなかった。中華街の変な宝石店の奥にある怪しいバンミー屋まで足を運んで、2ドル75セントで買っていた。もちろん座る場所はないので(一応、宝石店だから)家に持ち帰って食べた。特にお腹が空いているときは中華街の数多いパン屋のひとつに入り、月餅も買っておやつに持ち帰ったりしていた。ハングリーな貧乏学生だったなあ。今もそうだけど。

ニューヨークの摩訶不思議な宝石店で買っていたバンミーが何故あんなに安かったか、あまり深く追求したくない。けれど、それは頬が落ちるほど美味しいものだった。

こんなことを思い出しながら母と分けて食べたジャズフェスティバルのバンミーは、とてもお上品な味がした。初めてバンミーを食べる母が、「フランスの植民地だったからバゲットなのね」と鋭く指摘。そう言われてみれば理にかなう。

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腹ごしらえをし、また歩き出す。地元で組んだジャズバンドです、みたいな集まりもちらほら見かける。いずれにしても周りに客が渦巻いており、大変賑やかだ。サックスをぶいぶい吹いちゃうカッコイイおじさん達の音楽をしばらく聴く。父も興奮して聴き入っている。

二曲目が終わったところで、父がこう言う。

「しかしジャズも変わっちゃったなあ」

彼にとっては悲喜こもごものジャズフェスティバルだったのかもしれない。

最後は手作りアクセサリーや小物を売っている屋台を覗き、母とおそろいの指輪を買う。とても気持ちの良い一日だった。もっとも、その気分は急変する ことになる。

ところで、サックスをぶいぶい吹いているおじさんを見てふと思ったのが、

「この人、ジャズってるなあ」

そうか。ジャズるとはこういうことだったのかと納得し、気持ち良くフェスティバルを去る。

フランスギャルの『ジャズる心』の原題はフランス語で « Le cœur qui jazze » だ。つまり「ジャズる」という部分は英語から「ジャズ」をそっくり借用して動詞化したわけだ。

父親に「ジャズるとはどういうことか」と聞いた10年以上前の日。私の記憶は曖昧なもので、父を困らせたのは覚えているのだが、どんな答えが返ってきたかまでは覚えていない。「う~ん、子供には分からないよ」という投げやりなコメントだったか、あるいは「ジャズるとは、こんな感じだ!」と体を張って踊りで表現してくれたかもしれない。

両方とも十分あり得る、そんな父と私はとても仲良しで、ちょくちょく音楽情報を交換している。父の情報のほうが、若干ジャズっている感じがする。


Or me.

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風邪が長引いている。スペイン語の授業が意外とハードで週末は疲れてきっていたが、なんでも気合で治るだろうと思い、以前からヘブンフィールドさんと約束していた映画を観に行くことにする。

パロアルトの CinéArts 映画館でジョン・ファヴロー 脚本・監督・主演映画の『Chef / シェフ』(2014年)を観る。映画にキューバンサンドイッチが出てきたので、サンドイッチが無性に食べたくなり、パロアルトのマダム・タムというお店でベトナムサンドイッチを食べる。味が全く違うのに。夜は『刑事コロンボ』鑑賞。

今朝の朝ごはん。ひまわりの種が入っているパンに、母がヘイトアシュベリーで買ってきたジャムをたっぷり塗って食べた…いところだが、相変わらずバタバタしていてのんびり朝食をしている場合ではない。グラノーラバーをくわえて駅まで走る。コーヒー(1杯)。

昼ごはん。オフィスメートのアトリエ君とビジネススクールの学食で食べる。日替わりメニューのジャンバラヤに惹かれ、頼んでみたら、マックアンドチーズが出てきた。セロリ、ベルペッパー、ケージャンスパイス、鶏肉、スーセージなど、中身は全てあっているのに、お米ではなくマカロニとはなんちゃることだ。偽ジャンバラヤとサラダ(1皿)、コーヒー(1杯)。

ジャンバラヤで思い出した。スペイン語の先生が交代で新しい人に替わったのだ。

夏学期が始まった時点では、初級スペイン語のクラスは二つあった。20日しか経っていないのにもう一つのクラスから大勢の生徒が抜けてしまったらしく、私たちの場合も15人が二週間後には5人という少人数になっていた。というわけで、先生の交代とともにもう一つのクラスと合同することになったのだが、もう一つのクラスには、なんと、労働者が肉と水を沢山持っていると発言したマルコ君 の双子の兄弟がいたことが判明。

さすがマルコ君の双子、マルコ2号君も変なスペイン語ノンストップ炸裂。

例えば、今朝の授業で例文を作る練習をしていたときに、「次、俺!」と張り切って手を上げたマルコ2号。

「アイノォ~、どうやって大きな大聖堂を造るんだい?」

スペイン語の ¡Ay no! は、英語の Oh no! に似た間投詞。しかしその後に、「どうやって大きな大聖堂を造るんだい?」を持ってくるとは、マルコ色が強く出ている。しかも双子が揃って、2人ともパワーアップしている様子である。

楽しいスペイン語のクラスも、あと一ヶ月ちょっとで終わる。

by majani | 2014-07-15 12:02 | 旅に待ったなし

カリフォルニア、ニューヨークを経て、ボストンにやってきた学者のブログ。海外生活、旅行、日常の記録。たまに哲学や語学に関するエッセイもどきも。


by majani