恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

ハルくんの独り言(本編6話)その3

2015-04-20 07:51:30 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハル君ルート本編をハル君目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

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☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

☆☆☆☆☆

ハルくんの独り言(本編6話)その3
佐々木がまたぽつりと言う。


百花「…ハルくんは、お店、継ぐの?」

春樹「どうしたの、急に」

百花「なんとなく、気になって…」

春樹「どうだろう…たぶん、この調子なら、そうさせてもらえるかもね!」

百花「そっか…」


子供の頃から当たり前に店の手伝いをして来た。

両親とも忙しそうだったし、特に紗枝が生まれてからはおふくろは紗枝にも手がかかるから俺が頑張らないとって思ってきた。

お客さんは両親だろうと俺だろうと普通にアドバイスを求めてくるし、花の名前も特徴も全部頭に叩き込んどかないと一人で店番はできない。

適当な事を言って、後でおやじに叱られたこともある。

品種改良で新しい花はどんどん増えるし、流行の花もその時々で変わるからいつも勉強は欠かせない。

…今はおやじ達に負けないくらいお客さんの応対は出来るつもりだけど…。

もっと頑張っておやじにちゃんと認めてもらえるようになりたい。

そんなことを考えていると佐々木のため息が聞こえた。


百花「ふう…」

春樹「3回目」

百花「え?」


佐々木、さっきから少し元気が無いな。


春樹「溜息…疲れちゃった?」

佐々木「ううん! 大丈夫!」

春樹「そう? あ! そうだ! せっかくだから、見て回ろうか」

百花「え? いいの?」

春樹「だって、初めてのフリマだろ?って、そんなにテンション上がらないかもしんないけど。
リュウ兄! 俺ら、ちょっと見て回ってきてもいい?」

竜蔵「おう! いいぞ!!」

春樹「ほら、行こ!」

百花「うん…」


☆☆☆☆☆

佐々木と二人でフリマを冷やかして回る。

俺が色々と話しかけるのに佐々木はさっきから黙ったままだ…。


春樹「佐々木?」

百花「…」

春樹「佐々木! どうかした?」

百花「え? あ、ごめん! 何?」

春樹「いや、何でそんなに難しい顔してるのかと思って」

百花「ううん、なんでもない」


佐々木はにっこり微笑んだ。

でも、なんだか無理してるみたいだ。


春樹「また、そうやって強がる」

百花「強がってなんかないよ」

春樹「でも、考え事してたんでしょ?」

百花「う、うん…」

春樹「俺に解決できることかもしれないじゃん? 言ってみてよ」

百花「実はね…進路希望表、提出してないの」

春樹「ああ、あれか…佐々木はこれからどうするの?」

百花「特に決めてなくて…でも、先生に早く出せって言われてて」

春樹「早くって言われても、困るよな。そんな簡単に決められないよな」

百花「うん…」

春樹「まあ、でも焦ることないんじゃない? 佐々木のペースで考えれば…」

百花「だけど、先生に急げって言われてて」

春樹「だからって、急げるもんじゃないだろ?」

百花「でも…」


佐々木はちょっと考え込んだ。


百花「…いいな、みんな」

春樹「どういうこと?」

百花「みんなは、将来お店を継げるんだから…。私は何もやること見つけてないもん」


佐々木のその言葉に引っかかる。


春樹「…佐々木は、みんなが、何も考えずにお店を継ごうとしてると思ったの?
 …佐々木は、みんなが努力してないと思った?」

百花「それは…」

春樹「リュウ兄が野菜の栄養を覚えて、お店の常連さんの好きな野菜を覚えて、早起きして市場に仕入れに行ってるの、知ってる?
 りっちゃんが、小さい頃から練習して、名門校にまで入って練習してるのに、コンクールで入賞はしても1位になれないって悔しがってるの知ってる?」


一度喋りだすともう抑えようがなかった。

みんななんでもない事のようにやってるけど、自分の家の店を守るために頑張らなきゃって思ってるんだ。


百花「…」

春樹「一護だって、剛史だって同じだよ。みんな、努力してても、それを表に出してないだけなんだ」

百花「ハルくん…」

春樹「10年も離れてた佐々木に、そんな風に言われる筋合い、ないと思う」

百花「!」


佐々木が凍りついたように俺を見つめる。

その目を見て我に返った。


春樹「…あ。ごめん、今のは…」

百花「ううん。いいの…ごめんなさい。ちょっと頭冷やしてくる」

春樹「あ! 佐々木!!」


止める俺を振りきって佐々木は人混みの中に消えた…。

俺…なんであんなことを言ったんだろう…。

10年間、俺達と居なかったのは佐々木のせいじゃないのに…。

そうだ、佐々木のせいじゃない。

腹を立てたのは、俺自身がこの頃壁にぶち当たっているからだ。

俺は…店のことも…勉強も…空手も…。

みんなの期待に応えなきゃって思って必死にやってきた。

だけど、みんな俺が軽々とやってるって思ってる…。

俺は努力なんてしなくても何でも出来るって…。

そんなワケないだろう。

一生懸命努力してやっとこれだけしかできないんだ…。

だけど…それを佐々木にぶつけるなんて俺の八つ当たりにしか過ぎない。

佐々木は『ハルくんが頑張ってるの、みんな知ってる』って言ってくれたのに…。

俺、バカだ…。

佐々木の相談に乗ってあげるって言いながら、八つ当たりするなんて…。


その4へつづく



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