きっと当時の私はウツ状態だったのだと確実に思う。

 

昼間から毎日知らないその街をふらふらと彷徨いながら

空を見ては涙をこぼす・・・そんな日々だった。

 

帰れる場所も行く当てもなくて

もうどうしたらいいのかわからない

そんな日々だったけれど

そんな中でも死なずにいられたのは

唯一の祖母の存在と

「幸せになりたい」という

想いだけだったと今思う。

 

子どもの頃からの、遠い遠い

どんなに手を伸ばしても届かない

「普通に幸せに暮らしたい」という

そんな夢が、私を生かしていたのだと、そう思う。

 

 

「いつまでもふらふらしてるわけにはいかない」

 

そんな気持ちから

とりあえず私は

その街で仕事を探すことにした。

 

「普通」になるために・・・

 

もう夜の仕事ではなく

昼間の仕事しか考えられなかった。

 

そして昼間働くなら、と

やるならやっぱり、せっかく入った美容業界しか

私の頭の中には浮かばなかった。

 

そして、仕事を見つける!と決めたら

それが実現するまで

そう時間はかからなかった。

 

すぐに、立川駅にある輸入化粧品店で

社員としての採用が決まった。

 

当時24歳だったが

スタッフはほとんどが私より年下で

本社が関西にあるその会社では

他にも関西地方で数店舗を展開していた。

 

東京に進出して1年足らずで

店長が関西の他店から転勤で来ている状態だった。

 

毎月やってくる、貫禄のある本社の部長。

関西から来ている唯一年上のおっとりとした店長。

明るいのだが、とっても気分屋で毎日機嫌が違う年下の主任。

私の数日後に入ってきた年下の美人な後輩AちゃんとBちゃん。

このメンバーで毎日シフトに入る。

 

彼の家での、窮屈で全員がただの同居人状態の生活から

私は一刻も早く抜け出したくて

とにかく仕事を頑張った。

 

1~2ヶ月経った頃

東京のそのお店が落ち着いてきたからと

関西から来ていた店長が地元のお店に帰ることとなった。

 

お隣の国立にある社宅に住んでいたその店長が帰ってしまうことで

社宅が空くはず!と思った私は

そこに住むことができないか?と

すぐに部長に相談をした。

 

部長に軽く事情を話したところ

店長が出た後、そこの社宅に住めることとなり

私はすぐに引っ越しを決めた。

 

彼と別れることはしなかったが

私が家を出ることに彼からの反対も無く

むしろ彼は、またふたりでの同棲生活に戻る感覚に

喜んでいたほどだった。

 

だんだんと仕事も生活もまともになり始め

私の精神状態も、気付けばいつの間にか戻っていた。

 

この頃、たまたま本屋さんで「マーフィーの法則」を見つけ

それまで生きて来た自分の思考やマインドを

真っ向から破壊されたような感覚に衝撃を受け

むさぼるように毎日マーフィーの本を読むようになっていた。

 

生きるのがツラすぎて苦しすぎて

「いつ死んでもいい」と心の底から思って生きてきた私には

この本との出会いが、一番最初に

「人生は自分次第」ということを知ったキッカケだった。

 

そして、生活が新たなスタートを切ってすぐ

職場も新たなスタートを切ることになる。

 

週の半分以上は機嫌が悪く

みんなで顔色を伺うのに大変だった主任が店長となり

私は入社して間もないのに主任となった。

 

店長になったことで、彼女はさらに威圧的になり

機嫌の悪い日が増え

必然的に後輩2人は私になついていた。

 

機嫌がいい時はいいのだが

機嫌が悪いと本当に空気が悪くなり

仕事中、激しくストレスになる。

そんな日々(笑)

 

私にとって、ホッと出来る職場の人は

唯一、隣のアパレルブランドの店長さんくらいだった。

 

同じ敷地内にあり

レジ部分で繋がっているような作りで

不機嫌店長がいない時は

そのお隣のアパレル店長さんと世間話をするのが

私にとっては他の誰よりホッとする時間だったのだ。

 

不機嫌店長のイライラと

後輩たちの愚痴や相談。

 

主任として

よくまあ当時の私がそんな立場をこなせていたと

自分でも感心する。

 

寝る前にマーフィーを読み

自分が本当に望む人生を思い浮かべながら眠る。

 

なんだか深く理解はできていないけれど

それまでにない、ハッとした

ある意味ショックにも似た衝動で

私はマーフィーの唱える理論にハマり

ひたすら自分が望む人生を思い浮かべるようになった。

 

そんな生活を送り始めた頃

それまでほとんど喧嘩がなかった彼と

なぜか喧嘩が増え始める。

 

それまで本当に色々あったが

なんだかんだと仲も良く

彼自身も穏やかな人のはずだったのに

その頃は、ご飯の固さで彼が不機嫌になるようなそんなことが続き

まるで自然消滅のような形で

私は彼に連絡することが無くなり

彼も私の家に来なくなり

怒濤のような彼との日々を

私はやっと終えることができた。

 

久しぶりにひとりで暮らす開放感と

間に挟まれ大変だけど

主任という初めての役職で

きっと私はこの頃充実していたのだと思う。

 

時々1時間かけて蒲田から祖母が泊まりに来てくれる。

たまに地元に帰ると同級生の男の子がドライブに連れてってくれる。

 

お休みの日は国立の街を散策したり

打ちっぱなしに行ってみたり

充実した毎日を送り始めていた。

 

 

そんなある日、職場の駅ビルの広場で

有名なミュージシャンのミニライブがあり

その日たまたまご機嫌のよかった店長とランチ休憩をとった後

ふたりで少し観に行った。

 

 

「沙織!」

 

 

”地元から遠く離れたこんな場所で誰かと会うわけもない”

 

 

空耳だろうと思った瞬間

後ろから肩を叩かれた。

 

 

「沙織!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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