2014/1/23
江戸時代の時代劇の設定として、表現した文の中に誤りがある
ものを選んでください。
そしてその誤りを正してください。
①呉服問屋の座敷で、座布団を敷いて澄ましていた男は、実は
スリの下手人だった。
②桜田門外で、水戸藩の脱藩浪士は6連発のリボルバーを大老・
井伊直弼に向けて発射した。
③「ピンピンの長!」
半の目に有り金すべてを賭けていた源治にはサイコロの赤い
一の目二つが憎らしかった。
④「お疲れさまです。」
京都に赴く会津藩兵の行列に、元は旗本の幇間、露八が呼び
かけた。
⑤悪代官が藩内の作事全般を牛耳っている。
【解答】
①誤り。
幕末まで座布団はほとんど使用されていなかった。
また、下手人とは殺人犯もしくは過失致死の意味で、犯人全般
を指す言葉ではない。
②正しい。
使用された拳銃は和式の単筒や西洋単発銃ではない。
③誤り。
サイコロの一の目が赤くなったのは昭和に入ってからで、それ
までは黒。
④誤り。
「御苦労に存じます。」が正しい。
「お疲れさま」は、もっぱら芸界や水商売で使われていた。
⑤誤り。
「牛耳る」は明治大正の旧制高校生の造語。
「意のままにする」「恣(ほしいまま)にする」を使う。
『考証要集 秘伝!NHK時代考証資料』
大森洋平著 文春文庫
①~⑤まで、いずれも本書を参考に作ったものです。
時代劇や歴史もののドラマにとって時代考証は、地味だけれども
とても大切な仕事だということがよくわかります。
“床机”は折り畳み式の腰掛けです。
陣中で武将が座っているシーンがよく登場します。
床机の向きは「×」を横に向け、「縦に置いて」座るのが正しい
のですが、間違った置き方をしているケースがよくあるそうです。
観ているこちらでは、そんなことは気にも留めていませんでした。
しかし、さすがに黒澤明監督ともなると目の行き届き方が違いま
す。映画『蜘蛛巣城』では、しっかり正しい置き方をしているそ
うです。
他にも「射殺と銃殺の違い」、「すべからく」の正しい用法など、
興味深い項目立てがたくさんあります。
是非、ご一読を!