2012/1/24
あなたの携帯には何人登録されていますか?
その中で、気のおけない間柄だと言える人数を数えてみて
ください。
『友達の数は何人?~ダンバー数とつながりの進化心理学』
ロビン・ダンバー著 インターシフト
狩猟と採集で生活している、いまだに文明化されていない
部族社会を構成する人数は、平均すると約150人になります。
SNSでの友達の平均数、古代ローマ軍の歩兵中隊や近代的
軍隊の中隊の人数、ビジネス組織論における適正規模数、
集団サイズと脳の新皮質との相関関係を調べた研究結果か
らも、すべてが150人という数字を指し示すのです。
この「ひとりの人間がそれぞれと安定した関係を維持でき
る個体数の認知的上限」150人のことをダンバー数と言い
ます。
本書の著者が名付けたものです。
この150人というのは、新しく親密な人が加わると、その
代わりに誰かが押し出されてしまうことになるといった
性質で、絶対数はどうしても増やせません。
学問の世界では、研究者どうしが注目しあえるのは100
~200人の規模で、研究者の数がそれより多くなると、
その学問分野はいくつかの領域に分裂する傾向にあるそ
うです。
アーミッシュは、電気や電話を使わずに、厳しい宗教戒
律に基づいた共同体を形成していますが、農業に従事し
ている共同体の構成員が150人を超えると、共同体を二つ
に分けてしまいます。
構成員どうしの社会的圧力だけでは、行動をコントロー
ルできないからだそうです。
共同体をまとめているのは仲間に対する義務感と相互依
存ですが、150人より大きい集団ではそれが効力を失って
しまうのです。
SNSでは、友達が200人以上だという人ももちろんいます
が、そんな人は、相手のことをほとんど、あるいはまっ
たく知らないのだそうです。
おそらく、営業マンが担当する顧客数も、150を超えると
営業マン自身が消化不良を起こしてしまうことになるの
でしょう。
顧客満足度の高いサービスを実現し、維持し続けるため
には、営業マンひとりが担当する顧客数は150人までに抑
えなければならないのかもしれません。
ダンバー数を念頭に、会社の組織や仕組みを改善するこ
とで、従業員ひとりひとりが、持てる力を思う存分発揮
できる環境が実現し、結果的に企業は隅々まで十全に機
能して高いパフォーマンスを上げることができるでしょう。